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気だるい朝と夢

コケコッコーと豪快な音が枕元で鳴る。

海底に沈んでいた意識を急浮上させられるような不快感を覚えながら橋本翔太郎はアラームを止めた。

鉛のように重い身体を無理やり起こしてベッドから降り、部屋のカーテンを明ける。眩しい朝の日が目に刺さって少々痛い。朝日から目を背け、ベッドの横にあるL字型の収納付きデスクに開いたまま置いてある商売道具のパソコンの電源を入れた。

ドリップポットにドリッパーと紙のフィルターをセットしコーヒーの粉を入れる。コーヒーポットに水を入れお湯を沸かす。ついでに、パンにバターをのせてトースターで焼く。

いつも通りの朝のルーティンをぼんやりこなしながら昨日見た夢を思い出した。


ーー見知らぬ浜辺と幼さが残る少女。知らないやつらに囲まれながらもその少女を連れて海へ沈んでいく俺。そして、少女の亡骸を食べ、手にしていた刃物で自らも死ぬーー


かなり不快なはずなのにどこか懐かしさを感じる。少女の温もりや刃物の冷たさがやたらとリアルで、まるで、自分が経験しているような錯覚してしまうくらいだ。

しかも、この夢は今日だけではない。必ず、月に一度見るのだ。

あの夢は何を意味するのだろうかとぼんやり考えているとコーヒーポットの蓋がカタカタと鳴った。火を止め、ドリッパーにお湯を注ぎ落とす。落とし終えるとドリップポットから白いマグカップに移す。ついでにトーストを取り出し皿の上にのせ、それを持ってデスクの椅子に座った。


パソコンのメールボックスに入っていたメールを一通り閲覧してコーヒーを一口飲む。

「やっぱり、コーヒーはブラックに限る」

翔太郎はカッコつけながら呟いた。気だるい朝にパソコンを眺めながらゆったりと椅子に座りコーヒーを飲む、最高にかっこいいじゃないか、と思いながら満足そうな笑みを浮かべた。

スマホが誰かから何か来たというように電話が鳴る。翔太郎は大人の余裕を崩された、と思いつつそれを手に取り通知ボタンを押した。

「もしもし ?」

「もしもし、その分だと寝起きか ?橋本」

「悪いかよ」

と、電話の相手、長浜にそう返した。長浜と翔太郎は学生時代からの友人で何かある度に互いに相談する仲だった。ちなみに、長浜は考古学だったか民俗学の学者らしく、少女を喰う夢の話を信じ、調べると言った唯一の人物だった。

「で ?要件はなんだよ」

「お前にとってはビッグニュースかもしれないな」

翔太郎は珍しいな、と思った。

長浜から連絡がある時は、翔太郎の仕事、雑誌の記事のネタになりそうなネタを提供する時ぐらいなのだ。

もちろん、それ以外のやり取りも無くはないが一年に一回あればいい程度である。

「焦らすな、俺、まだ朝飯食ってないんだけど」

「それは知らん」

「切るぞ、てめぇ」

「俺は一向に構わんが、例の件について調べるの辞めるだけだ」

「それは困る、というか、あれがなにか、わかったのか?」

「まあ、一応。ただ、その先はお前が現地に行って調べろ」

翔太郎はわかったよ、と返し長浜が言うことをメモしていった。


ーーそんな、彼らをよそに気だるい朝が終わりを告げる鐘が鳴ったーー

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