62、明日はどうなるかな?
部屋の外に出るとリッキーさんとスコットさんがドアの前で待っていた。
「シエル、2人はもう帰ったのか?」
「ええ、さっき2人は帰りました。今日はとても楽しかったそうで、俺もホッとしました。」
「それは良かった。さっき俺もリッキーから2人の話を聞いたが、2人共シエルとそっくりで、仲が良かったそうだな。」
「ええ、うちの兄姉はみんな似ているんですよね。3人とも配色は母親似なんですよ。」
「配色って…その髪色と目の色のことか?」
「ええ、そうです。」
「なるほどなぁ……まぁ、そのうち会わせてくれるんだろ?楽しみにしているさ!」
スコットさんはそう言って俺の背中をポンポンと叩く。
そうだね、そのうち皆に会わせられるといいな!
それから3人で食堂へと降りていく。
もう他の2人は先に食堂にいるらしい。
中に入ると確かに2人はテーブルを取っていてくれた。
「お帰り、シエル。2人との買い物は楽しかった?」
「ええ、とてもいい買い物ができましたよ!みんなで使う食器とか、俺の普段着とか。いろいろ買ってきました。」
「それは良かったわね!特に普段着のことは気になっていたのよ。これでシエルも同じ服を着回さなくてすむわね。」
「ええ、そうですね。ところで今日は皆さん何をしていたんですか?」
俺はエミリーさんとそう話しつつ、テーブルに座る。
それぞれ注文を済ませてからリリーさんが答えてくれた。
「私たち3人は屋台でご飯を食べたあと、防具を見に行っていたの。この前のオーク討伐で少し服が破れた所もあったから。私たちもいい買い物ができたわよ。」
「そうね、入ってきた報酬で付与魔法のついた防具を購入できたしね。あれはいい買い物だったわ。」
なるほど、冒険者の上位者になるとそんな防具を使うようになるんだね!
俺もそんな冒険者になれるように頑張らなくちゃ!
それからもいろんな話をしている間に料理が運ばれてくる。
どうやらオークの肉ばかりだとお客さんも飽きてくるだろうと、食堂のメニューがオークだけじゃなくなっていたんだ。
だから俺はブラウンブルの肉を使ったブルシチューにした。
スコットさんたち男性陣はブラウンブルのステーキを頼んで、女性陣はチキン?らしき肉の照り焼きを頼んでいた。
そうだ、今度チキンの照り焼きも作ろう!
俺はブルシチューにスプーンを入れ、一口食べる。
デミグラスソースのような深い旨味のある濃いソースによって長時間煮込まれたブル肉が口の中でほろほろとほどけていく。
……うまいなぁ〜!
ブラウンブルってどこに生息しているんだろう?
近場なら皆で狩りに行くのもありか?
自分たちで狩ったなら、ブル肉食べ放題だよ!
俺がそう思ってニヤニヤしていると、リッキーさんがこっちを見て「ブフッ!」と吹き出しそうになっていた。
「……ゴホッ、ブラウンブルは西門から出てすぐの森の手前の平野にいるぞ。集団でいるから、1頭狩ろうとするとその他のブルが助けに襲ってくるんだ。狩るなら何頭もいっぺんにいかないと逃げていかないから危険だぞ?それでも行くのか?」
「……少し考えます。」
リッキーさんの言葉に俺が尻込みすると、スコットさんも俺が何を考えたのか分かったようだ。
「食べたいのなら、明日ゴーダおじさんのところに行ってから試し切りも兼ねて狩りに行ってみるか?前回の時シエルだけ狩らなかったし、ちょうどいい。」
「そういえばそうだな。俺もおっちゃんが刀を作ってくれてるはずだし、試し切りにちょうどいいな。」
「じゃあ明日はその2つだけこなして、明後日にルーシェさんのところに行く?」
「そうだな、出発は明後日にするか。」
とりあえず明日はゴーダさんの所に行き、それから西門を出てブラウンブル狩りに行くことになった。
……クフフ、明日のブル狩り、楽しみだな!
ゴーダさんの先祖が作った刀、どんな感じなんだろう?
それから夕飯を食べ終わった俺たちは各自部屋へ。
俺も部屋に戻る。
部屋に戻るとユーリが鞄から飛び出してきて、俺の腹にくっついてきた。
『ママ、僕もおにぎり食べてみたいなぁ!今日の昼、皆で食べていたでしょ?僕も食べたいよぉ!』
ユーリは口からちょろっとよだれを垂らしながら俺を見上げる。
俺は鞄に手を突っ込んでおにぎりを2個出してやり、1個をユーリの口元に持っていってやる。
するとユーリは嬉しそうにおにぎりにかじりついて食べ始めた。
ユーリがおにぎり2個食べ終わるのにそんなに時間はかからなくて、少し物足りなそうだったので唐揚げも5個ほど皿に入れてテーブルの上に出してやる。
するとユーリは嬉しそうにテーブルに移って食べ始めた。
……意外に小柄なのに食べるねぇ。
でも考えてみれば本来のユーリの大きさから見れば少食なのか?
そんなユーリを眺めていると山田から連絡が来た。
どうやら兄さんからお土産としてこちらの屋台飯を貰ったらしく、『そっちの飯も意外と美味いな!ありがとうな!』とあった。
口に合ったようで良かったよ。
山田にはこの2連休、ホントにお世話になったからな。
あ、そうだ!
こうやって物を向こうに送れるんだから、辞表は提出してもらったけど俺の字で会社に手紙を書くかな。
直属の上司にはとてもお世話になったしね。
それから俺はかわいがってもらっていた上司宛てに「辞表、俺が直接書けなくてすみません。どうにもできない事情で会社にも顔を出すことができなくなりました。今まで大変お世話になりました。これからも皆さん体にお気をつけて、仕事を頑張ってください。」と俺が持っていた仕事用の鞄に入っていた便箋セットを使って手紙を書いた。
これを明日、山田に届けてもらおう。
またもやお世話になるが、会社にはこれが最後の挨拶になるから許してほしい。
その旨を山田に連絡し、手紙を頼んだ。
さて、明日はこっちもあっちもどうなるかな?




