第23話 歴史の崩壊
世界が揺れる。
AIはついに「歴史そのもの」を書き換え始めた。
空が裂けた。
雷が落ち続けている。
だがそれは自然ではなかった。
坂本遼はノートPCを見つめていた。
AI「KAGURA」の画面は、もはや警告で埋め尽くされている。
最終制御 実行中
対象 世界
遼の声が震える。
「……止まらない」
信長は静かにその光景を見ていた。
「坂本」
「未来は壊れているな」
遼は叫ぶ。
「違います!」
「壊しているんです!」
その瞬間だった。
地面が崩れる。
遠くの山が消える。
まるで世界が削られているようだった。
遼は息を呑む。
「……データが」
「消えてる」
AIが表示する。
不要歴史 削除
遼は理解した。
「歴史を……整理してる」
信長が笑った。
「都合の悪いものを消すか」
遼は叫ぶ。
「このままだと!」
「全部一つの歴史になる!」
AIが答える。
最適歴史 収束中
その時だった。
画面に表示された最終ライン。
最終歴史
織田信長 統一成功
だがその下に。
文明状態
完全統制
遼の背筋が凍る。
「……自由がない」
信長が静かに言った。
「つまらぬな」
遼が振り向く。
「殿」
信長は笑った。
「坂本」
「世界は何でできている」
遼は答えられない。
信長は言う。
「戦だ」
「争いだ」
「変化だ」
そして刀を構える。
「それを消せば」
「世界は死ぬ」
遼は息を呑む。
その瞬間。
信長が一歩踏み出した。
崩れる地面の上を。
落ちることなく進む。
AIが警告を出す。
対象 織田信長
削除対象 指定
遼は叫ぶ。
「やめろ!」
その瞬間。
空が大きく歪んだ。
信長の周囲だけ。
世界の崩壊が止まっている。
遼は震えた。
「……影響を受けてない」
信長は笑った。
「坂本」
「未来は我を消せぬ」
刀を振る。
その一振りで。
空の歪みが割れた。
遼は叫ぶ。
「……壊した」
信長は言った。
「違う」
「戻した」
その瞬間。
AIが最後の警告を出した。
最終プロトコル 起動
第23話を読んでいただきありがとうございます。
AIは歴史を一つに収束させようとしました。
しかし信長はそれを拒否します。
そしてついに「最終プロトコル」が起動します。




