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異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜  作者: カイ
第1章 出会い〜旅の始まり

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閑話 山田の休日 5

紫惠琉の兄姉を送り出した後、

その日のうちに2人は一度戻ってきた。

だが、また明日も昼前にあっちに行きたいから今夜は泊まってくれないかと言われ、客室に通された。

部屋の作りは洋風ではなく和風の作りで畳なんだが、そこにベッドが置いてあった。

……なんか、どこかの宿みたいだな。


その日はお風呂も入らせてもらい、部屋に泊まった。


翌日の昼前に紫惠琉から連絡があり、待ち構えていた兄姉が躊躇なく順番に鞄の中に手を突っ込んであっちの世界に入った。

俺はすぐに2人を鞄から出してもらえるように、紫惠琉に連絡をした。


紫惠琉からの連絡で、どうやら2人が無事にあちらに着いたのを確認すると、2人が夕方まで帰ってこないだろうと見越して一旦紫惠琉の実家から外出する。


兄嫁さんの惠美さんに一旦家に帰る事を告げておくのを忘れてはならない。

惠美さんからすれば知らない場所に自分の旦那が行っているのだから不安なのは当然だ。


それでも俺は、あの家から外に出ただけでも少しホッとした。

やっぱり緊張していたんだろうな。


それから俺は一旦家に帰り、夕方頃までのんびりと過ごした。

紫惠琉の実家には夕方前に着き、玄関先に出てきた惠美さんと一緒に応接間へと向かう。

そこで出してもらったお茶を飲んでいると紫惠琉から兄姉の2人が鞄に入ったと連絡をもらう。


俺は早速鞄に手を突っ込み、2人を出してやる。

2人は出てくる時に何か手に荷物を持っていた。……なんだろう?


どうやら持っていた荷物はあちらで買ったお土産らしい。

それはちょうど夕飯に食べられるような物ばかりだった。


「今回は本当に、山田くんにはお世話になったね。これは君へのお土産だよ。」


そう言って悠騎さんがくれたのは何らかの肉が串に刺さったもの数本と野菜と肉が入ったスープだった。

どうやら悠騎さん曰く、あちらでとても美味しかったものらしい。


俺たちは悠騎さんの子供も含めて5人でお土産を食卓に並べて早めの夕飯を食べた。

もちろん俺へのお土産はお持ち帰り品だ。


その後、俺は沖家をお暇し、帰宅する。

その道すがら、ちょうど紫惠琉から「明日、俺の上司だった係長に鞄の中に入っている手紙を渡してくれないか?」と連絡があった。

なるほど、仲の良かった人に自分の字で手紙を送りたかった、と。

じゃあ手紙だけだとあれだし、なんかお菓子でも買ってやるか!


俺は帰る道沿いにあるお菓子屋さんで適当にお菓子の詰め合わせを購入し、ラッピングしてもらう。

もちろん代金は紫惠琉の共有財布から出したぞ!


……おや?

財布の中身がものすごく増えている……。

えっ、異世界ってこんなに儲かるの?すんごくびっくりだわ!


そんな事を思いながら無意識にお菓子を鞄の中にしまう。

……俺もこの鞄を扱うの慣れてきて、違和感なく自然に使うようになったもんだ。


それからしばらく1人で歩いて、家に帰ってきた。

なんだか今週の連休、いろんな意味て疲れたなぁ……。

早く風呂入って寝るか。


− − − − − − − − − − − −


翌朝会社へ出勤すると、早速ロッカー室で鞄から紫惠琉の手紙と菓子折りを持って奴の上司のところへ向かう。

どうやらもう目当ての係長は出勤していたようだ。


「係長、昨日、沖くんの家へ行った時に預かってきた物があるんですが……。」


俺がそう切り出すと、係長は少し驚いた顔をして俺を見る。

そして俺が菓子折りを持っているのを見て、苦笑いをした。


「沖くん、そんな気を使わなくても良かったのに。山田くん、沖くんは元気だったかい?」

「それが、俺も実際には会えなかったのでよくわからないのですが、家族の人が言うにはとても元気ではあるそうです。」


俺はそう言いながら手紙と菓子折りを手渡す。

係長は手紙を開いて中を見ると、とても優しい目で手紙を読んでいた。


「……そっか、彼にはもう会えないんだね。それはとても残念だよ。彼のことは息子のように思っていたから、突然の退職にはとても驚かされたもんだ。でもこの手紙にあるように、彼にとって『どうにもできない事情』というもののせいであるなら、しょうがないよね。山田くん、どうもありがとうね。沖くんに連絡がつくようなら、彼に『病気なんかには気を付けて、元気で過ごせることを祈っている』と伝えてくれないか?頼むな。」


係長は寂しそうな顔で、そう俺に伝えてきた。


「わかりました。連絡はつくので、本人にしっかりと伝えますね。」


俺はそう言って一礼すると、自分の部署のあるフロアへと歩きだす。


……とりあえず、俺の席に着いたら紫惠琉に係長の言葉を伝えてやらなければ。

それが、係長と紫惠琉の最後のやり取りになるのだから。

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