打出の小槌
当たり前だけど
打出の小槌って
やっぱりなかったんだな
まあ、一朝一夕で手に入れられる
お金や信用や友人なんて
そもそも怪しすぎるもんな
結局僕はずっと空っぽで
何よりも一番に欲しかった才能や結果も
どれだけ時間をかけて
手に入らなかった
それでも僕は
もう諦めたんだって
膝を付いて
投げやりになって
自分を憎んでも
どうしたって
生きる事を諦められなくて
そう言うよりは
死ぬ事自体が恐ろしくて仕方なかっただけなんだけど
だから
生きたいと願ってしまったから
どん詰まったその先で
今できる事から逃げられなくなって
毎日毎日
辛い思いをして
そんなの自分だけじゃないって
分かっているつもりだって
やっぱり苦しいものは苦しくて
それをどうにか耐えたって
持てる唯一の希望は
こうして明日へと一歩を踏み出す度に
先細っていくだけの
僕自身の未来だけなんだけど
ただ ただ
情けなくて
何も残せてこなかった
無価値な自分が今更あがいたところで
もうこれ以上なんてあるはずないと
客観的になれなくたって
理解できてしまうような
条件は揃ってしまっているけど
頭では分かっているつもりで
理屈では理解して覚悟を決めているつもりで
なのに僕は本当に弱いから
未だに一発逆転を夢に見てしまう時がある
あるはずのない打出の小槌の在り処を
探ってしまいたくなる時が
それを夢と呼びたくないなって
いつだってギリギリで踏みとどまるのは
無様に生きてきたこれまでで
この過程を全部なかった事にして
結果だけ手に入れるのは嫌だって
安っぽいプライドなんだけど
それでも
どれだけ 諦めて
どれだけ 後悔して
どれだけ 恨んでも
生きたいと
そこで幸せをと願ってしまう限り
僕の場合はもう
今できる事から逃げる訳には行かないんだなって
今は僕自身が逃げたくないんだなって
またいつ折れてしまうか
不安で仕方ないんだけど