23、オーク殲滅作戦2
皆で十分体力を回復し、補助魔法もかけた後に俺が作った壁を崩す。
あれだけ硬い壁も俺が魔力供給を切るとすんなりと崩れていく。
意外と便利なんだな、アースウォールって。
でも寝てしまうとこの壁どうなっちゃうんだろう?崩れるのかな?
壁が突然崩れ始めたから3体のオークは警戒をしたようで、すぐにはこちら側へ来ない。
3体はすっかり土埃が収まってからこちらへゆっくりと歩いてくる。
手前を歩いていた上位個体2体をスコットさんとリッキーさんが受け持ち、キングをとりあえずエミリーさんと俺の魔法で相手取る。
エミリーさんもキングを相手にするのは初めてらしい。
とりあえず俺達はエアカッターでどの程度のダメージが入るのか試してみた。
上位個体にも有効だったバフ付きのエアカッターもそこまで効かないようだ。
さすがにキング、強いな!
「…さすがキングね。すごく皮膚が硬いのね。どうしようかしら…。」
「とりあえず俺が鑑定して弱点がないか確認してみます!」
「そうね、その手があったわね!頼むわ、シエル!」
「はいっ!『鑑定』っ!」
俺はすぐに鑑定スキルを使った。
『鑑定結果』
【種族】オークキング
通常のオークの10倍は皮が厚くて硬い。普通の刃物や魔法では刃が立たないだろう。だが火魔法で丸焼きや水魔法で包みこんでの窒息は有効である。他にも口の中は無防備なのでそこを狙って刃物を使うのもありです。がんばってね!
「…あれぇ?」
「どうしたの、シエルくん!?」
エミリーさんにそう聞かれて気づいたが、俺は思わず声を漏らしてしまったようだ。
だってそうだろう?
前もなんだか少し文章がおかしい気がしていたが、今回は間違いなくおかしい。
これ調べて教えてくれてるの、一体誰だ?
絶対機械的なものじゃなくね!?
俺のそんな動揺に気づかなかったエミリーさんは戦いながら更に聞いてくる。
「何か問題でも?もしかして、弱点がなかったの!?」
その言葉で俺もいったんは疑問を飲み込み、エミリーさんに答える。
「火魔法で丸焼き、水魔法で包んで窒息、刃物なんかで口の中を攻撃がおすすめらしいです!」
「そうね、後で素材を売るとしたら水魔法での攻撃が良さそうね!シエルくん、頼めるかしら?」
「了解です!」
俺は即座に水魔法でキングの上に巨大な水の塊を悟られないようにそっと作り出す。
そして完成したら素早くそれでキングを包み込む。
するとキングは中で藻掻き出したが、さすがに水の中では何もできないようだ。
周りを見渡すと、俺たちが戦っている間にスコットさん達は戦闘を終わらせたようで、こちらに向かっているのが見えた。
多少怪我はしていたが、先程の戦闘よりは時間もかからなかったし怪我もあまりなかったみたいだ。
良かった、2人も無事で。
それからこちらに着いたスコットさん達は水の中で藻掻くキングを見る。
「なるほど、これは考えたな!これなら力で敵わなくても関係ないし、他に被害が出ず、素材も綺麗なままだ。」
「そうだな!しかし、これを考えたのってシエルか?」
「いえ、鑑定したら『火魔法で丸焼きや水魔法で包みこんでの窒息は有効である。他にも口の中は無防備なのでそこを狙って刃物を使うのもありです。がんばってね!』って言われまして…。」
「…なんか変だな、シエルの鑑定魔法?」
「俺もそう感じたんですけど、やっぱりリッキーさんもそう思います?」
「通常は機械的な鑑定結果だって聞くぜ?まぁ、俺自身がスキルを持ってないから聞いた話だが。」
そんな会話をしている間にどうやらキングを倒したらしい。
振り向くといつの間にか動かなくなって浮かんでいた。
全く動かなくなったので水魔法の解除をする。
中から出てきたキングを調べて、確実に死んているのを確認。
それをとりあえず俺の鞄に収納する。
「さて、この洞窟の中と周辺にはもうオークはいそうにないか?」
「そうだな、俺の魔法では引っかからない。シエルの方は?」
「俺の方は…少し離れたところにオークがいるようですが冒険者も5人ほどいるので戦闘中だと思います。」
「この辺りならたぶん暁の星なんだろうが、それにしても人数が足りなくないか?」
「そうだよな。…なぁシエル、他のメンバーがどこにいるのか分かるか?」
「他のメンバーですか?ちょっと待って下さい。」
俺はそう言うと目を瞑って、さらに探査魔法を使う。
するとこの洞窟のすぐ近くに5人ほど敵か味方か分からない白い印があった。
なんだろう、これ?
「今もっとよく探査魔法を使ったらこの洞窟のすぐ近くに敵か味方か分からない印が5つあるんですが、数が合うし、もしかしてこれですかね?」
俺がそう言うとスコットさんとリッキーさんが顔をしかめる。
他の2人の顔も見ると、やっぱりしかめていた。
どうしたんだろう?
「なぁシエル、さっきみたいにこの場所に硬い壁を作って俺たちを閉じ込めてくれないか?できるならその変な印の奴らが来る前に。」
「はい、わかりました!」
俺はそう返事をすると素早く巨大な壁で塞ぐ。
だが全てを塞がずに、あっちからはよくわからないように天井までは塞がないようにした。
これなら俺たちが窒息することないからな。
しばらくするとその印が洞窟内に入ってくる。
一応洞窟の中を確認しながら奥まで進んでいるようで、あちこちにふらふらと移動しているように探査魔法に映っている。
スコットさんは皆に気配を消して身動きをせずにその場に座っていろと伝えた。
しばらくするとその印が俺達のいる洞窟の奥までやってきた。
しきりに辺りを探していたが何も見つけられなかったようだ。
辺りには血痕だけじゃなく大量の水があった形跡もあるが壁は濡れていないのにすぐ下からあるので、頭の良い人ならここに作った壁があるのに気づくだろうと今になって気づいた。
(どうか、ここに来る人が気づかないで去ってくれますように…!)
俺は必死になってそう願った。




