566、真夜中の襲撃 3
俺が戦闘態勢を整えて3人と戦おうとしていると、辺りを一陣の風が吹き、土埃を吹き飛ばした。
「……何っ!?何故、貴様らは無傷で立っているのだ!?」
3人のうちの1人の神官がとても驚いた声で叫んだ。
そう、土埃が消え去った後、何事もなく国王とリーシェさんが立っていたのだ。
そりゃあ何も知らない奴らからしたら驚きしかないだろう。
なにせ、猛火の竜巻の中からの生還なのだから。
そんな2人を見て、その3人の中ではリーダーらしき神官が目を細めて舌打ちをする。
「あの国王の隣に立っている奴はもしやハイエルフ……?チッ、奴の結界が一枚上手だったか。まぁ良い。丁度あっちも3人、こっちも3人だ。お前らは国王達をやれ。俺はこのガキをやる。終わったら加勢するが、2対1なんだからやれるだろ?」
そのリーダーが他の2人にそう言うと、彼らは頷いてリーシェさんたちの方へと向かった。
そしてそのリーダーはこちらへとゆっくり飛んでくる。
「フハハハ!悪いが貴様には死んでもらう。一息に始末してやるから安心しろ。」
その神官はそう言うとその姿を別の姿へと変化させた。
どうやら彼はそこまで『魔物』といった姿ではないようで、その変化は肌の色が真っ黒になった事と額から生えてきた巨大な角、悪魔のような羽根と尻尾のみだった。
あ、顔も少し人間離れしているかも?
その姿はよく映画に出てくるような『悪魔』と酷似している。
俺は奴が近づいてくる前に、自分にも体に沿うように結界を張る。もちろんいつもの仕様でだ。
それが終わると、右手に持っていた刀に魔力コーティングを施す。
これで準備は万端だ!
俺は奴が来る前に、自分の最高速度で肉薄する。
もちろん俺は空中を飛べないので、高速で足元に結界を張り、足場を整えた。
俺の様子を見たその神官はとても驚き、一瞬動きを止めた。
俺はその隙を逃さず、一気に刀を左肩から袈裟斬りで斬りつける。
奴はとっさに右腕を出して刀を受け止めようとしたのだが、魔力コーティングを施してある俺の刀には敵わなかったようで、そのままスパッと斬り落とされてしまった。
それを感じた奴は、一瞬で遥か後ろへと転移する。
その切られた腕からは、何故か血は出てこなかった。
「何ぃっ!?そんな馬鹿なっ!しっかりと俺の魔力で結界を張っているのに、こんな馬鹿なことがあるものかっ!」
奴はそう叫んで「ふんぬっ!」と気合を入れると、斬り落とされたばかりの腕から新しい腕が生えてきた。
……なんか、『トカゲの尻尾』みたいだね?
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……貴様、一体何者だっ?ただのガキではないな?」
その神官は俺を、目を細めて眺めている。
その目は俺の正体を探ろうとしているようだ。
だが俺はリーシェさんたちのほうが気になるので、一気にけりをつけようともう一度向かう。
だがそれを見た奴は、上空へと逃げ出した。
俺は軽く舌打ちをすると、奴のそばへと転移し、現れた瞬間に足元に結界を張って立つ。
奴は驚いではいたが冷静で、すぐさま別な所へと逃げ出す。そして俺はまた追いかける。
これを何度か繰り返した後、奴は俺の張った足場用の結界にぶつかったようで、一瞬隙ができた。
俺はそれを逃さず、転移した瞬間に奴の首を斬り落とした。
斬り落とす方に重点を置いていたので足元には結界が無く、俺は重力通りに落下をした。
だが俺は慌てずにすぐに屋上の床へと転移をし、先ほど斬り落とした奴の体と頭が上空から落ちてくるのを眺めていた。
そしてその2つに向かって刀を構え、俺の目の前を通る直前に細切れの肉片へと変える。
更にここから復活されても困るので、肉片全てを結界に閉じ込めた後に、その中へと相当な高温の炎を投げ入れて灰へと変えた。
こちらの処理が済んだ後、リーシェさんの方へと加勢しに向かう。
リーシェさんは魔法で戦っていたのだが、いかんせん相手は肉弾戦を得意としているようで、相性が悪いようだった。
俺は気配を消し、何も言わずに一気に奴らの背後から2人を斬りつける。
1人は上手く始末できたのだが、もう1人は気づき、応戦してくる。
俺がその神官と戦っている間に、斬り捨てられたもう1人をリーシェさんが結界から業火で焼き尽くしてくれた。
最後に残った神官は焦り、逃げ出そうとした所を俺と一緒に結界で閉じ込める。
そして逃げられなくなったところで一気にかたを付けた。
最後にその神官の残骸をリーシェさんが燃やし尽くして灰にすると、ようやくほっと息を吐く。
気が抜けた俺は、その場で床に尻をついた。
ふぅ〜……やっと終わった。
今日は本当に疲れたなぁ……。




