第2話 武闘会開幕
「会場の皆様!!大変長らくお待たせいたしましたー!!遂にこの街最大のイベント、武闘会開幕です!」
「おおおぉぉぉぉ!!!!」
司会の演説が始まると会場は一斉に盛り上がった。
観客や周りの屈強な男達が雄叫びを上げている。
「そして彼らが今大会に参加してくださった勇者達!彼らに声援をお送りください!!」
「うおおおぉぉぉ!!フェリックー!!!頑張れよー!!」
「4連覇期待してるぞー!!フェリックー!!」
観客が一斉に声援を送る。
どうやらこの大会にはフェリックという英雄的な選手が出場しているようだ。観客の声援の殆どはフェリックに対して向けられている。
「皆ありがとう! 自分なりのベストを尽くして頑張るよ!」
俺の横に立っていた好青年風の男が観客の声援に応える。どうやら彼がフェリックらしい。
「うおおおぉぉぉぉ!!!アレフー!!頑張れよー!!フェラックだかフェレックだか知らねーがそんな奴ぶっ潰しちまえー!!!」
観客席のロエルが大声で叫ぶ。
「な、なんだあの羽の生えたカエルは⋯⋯⋯」
会場が少しざわめく。あいつは奇妙な見た目のせいで目立つんだからじっとしてて欲しい。
「おい、アレフってのはお前さんのことだろ?あのカエルは知り合いなのか?」
フェリックが俺に声をかけてくる。
「ま、まあ一応⋯⋯⋯⋯すいません、俺の連れが失礼な発言を⋯⋯⋯⋯」
「いやいや気にすることは無いよ!元気があるのは良いことだ!お互いベストを尽くして頑張ろう!」
「ありがとうございます」
見た目通りの好青年で助かった。
しかし、ただでさえガタイの良い男達に囲まれて居心地が悪いのにロエルのせいで悪目立ちしてしまった。
あの糞カエル絶対に許さねえ。
「それではルールや試合の流れを説明させて頂きます!
ルールは簡単! 相手を戦闘不能にするか、10秒間ダウンさせる、もしくは降参させれば勝利! 目潰しと急所攻撃と鋭利な刃物の使用以外なら何をしてもOKです!
選手の皆様にはトーナメント形式で試合を進めて頂きます。今大会の参加者は128名なので最多で7試合行うこととなり、4試合目までは今日、5試合目以降は明日行って頂きます!」
細かいルールは今初めて聞いたが割とシンプルなルールのようだ。これなら半飛び入り参加の俺でもある程度は対応出来そうだ。
「トーナメント表はこちらです! モニターをご覧下さい!」
司会が合図すると壁に付いているモニターにトーナメント表が映し出される。えーっと俺の名前は⋯⋯⋯あった。
Bコート 第一試合 No.127アレフ vs No.3Mr.マッスル
やばい、名前からして明らかにやばい奴を引いてしまった。何だよMr.マッスルって、絶対筋肉お化けじゃねーか。
しかも第一試合かよ、まだ大会の雰囲気とかもイマイチ把握できて無いのに⋯⋯⋯
「さあ!それでは時間も押しているので早速第一試合を始めていきましょう!
Aコート第一試合は
美しき旅人カンナvs謎のオーラを放つ青年ポール!!
そしてBコート第一試合は
武闘会初参加のルーキーアレフ選手vs前大会準優勝!今大会の優勝候補の一角! Mr.マッスル選手だああぁぁぁ!!」
名前からしてやばそうだとは思っていたがまさか前大会準優勝だとは⋯⋯⋯
初っぱなからこんな奴と当たる自分の運の無さを恨む。
「さあ、それでは!名前を呼ばれた選手は舞台に上がって下さい!」
もうこうなってしまった以上やるしか無い、殺されそうだったらすぐに降参すれば良い。
そう覚悟を決めて舞台に上がる。
「ダッハッハ!!お前がオラの相手か。お前みたいな筋肉の全然付いてねえ骨と皮だけみたいな奴と当たれてオラはラッキーだべ。死なねえ程度に手加減してやるから安心しんろ」
Mr.マッスルはそう言って自分の筋肉を誇示するようなポーズを取る。
うわあ、まんまイメージ通りの奴がきてしまった。
頭の中まで筋肉で出来ていそうな彼の姿はムキムキというよりもむしろ筋肉が服を着て歩いていると言った方が適切だろう。
「それは助かる、俺はこういった武闘会には参加した事が無いんでな。お手柔らかに頼むぜ」
「さあ、両者共に準備が整ったようです! それでは第32回ルーランダーの街の武闘会第一試合⋯⋯⋯始め!!」
次回 武闘会第一試合アレフvs Mr.マッスル
超人的な身体能力を持つ少女現る