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解決部 ~あなたのお悩み解決します~  作者: 彼方
一章 解決部と悪魔
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29 反省と後悔

一章最終回です。


 悪魔に憑かれた竜牙を進藤が倒して数日、竜牙の意識が戻ったらしく全ての事情を解決部にて雷牙が話した。だがどうやら事情は全て知っていて記憶もあるそうだ、憑依されていた時のことも覚えているらしい。


「だからこそ許せない、俺は何も出来なかった自分を許すことが」

「兄貴のせいじゃ!」

「俺のせいさ、俺の精神が軟弱だったからこの結果を招いた。進藤君、心から礼を言う。最悪の事態を防いでくれてありがとう」

「別にいいよ礼なんて、解決部は依頼を達成しただけだ」

「そうですよ! 本当に貴方は操られていただけなんですから自分を責めることは!」


「依頼っていえば二階堂さんあれから見ないよね」

「確かに、あの人この前もいなかったんでしょ?」




「……二階堂は死んだ」


「え?」


 その竜牙の言葉に誰もが呆然としてしまう。冗談ですよね? と成瀬が問いかけようとするも竜牙の後悔の表情を見てそれが事実だと分かってしまった。


「俺が殺したんだ、たった一人の親友を」

「そんなっ、二階堂さん……」

「違う! 殺したのは悪魔だ! あんたじゃない!」

「止めることが出来なかった、自分の体なのにだ! まだ殺した時の感覚が残っている、こびりついて離れないんだ」




 沈黙が降りた。誰もどう声を掛けていいか分からなかったからだ、だがその沈黙を破る男がいた。


「これからだ」

「何?」

「これからをどうするか考えようぜ、罪だとか後悔だとかそんなことばっか考えてると暗くなっちまうしな」

「…………今日は帰ることにする。色々迷惑をかけたな」

「あ、兄貴一緒に!」

「今は一人にしてくれないか」

「え、あ、ああ」


 そう言うと竜牙は部室を出て行ってしまった。竜牙が出て行ってから解決部のメンバーもしばらくして帰った、最近は依頼が来ないのだ。それは無理もないことだった、何故なら生徒たちは未だに混乱から抜け出せていない者が多くお悩み相談だとかをしている気分ではなかったたからである。




「まあそれほどのことがあったら一人になりたくもなるかもね、親友一人消しちゃったんじゃあね。それに今まで憑依されてた時に迷惑かけた人たちだっているんだし、かくゆう私もその一人だし」


 進藤は現在自宅にて今日あったことを全てジルマに話した。ジルマの故郷、魔法使いの里では悪魔がばら撒いた奇病が流行り全滅の危機となっていたが進藤とジルマの活躍により犠牲が半数で済んだ。


「恨むな――ってのは無理だよな」

「恨んでないわ」

「え」

「恨むべきはその悪魔でしょ」

「……そうだな、そう割り切れれば少しは落ち着くんだろうな今回の事件」


「そういえば魔界で魔王と戦うとかその悪魔は言ってたんでしたっけ?」


 突如響いた声、それはジルマが付けている腕輪から発せられていた。


「正確には復讐相手が何故か石化しててそのことを魔王なら何か知ってるんじゃないかって聞き出そうとしてたみたいだけどな」

「でも気になりますよね? 復讐相手の石化した人とか魔王様のこととか」

「確かに気になるって言えばそうだけど……今はいいだろ、でもそのうち機会があったら調べるのもありだよな」




 色んなモヤモヤを抱えながら今回の事件は終了した。泣き崩れる者、悩む者、彼らの心が晴れる日はいつか来るのだろうか。そして進藤達は解決部にていつも通りの日常を過ごしていた。



「依頼人来ないね」

「ああ」

「うん」

「そうだな」


 静かな部屋に廊下からの騒がしい音が聞こえてくる。それは誰かが走ってくる音だった。


「ゴメンゴメン! 遅れちゃった!」


「全然いいよ未来ちゃん、依頼来ないから」

「最近来るの遅いけど何かあったのか?」

「ええまあね、ちょっと剣道部の方に顔出してて」

「剣道部?」

「あの一件で剣道部部長を助けたこともあって、私もそこで練習自由にしていいって言われて入部しないかって誘われててね、その返事を言いに寄っただけよ」


 そう言って自分の席に着く藤林の表情はいつもよりも楽しそうに見えていた。


「で? 返答は?」

「もちろんこっちに残るって言ったわ、今更部活変えたりしないわよ。でもそれでも諦めきれないのか部員でもないのに練習には加わっていいって言われちゃってね」

「必死すぎるだろ……」



「そういえば私、他の生徒から冷たくされることなくなったの」


「成瀬さんも? 実は私もなんです」

「胡桃も?」


 先日、例の一件について正式に竜牙の謝罪と現状、そしてあのときの状況を詳しく授業一時間分を取って話があった。その時、竜牙は解決部がどういった活躍をしたのかも話し学校内の評判も良くなり無能力者と蔑む生徒は格段に減ったのだ。



「学校中がいい方向に向かっていってるわ、差別が少し減ったことが何よりの証拠」

「これで依頼もバンバン来るか――って思ったのに中々来ないんですよね」

「まあ悩みがないのは良いことだって」

「それはそうだけどね」



 解決部は平常運転。悩みの相談はあまり来ないけどそれでも皆仲良く部活動。



(あの時の光ってた腕、あれもだけど異能の無効化に身体強化……俺は一体何者なんだ?)


 約一名、自分が何者なのかに疑問を持ちながら。


ここまで読んでくれた方がいれば感動します。

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