28 解決部と悪魔3
屋上からグラウンドにいる進藤に向けて白い光線が放たれていた、その正体は竜牙が得意とする白竜の咆哮。その連続で放たれる白い光線を躱しながら校舎へと距離を詰めていく進藤がジャンプして屋上に飛び上がろうとした時だった、真上から悪魔が飛び降りてきたのが見えたのですかさず後ろに飛び退く。
「地上に降りてきていいのかよ? わざわざ有利な場所から降りて来るとはな」
「有利? ああ俺は既に無敵、つまり初めから有利な勝負なんだよ」
「いやいや調子に乗りすぎじゃね?」
「乗っていいほどに強くなったのだ! 白竜の猛爪」
悪魔の両腕が眩い光に包まれて白い爪の形がオーラによって作り出された。
「貴様の体を引き裂いてやる!」
「やれるもんならな」
その輝く爪での攻撃は強烈な光を放ちながら進藤を襲う――が体を傷つけることは出来ずにガードされてしまう。そして何度も防がれてから無駄だと思ったのか一旦攻撃を止めて後ろに下がる。
「クッ、バカな! 俺は絶対の力を手に入れたのだ! 白竜の咆哮!」
しかしそこで放たれた光線が進藤に届く前に割って入った者がいた。
「放雷」
「なっ!? お前は」
「雷牙! もう大丈夫なのか?」
「いや……正直辛い、でも多少の援護くらいなら」
雷牙が手から放出した雷は光線と衝突してお互いを打ち消し合った、その現実に悪魔は目を見開いて驚く。
「何だと……? 俺の力は今過去最高に増している、なのに互角?」
「今のが白竜の咆哮? ふざけんな……兄貴のはもっと強かった」
「竜牙より劣るだと!?」
「……なるほどな。いくら強くなったって言ってもそれは身体能力とかのみ、強い奴に憑依したって本人の技を本人と同レベルで扱えるわけじゃない。ただの真似じゃあ威力は出ないってことか」
「バカな……だが身体能力が高いということはそれだけで勝利の糸口になる。進藤、貴様は手加減しているようだな。この竜牙の体を傷つけたくないからか知らんがそうしている以上俺の勝ちは揺るがない!」
瞬間、悪魔の姿がいきなり消えたように雷牙の目には映った。だがそれは超スピードで走った結果あまりの速さに雷牙の目が追い付かなかっただけだった――そう雷牙だけは。
「守るのか、その足手まといを」
「当たり前だろ、仲間だからな」
「え?」
雷牙が悪魔の姿を見失い探そうとした時、既に手刀が振り下ろされた直後でありそれを進藤が両腕でガードしていた。
「なら守ってみせろ!」
「何!?」
ドン! と凄まじい音が響き渡る、進藤から逃げた時と同じ目くらましだ。進藤はそれを見てまた逃亡するつもりかと思ったがすぐに違うと思いなおして動き出そうとした時、既に悪魔は行動を終えていた。
「がっ、はっ」
「雷牙!」
「守れなかったなぁ? 大事なお仲間を」
進藤が見たものは悪魔が雷牙の頭を掴み屈服させている光景だった。もちろんそれを見て何もしないわけがなくすぐに助けるべく悪魔に殴りかかるが避けられてしまう、だが避けた時に雷牙を放したので結果取り戻すことが出来た。
「雷牙! 大丈夫か!」
「ぅ……頼む、兄貴を」
「……分かった、本気で行くぜ。もう躊躇なんかしない」
「いいのか? 体にダメージが残るかもしれないぞ」
「多少のダメージくらい弟と自分を助けるためなら耐えてくれるだろ……それに俺はかつてない程に怒っている!」
光が出た。うっすらと白く光るのは右腕。進藤の右腕が光り出した、これは突然のことだった。
「……頼む、兄貴を……助けて、くれ」
『会長を救ってくれ、もしかすると君なら』
フワッと風が吹いて進藤には倒れている雷牙の声と此処にはいない二階堂の声が聞こえたような気がした。そして確信した、この光なら、この右腕なら悪魔を追い出すことが出来ると何の確証もないが何故か進藤はそれを確信していた。
「右腕に妙なエネルギーが集まっている? な、何だそれは?」
「さあな、俺も知らねえよ。最近俺自身すら分からないことが多くてな」
進藤は右腕を引き、拳をぶつける準備をする。
「フッ、何だか知らんがそんなもの当たらなければどうということは――」
「受け取れ、俺の怒りと共に」
「――な、はやっ!」
その拳が迫りくるのに気付いて避けようとした時には既に数センチの距離だった、体を曲げて躱そうとするがその距離からでは間に合わずかすかに光るその拳が顔面に吸い込まれるように叩き込まれた。しかし不思議なことに竜牙の体は吹き飛びものけぞりもしなかった。
「ぐ、ぼっ? 何故俺がそこに……まさか!?」
「……突然現れたというより会長の体から出てきたように見えた、お前が悪魔か」
「強制的に憑依を解除されたのか!?」
殴り終わったら右腕の光は消え、代わりに赤い瞳、黒髪で黒い蝙蝠のような翼が生えた長身の男――悪魔が竜牙から出てきた。自身の憑依を解除されたことにありえないと思いつつも思考は冷静だった。
「……どうやら力はほとんど減っていないようだ、減ったのは器の分だけか。十分だ! これなら魔王も上回っているはず!」
「うるせえ!」
「……何だと」
「ごちゃごちゃうるせえっつってんだよ! お前のせいでどれだけのやつらが苦しんだと思う? 魔法使いの里のやつらや氷室、それに雷牙に竜牙もお前の下らない復讐の為に傷ついたんだ!」
悪魔の憑依が解けて気を失った竜牙を地面に寝かせて進藤は心の内を叫ぶ。
「復讐を否定はしない、勝手にやればいい。でもお前は他人を傷つけすぎた」
「それが何だ! 所詮人間など路頭の石同然、どうなろうと知ったことではない!」
「そうかよ……」
「そうだ! お前もここで俺に殺されるがいい! 俺の糧となれ!」
悪魔は一度空中に飛び上がるとそこから進藤目掛けて急降下した、進藤は俯いて動かない。
「無抵抗か!? ならいい、死ね!」
「……はあああああ!」
「何!?」
攻撃が当たる少し前、進藤をいつの間にか握りしめていた左拳を上空へと上げた。その拳は悪魔の顎に命中し、何かが砕かれる音と共に悪魔は呻き声を上げて地面に落ちる。
「あ、が」
「人の価値観にどうこう言うつもりはねえ、でも他人だからって傷つけても構わないと思ってるその精神は大っ嫌いだ!」
悪魔は何かを言いたそうにしていたが言う前に体があまりのダメージで崩壊し塵になり吹き飛んで行ってしまった。元凶の悪魔が死んだことにより赤い結界も解除され、また奪われた力も元の持ち主の所に戻り宝天高校にはまた平和が戻ったのだった。
タイトル変更しました。
そして更新日を火曜、木曜としました。もちろん出来るなら他の曜日にも投稿しますが火曜と木曜だけは必ずするという意味です。




