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『実戦では役に立たないと言われたガンナーさんが異世界入り』  作者: 鼓動大路
二章・あばよゴーマー、こんにちわグラシエラ
16/22

妖精の森

特になし

「何てこった……本当にエロエロしい罠は静かの森に仕掛けられてたとはな……弁財天も腰抜かすぜ」

 薄絹のチュニックをまとって、花をあしらったサンダルを履いたエルフの美少年に迎えられて、宮坂敦子はやべえ、と言いたげに美由紀を見た。

「気をつけろ美由紀、こいつら後継者不足をハーフエルフでしのぐはらだ、アイスティーなんか飲んだら5秒でママにされるぞ」

 独身の男性エルフたちが来訪者を見る視線が、別段ネットリしていないのがかえって怖い。

「敦子ちゃん、アイスティーは男の人が男の人に振る舞うものじゃないの?」

「そういう常識は捨てろってこったよ」

 と言うかそんな常識どこで学んだ、と言おうとして敦子はやめた。

「うーん、行也くん達が来るまで飲食物に手を付けなければいいんじゃないの?」

「あの二人ごとママにされない保証がどこにもない。エルフの魔法を舐めちゃいけねえ」

 とにかく、海千山千の相手からなるべく安い価格でエルフの森の蜜蝋を入手しなければならない。対価に敦子か美由紀を置いて行けと言われるのが最悪だ。

 

「お代は金貨がこれだけと、北大陸北方のスノーエルフが有する、木の樹液で良うございますよ」

「あ、樹液はすぐ納入でなくとも結構です。こちらはエルフ、気長に待てます」

 エルフの長老はそろばんを弾き、少子化対策を敦子達転移者に求めていないように見えた。どうせ勘定は王国にツケるので、金貨で済むなら言い値で構わない。

「ああそうだ、おまけと言ってはなんですが、一曲お聞かせ願えませんか。何しろ人のあきんどが来る機会が少ないもので」

「無論ただでとは申しません。まずは拙いですが、こちらの歌と踊りから、披露させていただいて構いませんか?」

 呪歌でも聞かせる気か、敦子は心のなかで舌打ちした。

「いやいやいや、エルフの森で澄んだ歌を聞いた後で俺のダミ声を聞かせるもんじゃない。不調法を承知で、恥ずかしながらこっちから仕掛けさせてもらうぜ」



「敦子ちゃん、adesso e fortunaでも歌うの?」

「ここでそんなムーディーな歌唄ってみろ、身も心もイケメンのエルフ剣士が寄ってきて一発でママにされるぞ」

 そいつも悪くないが冗談じゃねえ、と敦子は首を振った。


 エルフの楽団に見せる呪歌の楽譜は一瞬でできた。


(そんなにお突き合いしたいならお前らだけでやれ)

 土魔法を用いた即席の舞台に立ち、敦子はニッコリと笑う。


 あの子♂は迷信にハマってる

 筋肉とヘリントン人形

 兄貴の予感がする

 あの子♂は俺をダメにする

 

 あの子♂は別のことにまた夢中

 新しいブリーフにもすぐ飽きる

 あの子♂は新しいことにのめり込む

 毎日毎晩のことなんだ

 

 彼は貴方の服を脱がせて、雨の中で踊らせる

 彼は貴方の人生を狂わせるけど

 お尻の痛みを除いてくれる

 脳天に睾丸を撃ち込むように(行こうぜ)

 

「あーちーちーあーちー! りゔぃん・ら・まら・ろーかー!」

「もうあーちーちーあーちー! 漢汁んだろーかー!」

「おーあーぷさーいいんさーいだーん! 白身を出させても!」

「あーちーちーあーちー! それはこかんがー!」

「させたことだーよー!」

「もりのようせいがー!」


 静かの森から少し離れたところ。鉄砲組は結界に弾かれて入れない。

「伊賀殿、お前あの子に何を伝えた!!」

 孫市は掴みかからんばかりの勢いでグラシエラに詰め寄る。

「知るか!!」

「本当にマジで知らん。俺達が生きたあの頃、男色はあった。でも、俺はそんなものに耽るヒマがなかった。三斎様も珍しくノンケだったせいで、どうもピンと来ねえ」

 祐直の魂は首をひねる。グラシエラの魂は黙っている。もしかしたら、腐っているのかも知れない。

「むしろそういうのって、イイ僧侶♂が沢山の石山御坊にいた鈴木殿のほうが詳しいだろう?」

「やかましいわ!」


 以後100年近く、静かの森では若い人間の男性の商人が歓迎されたという。

特になし

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