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解決部 ~あなたのお悩み解決します~  作者: 彼方
二章 並行世界人と略奪
33/80

32 襲来とカード


 ある日、解決部の部活動中にある男がやって来た。


「……なんで来てんだアンタ」

「え? 妹に会いに来るのはおかしいかな?」

「学校にまで会いに来るのはおかしいよな!?」


 その男の名は水瀬耕史(こうし)、水瀬胡桃の兄であり以前俺に殺し屋を送り込んだ張本人のシスコンである。まさか学校にまで来るとは思わなかった、こいつOBとかじゃないよな? 学校側何で通したんだよ。


「……ああ確か胡桃のお兄さん」

「久しぶりだね未来ちゃん、確か十年は経ったのによく覚えてたね」

「まあ親友の家族ですから」

「お兄さん、私はこの部の部長である成瀬玲美と申します」

「俺は志賀雷牙だ、よろしくな」

「ああ知っているが一応自己紹介をしよう、僕は水瀬耕史。職業はゲームクリエイター兼天使の兄だ」

「最後職業じゃないし! あとお前の妹は人間だから!」

「何だって!? 胡桃が天使じゃないだと!」

「いやだから人間だよね!? 俺間違ってないよね!?」


 クソッ相変わらずのシスコンだ、流石妹の居候先に殺し屋を送る兄は違うな。ん? 知っている? コイツは今日初めて成瀬達と会ったはず、胡桃が連絡でもしたのか?


「今日来たのは君達に新しいカードゲームのテストプレイヤーになってほしくて依頼しに来たんだ」

「マジか! カードゲームの!?」

「へぇ、まあ面白そうね」


 なんだろう、嫌な予感が凄くするんだが気のせいか? そのカードゲームはまともなんだよな?


「お兄ちゃんが作ったの? どんなやつなの? 早速見せてよ」

「まあ慌てるな僕の天使。今から出す、これが! 激闘、解決部! だ!」

「え、解決部?」


 嫌な予感が的中しそうなネーミング!


「このカードには君達解決部のメンバーはもちろんそれ以外の生徒も収録した三次元カードゲームだ! 新しいだろう!?」

「おい、許可は!? 俺達の許可とれよ! お前らだって勝手にカードにされるの嫌だろ!?」


「まさか私がカードになるなんてね」

「へへっ、俺のカード見っけたぜ」

「恥ずかしいけど嬉しいものもあるわね」

「あ、未来ちゃんのカードだ」


 あれぇ? 勝手に作られたのに嬉しそうだね!?


「ちなみにこれがカードリストだよ」


解決部部長 玲美

努力の剣士 未来

雷の申し子 雷牙

最高天使 胡桃

至高の妹 胡桃

神が創りし作品 胡桃

全ての頂点 胡桃

究極の妹 胡桃

超究極妹 胡桃

翼の幻視 胡桃

少年A

不死身の男 紫藤

黒き翼 蒼真

風紀の鬼 風哉 etc.


「いや私のカード多くない!?」

「俺のカードないじゃん!?」


 胡桃率驚異の二割程だ、そして俺の名前がない。あと何だ少年Aって! これ関係ないよな!?


「おいおい、せっかく作ったのに文句を言うのかい?」

「いや言うわ! 何で俺のカードないんだよ!」

「あれ? 確か全員作ったはずだけどな」


 何が全員作っただ、どうせ俺のだけ抜いてるかなってのは想像してたわ! それにしても本人の許可とらずにここまでやるか……俺はカードを一枚一枚見ていく。


「ん? 少年A……これ俺じゃねえか! 俺が少年Aかよ!」

「ああ青年の方が良かった?」

「そこじゃねえよ! 何で俺だけ名前使ってねえの!?」

「え? ちゃんと使ってるだろう? 少年(あゆむ)

「イニシャルにすんなよ!」


「さあ皆で遊ぼう! そして感想を聞かせてくれ!」

「聞けよおおおお!」


 そして俺達は自分達のカードで遊ぶという屈辱な体験をさせられた。苦痛だ、とんでもない苦痛だ、何で自分のカードを使わなきゃいけないんだ。あと俺のカード弱いな、言うなればド◯クエにおけるス◯イム、ポ◯モンにおけるコイ◯ング並に酷い。パワーがたったの1000、他のカードはどれも2000以上あるのにだ。そしてあまりにも酷いのがこのパワーバランスである。


「よし、少年Aを生贄に捧げ最高天使胡桃召喚だ!」

「うそっ!? パワー15000!?」


 そう、胡桃のカードだけとんでもない数値なのだ。他のは最高でも5000が限度なのに……あとサラッと俺を生贄にするな。


「よっしゃダイレクトアタック!」

「あぁ、負けたあぁ」


 更にゲーム性は遊◯王形式でライフはそれよりは多いが5000しかない、15000とかだとオーバーキルにも程がある。その攻撃だけで三回は死ねるぞ? つまりこのカードゲームの評価がどうなったかと聞くと――。



「クソゲーね」

「バランス崩壊しすぎだろ」

「私のカードとかせめて一枚にしてほしいな」


 と、あまりの酷さに最初の盛り上がりが嘘のようだ。


「それに私達、許可してないし勝手にカード作るの止めてください」

「そんなっ!?」


 結局認めねえのかよ!




「今日はありがとう、妹の顔が見れて良かったよ。元気でやっているようで安心した、皆……もちろん進藤以外は良い人で良かったよ」

「俺を当たり前のように悪人扱いすんな」

「あ、帰る前に胡桃! お兄ちゃんにいってらっしゃいのチューを――」

「しないから帰ってくれる?」




* * * * * * * * *




「そういうことがあったんだよ」

「面白いお兄さんだな」

「変態なだけだと思うなぁ」

「納得いかないわね」


 その日俺は帰ってきてから今日あったことをジルマと斉江に話した。


「何で私はいないのかしら!」

「そこかよ!」

「だってそうでしょ! 私と胡桃はもはや家族なのに!」


 たぶんトラウマで作れなかったんじゃねえかな……思い出すのを記憶が拒否してんだなきっと。



 ピンポーン。チャイムが鳴り来客を知らせる。え? この時間に? どうせ勧誘……そう思って画面を見てみると見たことがある顔だった。この人は確か……根野と一緒にいた人だっけ?


 どうやらまた俺は何かに巻き込まれるらしい。


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