37、スノーホワイトに入ろう!
「あっ!しまった、山田に姉さんの事を相談し忘れた!」
それが、翌朝起きた時にまず一番に思ったことだった。
しかも後でユーリが産まれるところを撮影した動画も送るって言ってたのにそれも忘れてしまっていた。
しまったなぁ……いろいろありすぎてすっかり忘れてしまったよ。
でもまぁ、今夜山田にまた電話して相談すれば良いか!
俺はまた山田と話す事ができるせいか、スコットさん達が朝食に誘ってきて食堂に行く間もずっとニコニコしていたらしい。
リッキーさんに「なんか良いことあったのか?ずっと笑顔だけど。」って言われるまで気づかなかったけどね。
食堂に着くと、もうすでにエミリーさん達は席についていた。
「遅くなってすみません!昨日ちょっと夜更かししてしまって…。」
「別にそんなに持ってないから気にしなくても大丈夫よ?私たちもさっき来たばかりだしね。」
「そうですよ〜、まだ何食べるかも決めてませんしね。あ、今日のオススメは『オーク肉のスタミナ炒め定食』だそうですよ?」
そ…それは朝から重いなぁ。
俺はもっと軽めのを頼もう。
俺がそう思ってメニューを見ていたらスコットさんたち男性陣だけでなく、細めのリリーさんも今日のおすすめを頼むらしい。朝からよく入るね?
とりあえずみんなが注文を終えると俺はまず隣の席のリッキーさんに気になったことを聞いてみた。
「リッキーさん、この食堂ってキッチンを借りることは可能ですかね?」
「ん?なんか作るのか?」
「ええ、昨日ちょっと手に入った物がありまして…実は異世界の食材が手に入ったんです。」
最後の方は小声で伝えた。
するとリッキーさんは目を見開いて驚いてしまった。
そりゃあ異世界の食べ物が手に入ったなんてなったら驚くよね!
「えっ、それってどうやって!?っていうか、何を作るのさ!?」
俺が『落ち着け』とジェスチャーをすると、リッキーさんはハッとして周りを見渡し、声のトーンを下げてくれた。
「昨日の夜、新しい鞄の機能が追加されまして。向こうの仲間から荷物を受け取れるようになったんですよ。」
「…まじかぁ。とんでもない機能だな!?」
それを聞いていた他のメンバーも一様に驚く。
中でもリリーさんは知識欲もあるからか興味津々だった。
「シエルくん、それ作ったら後で私たちにもくれるのかしら?」
「はい、出来上がったら皆で食べますか!あ、お米ってどこで買えますかね?」
「米なら冒険者ギルドに行った後に買い物するから、その時に買えば良いよ。俺が案内するからな!」
リッキーさんがウインクをして、そう約束をしてくれた。
ありがたや、ありがたや!
やっぱりカレーにはライスでしょ!
そう、実はこの世界、お米が普通にあるのだ。
この世界に来てすぐに食生活が馴染めたのも、やっぱりお米があったからだと思う。
日本人ならお米は大事だよね!
そんな話をしていると女将さんが出来上がった料理を持ってきた。
すると早速リッキーさんが女将さんにキッチンの件を聞いてくれた。
女将さんの返事は「お昼前の2時間か、お昼後の3時間なら野菜とかの下ごしらえをしているから貸してあげられるよ」とのことだったので、お昼後に借りる約束をした。
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その後、俺たち3人は昨日話していた通り冒険者ギルドへ来て、いつも通りにルーシェさんに会いに部屋へ向かった。
中に入るとこれまたいつも通りにソファーに座り、今日は珍しく書類仕事のないルーシェさんがすぐにソファーに座った。
「今日はどうしたの?解体の代金はまだまだ時間かかるよ?」
「いや、今日来たのはその話じゃない。実はシエルのスノーホワイトに加入する手続きと従魔の登録をしたいんだ。」
スコットさんがそう切り出すと首を少し傾げたルーシェさん。
「その程度なら僕が関わらなくても、下の受付でもできるんじゃない?」
「まぁチーム加入の件だけなら下でも済むんだが、従魔のほうが下で出すと大騒ぎになって収拾がつかなくなりそうでな。その点お前なら秘密厳守で誰にも話さないでくれるから安心だ。」
そう言われて、なんだか嬉しそうに微笑むルーシェさん。
自分の胸を叩いて「大丈夫、秘密は守るよ!」と請け負ってくれた。
「分かったよ!今、その2つの登録をする道具を出すね。この部屋にあるのはちょっと特殊で、秘匿したい情報は通常のスキャンでは出てこないように設定できるんだよ。便利でしょ?」
ルーシェさんはそう言って俺に向かってウインクをすると、壁にある鍵のついた棚の中から平べったい箱を取り出してテーブルに置いた。
中を開けると下の受付にもある板に似た品を出した。
違うのは下の受付ではグレーの薄っぺらい板なのに対し、この板は透明だった。
でもどちらも中央に魔法陣が書いてあるのは一緒だ。書いてある内容の違いは俺じゃわからないけど。
「じゃあ、まずはチーム登録からいこうか。シエルくん、カード貸して?」
俺は言われた通りにギルドカードを渡す。
ルーシェさんはそれを受け取ると透明な板の上に置く。
するとルーシェさんの目の前にステータスボードみたいなものが浮かんだ。
「え〜っと…チームの部分を変えるだけだからここをこうしてっと。よし、これでスノーホワイトのメンバーに正式になったよ。おめでとう!」
ルーシェさんは笑顔でそう言ってくれた。
俺も嬉しかったので「ありがとうございます!」と笑顔で言った。
「…さて、これでチーム登録は済んだよ。あとは従魔登録なんだけど、肝心な従魔はどこにいるの?」
ルーシェさんは不思議そうな顔でそう聞いてくる。
それはそうだよな、今ここにはいないんだもん。
俺は鞄を開けると中にいるユーリに「出てきて良いよ!」と声を掛ける。
ユーリは一声「キュ〜!」と鳴くと外に出てきて、俺の膝の上に座った。
するとそれを見たルーシェさんは目がこぼれ落ちるのではと思うくらい目を見開き、口を開く。
「そ、その子……もしや小さいけどドラゴン!?それもその色だと『神竜種』ではないですか!?」
……えっ、ルーシェさん、もしかして何か知ってるの?




