310、入学式後のパーティー
入学式の閉会後、その場はパーティー会場へと移行した。
……通りで入学式なのに壁際に大きなテーブルがあると思ったよ。
その大きなテーブルは、なんとリーシェさんが魔法で浮かせて一瞬で中央へと移動した。便利な魔法だね!
テーブルがセッティングされると、次々と料理や飲み物が運ばれてくる。
すべて揃った所でリーシェさんが魔法で何かを調べているようだ。……なんだろう?
何かを調べ終わるとリーシェさんは司会者の先生の所へ行き、何かを報告する。
「ただいまリーシェ先生から『毒見』の代わりに魔法で調べていただいて何もないことを確認してもらいましたので、これより入学祝いのパーティーを始めたいと思います。お好きに料理や飲み物をお楽しみください。」
すると会場にいる皆は料理や飲み物の所へと向かい、その場にいる係の人に取り分けてもらっている。
「俺達も料理を取りに行こうぜ?」
いつの間にか直ぐ側に来ていたリッキーが、そう言って料理のある所へと歩いていった。
周りを見ると他の3人もそばに来ていた、
皆で揃って料理の所へと歩いていくと、途中でリーシェさんもこちらに合流して総勢8人の大所帯で移動することに。
周りはなんだろうとこちらを注目し、そしてヒソヒソと会話をしている。
たぶん一緒にいる俺が先ほど国王から声をかけられていたのも影響しているのかもしれない。
俺たちは無事に料理をゲットして美味しい料理に舌鼓を打っていると、先程少し話した国王と王妃がこちらにやってきた。
「リーシェよ、私とクイーナの料理を検分してもらえるか?」
「ええ、もちろんですよ。先ほど一応は検分いたしましたが、取り分けられた後も王族の方の分は改めて検分が必要ですからね。」
リーシェさんはそう言うと、国王と王妃が差し出した料理に魔法をかけてさっと調べる。
頷いたところをみると何も問題はなかったのだろう。
その後みんなで料理を食べながら今後の話をする。
やはり国王としては『スノーホワイトには手出し無用』を貫く方針らしく、聖剣のことも何も触れずに一言「精霊をよろしく頼む」とだけ言われた。
なるほど、その話もリーシェさんから詳しい報告が内密にされていたらしい。
「それにしても君たちは本当に仲間の絆が強いのだね。そうやって彼を守っている配置にいるところを見ると、余程大事なのだろう。」
突然国王が俺たちを見て、そんなことを言った。
その言葉で俺も周囲を見渡すと、確かに4人は俺を中心に囲うように立っている。……いつの間に?
「それはやはりうちの子たちを警戒しているのだろう?案ずるでない、下手なことはせぬように後で言い聞かせておくゆえ。」
国王のその言葉に頷く4人。
やっぱりそれを気にしていたんだね。
「その代わりと言ってはなんだが、私との会談は許してはもらえないだろうか?もちろん君たち同席で構わないのだが。少し考えてみてくれないかね?」
「……わかりました、それくらいであれば。ただし、王子、王女がたは同席させないでくださいね。リッキーに言わせると王女がなにやらシエルのことを気に入ってしまったようなので。……お分かりいただけますよね、こちらの言いたいことは?」
スコットさんの言葉に、苦笑いをする国王。
国王は「分かった、善処してみる」と答えてくれたが、どこまでできるだろうか?
そんな話をしている間にまたもや王子達3人がやってきた。
「父上、我々も混ぜてもらえないでしょうか?」
そう言ってきたのは第一王子のセインだ。
国王はちょっと考え、チラッとこちらを見る。
スコットさんは苦笑いをして頷いた。
「よかろう。ただ先に言っておくぞ?この者たちには学園にいる間、手出し無用だ。それだけは覚えておくように。もちろん普通に『友人関係』を築く事は構わない……だろう?」
国王は王子たちに話しかけた後、スコットさんをちらっと見た。
「……わかりました。それくらいならば認めましょう。ですがシエルが嫌だと思うようなことをするのは避けていただきたい。」
「……と、いうことだ。お前達もしっかりと頭に入れておきなさい。特にセインはな。」
スコットさんの返答にホッとした国王は、改めて王子達に念押ししてくれた。
それからの王子はまるで最初の声かけ時の雰囲気はまるで無く、終始にこやかな表情で話していた。……親の前だからかな?
国王の所にはやはり沢山の貴族が挨拶へと訪れる。
それを申し訳ないと思った国王夫妻は俺たちに別れを告げ、去っていった。
その途端に第一王子のセインがそれまでのにこやかな顔を一変させ、眉間にしわを寄せて不機嫌な表情に。
第一王女のローラもあからさまにツーンとした表情へと変わった。
第二王子のクロードだけは苦笑いをしている。
「……お前たち、父上が『手出し無用だ』と言ってくれているからっていい気になるなよ?お前達は王族ではないんだからな。」
「そうよぉ〜。平民出身なのは変えようがないしぃ〜。」
「……今のうちに謝っておくが、2人の言動が目に余る様になったら申し訳ない。」
セインとローラの2人は前評判と違わず傲慢さが滲むような言動で、クロードはその2人の事で苦労しているのがよくわかる。
三人三様の反応をしてきたが、まともだったのは第二王子のクロードだけだったね。
「ところでお前さぁ、そいつらとの冒険者チームやめて俺らの仲間になれよ。その方が危険なことはないし、身分も上げてやれるから将来的には安泰だぜ?」
「そうよぉ〜?何せこの私と婚約して、将来は大貴族になれるもの。そこいらの貴族なんかみんな格下になるから馬鹿にされることもないしねぇ〜。良い提案だと思わない?も、ち、ろ、ん、当たり前だけどぉ〜、この話には乗るわよねぇ〜?」
「おい、それさっき父上からやめろって言われていただろ?」
ニヤニヤしながらセインとローラが俺に向かってそう言ったところで、クロードが止めに入る。
すると2人とも嫌そうな顔をしてクロードを見る。
「お前、まだ言ってるのか?父上にバレなきゃ良いんだよ!」
「そうよねぇ~。クロードってぇ〜、本っ当に頭固いわよねぇ〜。」
「……。」
セインとローラの2人は俺への話をしていたはずが、いつの間にか自分の兄弟への非難の言葉に変わっていた。
……この3人、仲悪いんだろうか?




