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予感

「どうした? ずいぶんご機嫌ではないかサントリナよ?」

買い物中も思っていたが、リナがずいぶんとテンション高め。その立ち振舞いは、まるで踊っているかのように軽やかだった。

「あら、お分かりになります? 実は… とうとう完成したでありますの♪」

竜田揚げの刺さったフォークを両手で握りしめ、目をキラキラさせて話す。普段は立派な令嬢で誰よりも大人なんだが、どうやら研究が絡むと一気に子供になる性分らしい。てか、何が完成したんだろ?

「そうか! いよいよなのだな! うおおおー!!」

サフィニアが箸を握りしめて叫ぶ。私は呆気にとられて近所迷惑と注意するのも忘れる。てか、何が完成したんだ?

私のことそっちのけであれやこれやと話し続ける二人。まぁ楽しそうだし、どうせ研究絡みなら私は理解出来ないだろう。わざわざ割って入って話の腰を折ることもない。ゆっくりご飯を食べながら、しばし二人のやり取りを眺める。会話のスピードが早いうえに、何について喋っているかもよくわからないので、聞き取れた単語でぼんやりと内容を推測してみる。てか、テンション高い時のこいつら、動きがコミカルで面白れーな。

「完成」「王に」「会える」「国民に」「別れ」「明日にでも」「連絡済み」「楽しみ」

なんか、そんな単語が聞こえた気がする。竜田揚げ旨いなぁ… もきゅもきゅと咀嚼そしゃくしながら見学…

(ん? なんかこれ、そういうことっぽいのか?)

もしかして… と質問しようとするも、一通り話し終えるとさっさと食事を切り上げて、二人とも『明日の準備』に取りかかってしまった。聞きそびれた。一人、食事を続け、一人片付けをする。よりによって今日の当番は私。二人のどちらかだったら手伝いながらそれとなく聞くことも出来たんだけど… 準備とやらは念入りらしく、部屋にこもっていてなかなか機会が得られない。というかどこいった私の積極性!びくびくおどおどにも程がある! なんか、そんな自分にも嫌気が差して、結局そのまま風呂入って寝ることにした。どうせあとでわかることだし!



夢を見た。自分が異世界に召喚されて城らしき場所にいる。しかし勇者ではないとわかり城から追い出される。理不尽な仕打ち。あてもなく歩いていると声をかけられた。何故か見覚えのある、だけども知らない顔。その人物はこう言って手を差し出した。

「先程は身内が失礼した。異世界からの来訪者よ、私と勇者を目指してみないか?」

私は涙を一筋流しながら、その手を取り共に歩きだした。そこで目が覚める。

(なんて夢だよ… 完全にあいつじゃん… 後ろにリナさんっぽい人いたし。ほかに二人いたし…)

まだ明け方だったが二度寝する気にもなれず、先に出ると書き置きして出勤。今年に入って一番の寒さ。コンビニでコーヒーを買って暖まる。ホッと一息。目の前が真っ白。あまりの白さにぎょっとする。辺りを見回し再び、ため息とも深呼吸ともつかない呼吸を一息つく。

「寒っ!」

朝食はラーメンにしよう。そう思って歩き出す。人生初の朝ラーはちょっとだけしょっぱかった。

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