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解決部 ~あなたのお悩み解決します~  作者: 彼方
三章 最強の異能力者
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48 浄化と悪2


 魔界にて神と名乗る青年と対峙していた進藤、紫藤、長村。深い森の中で話は続く。


「お主……仙人じゃな?」

「仙人?」

「……? 仙人?」

「自覚なしか」


 仙人とは永い瞑想などの修行をして成れる人間を超えた存在である。仙人からは神聖なオーラが放たれており、長村はそれを頼りに追っていたのだ。


「お主のオーラは仙人なのに汚れきっている、何があった?」

「我は神だ、悪に裁きを下す神だ。仙人? 人間? そんなものと一緒にするな!」

「話は出来なそうだな」


 仙人は白黒の羽を広げ凄まじいスピードで長村に迫る、そのまま拳が突き出され長村はあっという間に進藤の視界から消えてしまった。ただし消滅したという意味ではなくただ殴り飛ばされただけである。


(速いけど対応しきれる速さだ、長村さんは不死身だし大丈夫か?)

「次はお前の番だ、愚か者よ」


 仙人は長村に迫った時と同じ姿勢、速度、威力の攻撃を進藤に繰り出すがそれを体を右に動かすことで躱す。進藤は躱した直後に仙人の顔に拳をめり込ませて離れる――同時に仙人から放たれた光が先程まで進藤がいた場所に直撃して地面の一部が消滅した。


「神に手を出す愚か者め! この我が直々に消滅させてやる」

「お前のどこが神なんだ? 自分勝手に人を殺してその理由にしてるだけだろ」


 その進藤の言葉に怒りを見せる仙人だったが、ハッとして上空を見る。そこには長村が拳を引いた状態で構えていた。


魂の放出(ソウルブラスト)

「――っ!?」


 地上に落下しながら青白い光を放つ長村だったが急に横から蹴りを入れられる。蹴った本人は仙人であり、魂の放出が放たれた瞬間に羽で飛び長村の近くに移動して攻撃したのだ。


「ぐうっ!」

「長村さんっぐおっ!?」

「他者の心配をしている暇がお前にあるか?」


 長村が蹴られ地面に叩きつけられた直後、仙人は進藤に向かって急降下し踵落としを放つ。進藤はそれを両腕を頭の上でクロスすることでガードする。


 進藤はすぐに反撃を仕掛けるが仙人はそれを見て急いで離れる。


「こちらは心配するな! 敵を倒すことだけに集中しろ!」

「一応そうしてるつもりなんだけどな」

「さて、もういいだろう? 消滅の時間だ」

「来るか!?」


浄化(パージ)


 仙人から放たれた光はかなりの大きさであった、進藤はそれを回避したが攻撃の痕を見て息をのむ。まるで初めから何もなかったかのように地面が抉れている、その先にあった木も全て無くなっており直線状に何もない地面が続いていた。


「やべえなあれ……」

「余所見をしている場合か?」

「ぬおっ!?」


 進藤に向かって次々と放たれる光が周囲を消滅させていく、避ければ避ける程被害は拡大しておりマズイと思った進藤はとにかく拳を的確に仙人の体に叩き込む。ダメージを確実に与えているがまだ反撃する力は残っており光が放たれた――長村に向かって。


「何!?」

「くっ!」


 長村はいきなり自分に攻撃が来たことに驚いたがすぐに回避行動を取った、避けられたと進藤達は思ったが長村がゴロゴロと地面に受け身も取れずに転がるのを見てすぐに理解した。

 長村は下半身を消滅させられてしまったのだ。上半身のみとなった長村は傷口から大量の血液が噴出され一歩も動けなかった。


「長村さん!」

「ぐっ……儂のことよりも!」

「分かってるよ、コイツをぶっ飛ばすってことはな!」


「浄化」


 進藤が長村のことを気にしたことで生まれた隙に仙人は浄化を放つ、だがそれは今までの光線状の攻撃ではなく球体だった。


(異能の攻撃なら防げるはずだ……これを無効化して奴をぶん殴る!)


 進藤はその光る球体を避けもせずにただ突っ込んでいった。進藤には攻撃系の異能はほぼ効かない、本人もそう思っているし事実その通りなのだがここで思わぬ事態が発生する。



「ぐっ!? ぁ――ぅ!?」



 確かに進藤に消滅する攻撃は効かなかった、体は無事だった――しかしそれ以外は消滅していた。


 空間が消滅したことによりその進藤がいた空間内にあったものが消滅した。酸素が消滅し呼吸が出来ない。光が消滅して何も見えない。空気が消滅して音も聞こえない――何も感じない。


(なっ? 何だこれ? 真っ暗だし何も聞こえない!? 俺は死んだのか!?)


 驚異的な頑丈さによって進藤の体自体には影響はなかった。



 ――しかしその空間もすぐに元に戻る。



 元に戻るというのは何もなかった空間に空気が流れ込み、光が差し込むということ。進藤は体は人智を超えた頑丈さだが感覚は普通の人間だ、体の機能は急激な変化についていかなかった。


(眩しい……気持ち悪い……クソッ、視界がぼやけて!)

「グハッ!?」

「ほう、直接効かなかった者はお前が初めてだ。だが間接的には意味があるようだな」


 顎を蹴り上げられて上空に打ち上げられた。腹を、頭を、背中を殴られ、蹴られ……進藤は一方的にやられ始めた。






 紫藤は長村の上半身に駆け寄って大丈夫かどうか問いかける。


「問題はない、じゃが再生に三分はかかるな」

(下半身の再生に三分しかかからないのか!?)


 紫藤は全身を消し飛ばされて再生に何日もかかったが長村はたとえ全身を消し飛ばされても数時間で再生が終わる、これが二人の不死の性能の差だ。


 驚きながらも紫藤の目には戦いがしっかりと映し出されていた。


「進藤! 嘘だろう……あの進藤が一方的にやられるなんて」

「恐らく体に何らかの異常が起こっている、あと二分以上持ってくれるかどうか」


 紫藤は情けないとしか思えなかった。


(僕は……無力だ)


 何故ついてきたのか、ただちょっと仕返しが出来ればそれでいいと思っていた。どうせ進藤が倒してくれると他人任せにしていた。自分は最初からお荷物でしかない、ジルマに進藤が言ったことがまるで自分に言われているように今は感じられた。


 紫藤の目には今も殴られ続けている進藤の姿があった。


(友達なんだ……失恋した時慰めてくれた、僕の我が儘で中国にも一緒に行ってくれた、そうだ……僕達は友達、僕は今できることを!)



 仙人は進藤を殴り続けていた、しかし中々進藤の目は諦めを見せずに闘志を燃やしている……それを見て仙人は段々と苛ついていた。


 そんな時、仙人に向けて手のひらサイズの石が投げられた。


 パシッと掴み投げられた方向に目を向けるとそこにはその瞳に勇気を宿した紫藤がいた。


 勇気を出したからこその弱者の攻撃、しかしそれは仙人を苛つかせる結果になる。


「うっとおしいハエが、我の邪魔をするな雑魚め!」

「あ……」


 仙人はもうボロボロで動けないと見た進藤を放って置き、紫藤との距離を詰める。


(ヤバい! 僕死ぬかも……いや死なないけど)

(なんて無茶を! 恐らく儂が復活するまでの時間稼ぎと小僧を助けるためであろうが……実力があまりにも違いすぎる! 二秒も持たんぞ!?)


「我の裁きにより消えるがいい!」


 仙人の手に光が収束していくのがスローに見える。紫藤にはただそれを黙って見ているしか出来ない。



「死ね!」

「お前がな!」


 光が放たれると思われた次の瞬間、仙人は進藤に殴り飛ばされていた。


「何!?」

「オオオオラアア!」

「ぐはっ!?」


 更に追撃、仙人は木々を薙ぎ倒しながら吹き飛んでいく。



「進藤! 君体は大丈夫なのか!?」

「いや正直ヤバい……思ったより力出てないな」



「全くお主ら無茶しすぎだ、呆れたぞ」


 紫藤と進藤が話していると後ろから長村が口をはさんだ。


「あ、もう治ったのか――っておい!? 服は!?」

「あるわけないじゃろ消し飛ばされたんじゃから」


 かろうじて上半身の布が局部を隠しているが道端にいれば即通報レベルの恰好をした長村が立っていた。


「紫藤、お前それ貸してやれよ」

「えぇ!? それ僕が下半身すっぽんぽんになれと!?」

「違うわバカ! ズボンだけ貸してやれ」

「パンツ一丁になれと!?」

「そうだよバカ! このままの恰好で戦わせる気か!?」

「それは確かにダメだと思うけど……しょうがないなあ、長村さんこの貸しはでかいですよ」

「……すまんな」



 進藤達がギャグのような気の抜けた会話をしていると少し離れたところで天高くに伸びる光の柱が出現した。


今のところ火曜木曜だけじゃなくて土曜と日曜にも投稿出来てるからいい調子かなと作者は思っている。

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