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つめかえ

作者: 宮村
掲載日:2021/02/21



「つめかえてもいいなら…」と彼女は言った。




「どういうこと?」と聞くと彼女は、「つめかえてもいいなら、いいよ。」と、「いいよ。」に力を込めて答えた。


「いや、つめかえるっていうのは?」と聞き直すと彼女は、黙って部屋を出て、5分くらいで戻ってきた。マネキンを抱えて。


「これにつめかえるの、あなたを。」


意味がわからなかった。


でも彼女の顔は真剣だ。これ以上聞いても無駄なんだろうと悟った僕は、黙って、「つめかえられてもいいか」どうか検討することにした。



たしかに僕は、彼女の恋人になるには身体的欠損がある。それを妥協点として彼女が受け入れてくれるとは、全然期待してなかった。拒絶は覚悟の上だ。


でも「つめかえ」って、何?


中途半端な罰ゲームをさせられたような、物足りなさ。


もしかして、遠回しに断られたんだろうか。だとしたら、僕が「それでもいいよ」と言ったら、彼女はどんな顔をするだろう。




僕は実行した。




すると彼女は黙って、僕の襟首から手を突っ込んで、背骨を一気に引き抜いた。


顎から床までの距離が信じられないくらい近い。背骨を失った僕は、脱ぎ捨てられたズボンみたいなぺしゃんこ状態になった。自分では見えないけど、きっと今、頭の下に上半身がダブついて、鏡餅みたいな感じだ。


続いて彼女は、僕を足先から丸めはじめた。歯磨き粉のチューブを絞るみたいに。自分が冷静なのが不思議だった。でもたしかに、さっき感じた物足りなさよりは、今の方がマシなのだ。


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