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解決部 ~あなたのお悩み解決します~  作者: 彼方
二章 並行世界人と略奪
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43 並行世界人と略奪4


 竜牙と進藤の怒涛の攻撃が学を襲うが、全ての攻撃がバリアに阻まれてしまう。


「白竜の猛爪!」

「無駄だって、流石に君達の攻撃を喰らえばいくら強化されているとはいえ致命傷は避けられない。でも当たらなければどうということはないんだ!」

「知らないくせに名言を使いやがって!」


 竜牙と進藤は休まずに攻撃を続けるが学はスイッチを連打することで難なく防ぐ。


「あはは、そろそろの筈なんだけどなあ」

「あ? 何が!」


 進藤は学が何かを企んでいることを悟り決着を早めなければと思い攻撃速度を更に上げる。それを見て竜牙は違和感を覚えていた。



「おらああああ!」

(何だ? 妙だ、先程よりも進藤君の動きが……)


「どうした! バリアを使わないで避けるだけか!」

「あはは、使うまでもないからね!」



(遅くなっている!? そういえば少し寒気が)

「そろそろ違和感に気付いたかな? 竜の君。進藤、痩せ我慢も大概にしないと」

「ぐっ……」


 竜牙が感じた違和感、それは進藤の攻撃速度が落ちていることだったがその原因はこの空間にあった。


「ここで教えてあげるとここは温度も自由に変えられるんだよ」

「! 道理で少し寒気がすると思ったら」

(くそっ! 体がかじかんでうまく動かせない!)


 現在の部屋の温度は約マイナス二十度。この寒さは竜の力を持つ竜牙ならば問題など何もないが異能以外防ぐことが出来ない進藤には効果的であった。

 電撃や炎が普通の人間には防げないように、温度がマイナスにまで突入すれば体は冷えて動きも鈍る。


「くっ! 進藤君が動けないならばこの俺だけでお前を倒そう!」

「出来るかな? 君一人にこの僕は倒せない!」

「だったら二人でだ!」

「進藤君!?」

「うまく動けないなら生命の放出をこまめに使うことで高速移動を可能にする、こっちの方がさっきより戦えそうだ」

「バカな! それじゃあ消耗が激しすぎて長くは持たない筈!」


 学の言う通り、生命力を推進力代わりにしていることで進藤は一分程度で倒れてしまうだろう。しかし進藤は自分が上手く戦えないことよりも短い時間でいつも以上の速さ、力を発揮して戦うことを選んだのだ。


 進藤は竜牙に近づき耳元で何かを囁く。


 それに竜牙は進藤の真剣な顔を見て分かったと承諾する。


「作戦でも立てているのか、何か策があったとしてもその前に潰すよ!」


 学は走り出し進藤達との距離を詰めようとする。だが足元に白い閃光が衝突し立ち止まる――がすぐに走り始める。


「こんなもの、時間稼ぎにもならない!」

「そうかもな!」


 進藤と竜牙は学の電撃鞭などを使った攻撃を避け続ける、反撃などは一切仕掛けずにただ避け続けた。


「どうした! 逃げるだけかい!」

「ぬおっ!?」

「ぐっ!」


 進藤と竜牙は攻撃を別々の方向に避け離れてしまう。学は進藤の方に追撃を仕掛けるがそれも躱される。


「あはは、もう諦めたのかな? それならここで――」


(違う! この目は、諦めた者の目じゃない! 何だ? 何を企んでいるっていうんだ!?)



「何だろうといい! これで終わり――」

「へっ、まんまと罠に嵌ってくれたな」

「何!?」


 進藤が仕掛けた罠、それは挟み撃ちだった。進藤を追いかけていた学は背後に立った竜牙に気付かなかった。


「あのバリアは確かに強力だ、だけど至近距離からの二人の攻撃を受け止めきれるかな?」

「そういうことだ、白竜の――」

(確かにこのままじゃマズイ! 早く何とかしないと、しないと、しないと!)

「生命の――」


(真正面の進藤を潰すんだ! 攻撃を!)


 学が進藤に殴りかかろうとしてすぐ、白い光線は放たれた。


「咆哮!」




 ――片方(りゅうが)だけから。



 進藤は限界だった。生命力を推進力に変えるというのはあまりにも消耗が激しすぎる使い方だ。無茶をして使ったせいで生命の放出を放つには生命力が足りなかったのだ。疲労がピークにまで達したせいで進藤は竜牙が攻撃した瞬間に倒れてしまう。


(ツイてる! そうだ生命力をここまで消費すれば動けるはずがない! ならば!)

(やばっ、もう限界だ……流石に無茶な使い方だったか、腕は前に出たってのに)


 学はそれを確認してからバリアを起動させて勝利を確信した。もちろん白竜の咆哮を防ぎきって余裕の顔で勝利を宣言した。


「あはは、僕の勝ちのようだね」

「そんな、バカな……作戦が成功していれば勝っていたのは!」



「僕の計算通り! 進藤は倒れた! これでこの家は僕が――」




「動くな、攻撃もするな」

「――手に、入れ、て?」


「法堂!」

「遅くなったね、でもタイミングはバッチリだったみたいだ」


 学のすぐ真後ろにはボロボロの法堂が立っていた。学は体を動かし攻撃をしようとするがその体は硬直したかのように動かない。


「バカな……さっきまで君はいなかったはずだ」

「そうだ法堂、お前はどこから」

「私のすぐ後ろにある扉さ、ちょうどここに来たところだったんでね。どうやら戦いに集中しすぎて気付かなかったらしいけど? というかこの部屋寒いな」

(僕の後ろの方に扉だと? まさか進藤の狙いは最初から、いやだがこれは偶然だ! 偶然のはずなんだ)




「まあこれで、私達の勝ち――というわけだね」




* * * * * * * * *




 目が覚めて状況を把握しようと周りを見渡す。


(あのまま負けちまったんなら死後の世界、賭けに勝ったんなら元の場所に……)


「俺の……家だ」


「気が付いたか進藤君」

「会長、法堂さん、それと斉江」


 周りには竜牙と法堂と斉江が座っていた。斉江は縄で縛りつけられている状態で……紫藤が見たら喜びそうな状況だな。


「ようやくお目覚めか、家を取り戻したってのに締まらないな」

「斉江、お前は負けたのか」

「あはは、まさか君があんな賭けに出るなんてね」

「賭けだった、でも信じてたんだ」


「「何の話だ?」」




「え? 私が来るのを待っていた!?」

「進藤君! 君は確かに俺に挟み撃ちでバリアを破壊するから手伝ってくれと!」

「確かにそう言ったんですけど、それでもしダメならって思ってたんですよ。もしもダメだったら、斉江の予測を上回る、予測できない奇跡ってやつが起きなきゃ勝てないんでね」


 何の策を練ろうと頭がいい斉江には大概のことは見抜かれてしまうだろう、だからこそ偶然という奇跡に頼るしかなかったのだ。


 それから斉江は話し合いの結果、ジルマと胡桃に一発ずつ、何故か耕史に五発は殴られて進藤家を出て行った。


 会長達とは別れ、また何かあったら遠慮なく頼ってくれと去り際に言われた。もうこんなことが起きるなんてゴメンだがもしも起きたならしょうがない、素直に協力を求めるとしよう。


 だがこの件はこれで終わりではなかった。それから夏休みに入り一週間は過ぎた頃。



 ドゴンッ! ガゴンッ! と、近くから大きい音が聞こえて何事かと外に出てみれば……斉江がいた。



「お前! 何でここに?」

「何でって引っ越しだよ、引っ越し」

「引っ越し? あ、隣の家の……」


 見ると隣の家の前にトラックが止まっており荷物を運び出していた。なるほど隣の家の人、引っ越すのか……それで何でお前がここにいる?


「あはは、察しが悪いな。つまり隣は空き家になるから僕が住むってことだよ」

「どうしてそうなった!?」


「ちゃんと交渉はしたよ、道具の何個かをあの家族に渡した。便利な便利な道具達の価値は家一軒なんて余裕で超えるだろう」

「お前何でうちの隣に来てんだよ」

「今までといきなり違う環境に行くというのも嫌でね、僕はここで世界移動のマシンを作ることにするよ」

「え? それやっぱり作るのか? お前五十年はかかるって」

「それは最低での話だよ、予測なら十年くらいで完成する可能性はある」


「もう迷惑かけるなよ?」


「あはは、善処しよう。あ、たまに遊びに行くからそのときはよろしく頼むよ」

「来るな」


 こうして一連の事件の幕は閉じた。


 しかしこの時俺はまだ知らなかった。夏休みにまた事件に巻き込まれるなんて予想もしていなかったのだ。


 とにかく今は夏休み、楽しく過ごそう!



これにて二章は終了です。次から三章に入ります。

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