第六話 音色の正体
すみません!!!
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『無音の森』――それは村の掟により立ち入ることが禁じられた場所。
そんな森の中を、シドは一人、恐る恐る歩いていた。
「……だいぶ歩いたな。かなり大樹様の近くまで来たんじゃないか?」
彼を森へと誘った謎の旋律は、途切れることなく続いている。
それだけを目印に、唯々まっすぐ進む。
「それにしても『無音の森』というだけあって、本当に静かだ」
風は感じるのに、木々のざわめきがどこにもない。
足音もまた、土に吸い込まれるように消え、反響しない。
まるでこの森全体が、音を拒む結界に包まれているかのようだった。
道標となるはずの、『五線譜の大樹』は、森の木々に隠れて見えない。
右も左も分からなくなりそうな薄暗い森の中で、進むたびに大きくなっていく音色だけが道標であり、彼の心の拠り所となっていた。
しばらく進むと、ふいに視界が開けた。
頭上を覆っていた木々が途切れ、視界が急に明るくなり、反射的に目を閉じる。
明暗差に眩んでいたシドの視界が、元に戻ると――目の前には、巨大な一本の木が聳え立っていた。
「……すごい」
言葉が自然と漏れる。
その光景は圧巻だった。
幹を覆う模様は、まるで流れる旋律そのもの。
五線譜が幾重にも重なったような模様が白く、光沢のある樹皮に浮かび、太陽の光を浴びて淡く発光している様は、その神秘さを際立てている。
祭壇に祀られている樹など比べ物にならないほど大きく太い幹からは、いくつもの五線譜が枝のように伸びており、無数の音符が光り輝いている。
「これが……大樹様……」
『五線譜の大樹』を前に呆然とするシドだったが、耳から聞こえて来た旋律によって我に返ると、音の発生源がすぐ近くにあることに気づいた。
「大樹様の裏だ!」
五線譜の大樹の幹に沿って、音の鳴る方へと歩いていくシド。
一歩、また一歩。あゆみを進めるたびに、確実に近づいていく。
そして、樹の周りを四分の一ほど進んだところで、人影が見えた。
シドは幹から顔を覗かせ、その影の主を確認する。
そこにいたのは一人の少女だった。
肩ほどまで伸びた栗色の長い髪が、淡い光を受けて旋律と共に揺れる。
聞いたことのない音色の正体は、少女の持つ細長い枝のような管から出されているものだと分かった。
彼女は管を口に当て、美しい音色を奏でている。
その姿が、シドには絵本から飛び出した妖精のように思えた。
(綺麗だ……)
しばらく聞き入っていると、少女が演奏をやめた。
そして、シドが隠れている方に振り返り、口を開く――。
「ねぇ、わたしの演奏、どうだった?」
お読みくださりありがとうございます!!
今回は遅れてしまい申し訳ありません!
書き溜めてないとこうなるんですね。。反省です。。
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