36、山田の役割?
「……というわけで、俺が持っている鞄とお前が持っている鞄が繋がっているそうなんだ。」
俺は山田から『俺がスマホをみてなかった間』に彼に起こった出来事を聞かされた。
なるほど、そんな事があったのか!
だから第一声が「そういえばお前、鞄の中身は確認したか?」だったのか。
それにしてもあの婆さん……いや、男?ともかくあの人、神様だったのか?
通りでユーリの卵の鑑定に『神から託された者』っていう表記があったわけだ。
「ところで、お前は一体何を送ってよこしたんだ?」
「それは実際に鞄の中身を確認すれば良いだろ?一つヒントを言うなら、そっちにいると絶対手に入らないっていう品だ!」
な〜んか、ドヤ顔されている気がするんですけどっ!
その声にちょっとだけイラッとはしたが、素直に鞄に手を入れてみる。
すると目の前にカバンの中身が表示された。
そこにはいくつかの物の名前があったが目新しい物はない……と思ったら、驚くものがあった。
なんと『玉ねぎ』と『人参』、『じゃがいも』、そして『カレールー』だった!
「おいっ!カレールーが入ってたぞ!?これ、野菜と一緒にお前が入れたんたな!?」
すると電話越しにニヤニヤしてそうな口調で「どうだ、嬉しいだろう〜?」って言われたよ!
まぁ、確かに嬉しいけど!嬉しいけどさ!
でもね、一体どこで調理するのさ!
……しょうがない、明日リッキーさんたちに聞いてみよう、カレー食べたいし。
俺か山田にお礼を言った時、急にユーリが「キュ〜!」と一声鳴いた。
『僕も紹介して!』ってことかな?
「っ!?今の鳴き声、一体何の動物だ!?」
「何って、赤ちゃんドラゴンのユーリが鳴いたんだよ。」
「あ、赤ちゃんドラゴン!?いつの間に生まれたんだ!?この前の電話では卵だったはずだろ!?」
「ああ……そういえばこの前のオークの巣を潰す最中に産まれたんだっけ。」
「マジで!?え〜~っ!俺も見たいなぁっ!!」
「見せることは可能だと思うぞ、テレビ電話で話せるからな。ただ、実際に触れ合うことはできないよなぁ。あ、あと約束通りに産まれてくるところも動画で撮影しておいたから後で送るわ!」
俺たちがそう会話をしていると、突然ユーリが自分から鞄の中にゴソゴソと入っていった。何をする気だろう?
「なんだかわからないけどユーリが鞄に入っていったぞ?」
俺がそう山田に言うと、今度は山田の受話器から驚いた声が響いた。
「どうしたんだ!?一体何があった!?」
俺がそう声をかけると、電話の向こうで『キュ〜!』という聞き慣れた鳴き声が聞こえた。
「えっ、まさかそっちにユーリが!?」
俺が驚いて山田にそう聞くと、混乱しているだろう山田の携帯越しに震えた声が聞こえた。
「お…おいっ!なんか鞄からごっついのがでてきたそ!?これがドラゴン!?……噛まない、よな?」
「そう、その子が赤ちゃんドラゴンだ!名前はユーリ。大丈夫、噛まないよ、危害を加えなければ。とても頭が良いから言葉も通じるし、話しかけてやってよ。」
すると電話の向こうから『キュッキュ〜!』というご機嫌なユーリの声が聞こえた。
どうやら山田は勇気を振り絞って撫でたりしているようだ。
しばらく山田とユーリの会話を電話越しに聞いていたが、やっぱり俺と同じで『イエスorノー』で会話をしているようだ。
電話から聞こえる声はほぼ山田の質問しか聞こえないから独り言みたいに聞こえるのがちょっと面白い。
大体感覚的に30分くらいのふれあいタイムの後、ユーリは手を振って鞄に入ったそうだ。
するとその直後、こちらの鞄からユーリがのそりと出てきた。
「お帰り、ユーリ。向こうは面白かった?」
「キュッキュキュッ!」
「……何言ってるかわからんが、雰囲気からして楽しかったたんだな?山田もユーリと遊んでくれてありがとうな。」
「いやいや、俺もまさかリアルドラゴンと日本にいながら触れ合えるとは思ってなかったから貴重な体験だったよ。」
「なら良かったけど。もしユーリがそちらへ行った時はまたよろしくな!ちゃんと行って良い時間とかは伝えておくからさ!」
「……了〜解。心構えだけはしておくよ。あ、あとなんかこっちの品で欲しいのあったらメッセージくれな、時間ある時に買って鞄に入れておくから。」
「ああ、それも頼むな。それにしてもお金はどうしたら良いんだ?」
俺がそう呟くと山田から意外な返答があった。
「例の男から言われたんだが、『シエルくんがいる世界のお金を鞄に入れてある時、君がその財布をカバンから出したら日本のお金に変換される様にしてあるから、遠慮なく使いなね?』だそうだ。今回はさすがに勝手に使うのもあれだから俺が出したがな。そういうことだから、なんかわかりやすくしておいてもらえるか?こちらも一応、カバンに入っているものは頭の中に表示される感じになっているから、お前の方で共有の財布を決めて入れれば多分『共有の財布』って表示が出るんじゃないかと思ってる。」
なるほど、そんな感じになっているのか!
それは資金の心配をしなくて良いから便利だな!
でも、ホントにそうなっているのかな?
「じゃあ俺がそっちで使っていた財布があるから、そこからカード類を出してこちらのお金を入れておく。それをお前がそっちの鞄で出して中身を確認してくれないか?」
「了〜解!」
山田の了承を受けて、俺は日本で使っていた通勤カバンを取り出した。
中から長財布を取り出し、カード類を全部取り出す。
それからこちらの金貨と銀貨を2枚ずつ入れて、元からあるお金と合わせると5万5千円になるようにした。
「じゃあこれを共有の財布として…っと。よし、鞄に入れたからそっちの方で確認してみてくれ。」
「了〜解。……これかな?えっと、中身は紙幣で一万円札が5枚、千円札が5枚あるぞ。間違いないか?」
「おぉ〜…ちゃんと変換されて財布に入っていた!やるじゃん、神様!」
なんと共有の財布にはちゃんと日本円で入っていたようだ。なんて便利な!
「じゃあこれからはその財布からお金を出してくれるか?こっちも魔物討伐とかで手に入ったお金をちょこちょこ入れていくから安心しろよ!」
「ばぁ〜か、そんな事心配してねぇよ!足りなかったら俺が立て替えておいてやるしな!その代わりあとでよこせよ?」
そう笑いながら山田が言ってくる。
ホント俺の親友は頼もしいやつだ!
その後他愛もない話を少しして、俺たちは電話を切った。
こうやって話ができるのも俺のスキル『インターネット』があってこそ、だよな。そこは神様に感謝だ。
それから俺はまだ風呂に入ってなかったのを思い出し、慌てて風呂道具を持って風呂に入りに行った。
その間、鞄は部屋に置いておく。
ユーリには誰か来たら鞄に入って隠れなさいと言っておく。
そうじゃないと何があるのかわからなくて危険だからな。
風呂から帰ってきたらユーリを抱っこしてベッドで眠りにつく。
よほど疲れていたのか、横になった途端に瞼が重くなり、すぐに眠りの海に沈んでしまった。




