18 オカルトと占い
後半からシリアスになっていきます。
雪男、狼男など見たことのない生物であるUMA、そして空飛ぶ円盤などのUFO。これらを調べ謎を解き明かすことこそがオカルト研究会の活動である。しかしそんな胡散臭さがすごい内容なので一般的にはメンバーは多くはない。そんなオカルト研究会の不気味な雰囲気の道野杏からの依頼で俺達は夜に近くの山に来ていた。
「しっかし宇宙人なんて本当に来るわけ?」
「来るわ、月間モーを舐めないでよね」
今回の依頼は宇宙人を呼ぶ儀式の手伝い、この儀式とやらを道野は月間モーというオカルトな雑誌で見つけたらしく試さずにはいられなかったらしい。この儀式は最低四人必要であり依頼人の道野以外に俺達解決部の中から俺と藤林、雷牙の三人が着いていき儀式をすることになった。正直胡散臭さ全開で怪しすぎるが道野はやる気に満ち溢れている。
「ようやく頂上に着いたので儀式を始めましょう」
「了解、それで儀式の内容は?」
「今から説明するわ、まず最初にこのトマトを食べるのよ」
トマトを? いや何でトマト? そう思い聞いてみたところ赤い物が大好きな宇宙人らしい。
「いや本当かそれ?」
「次にこのトマトジュースで魔法陣を描くの」
「魔法陣!?」
「この儀式やっぱり胡散臭いな」
藤林が魔法陣と聞いて何か驚愕して青ざめている……オカルト嫌いだからかこの前家でジルマのことを見たからか……まあ後者だろうな。道野はトマトジュースで直径十メートルくらいの円を描きその中に星を大きく描いていく。
「そして中心にトマトを置いて囲むように私達は輪になるの」
「謎のトマト押しそろそろ止めようぜ!?」
トマトを囲んで輪になってみる。何だか絵面がシュールだな、トマトってところが特に。
「そしてただひたすらにトマトのことを想って待つ」
「だから何でトマト!? それ出てくるとしてもトマトの神様とかじゃね!?」
「黙りなさい、儀式中は無駄に喋らないで静かにしないと成功しないわ」
そしてその態勢のまま三十分が経過した。
「いややっぱり来ねえよ!」
「まだ三十分しか経ってないわよ」
「充分すぎるだろ! もう待てねえよ!?」
「そうよね、ここまで待っても来ないんならね?」
「あの月間モーってそんな信憑性ないだろ」
「月間モーの悪口は許さないわよ! 確かに記事になっていた場所に行っても何も起きないし写真も合成だったり酷いのもあるけれど!」
「もう答え出てるじゃん!」
結局……ここに来てやったことと言えば山登りして頂上でトマトジュースぶちまけてトマト食べて囲んで突っ立っているだけという無駄な時間を過ごしただけだった。いや、本当に意味ないな振り返ると。そんな今日の事に申し訳なさを感じたのか道野は突然能力の占いで俺達を占うと言いだした、まあせっかくだし自信ありげなので占ってもらうことにした。
「まずは貴女ね藤林さん」
「え、アタシから?」
道野は水晶を鞄から取り出して地面に置いて両手をその周囲でグルグル動かし始めた、ああ何だか見たことあるよこういうの、テレビで胡散臭い占い師がやってるやつだよな。
「壁ね」
「壁?」
「ええ、何か大きな障害のようなものが近い時訪れるわ。それは挑んでも絶対に打ち砕けない壁」
「フーン? まあそんなものもいつかは来るかもしれないけどね」
大雑把だなやっぱり。まあこんなものは遊びの範疇だ、藤林だって信じているわけではなさそうだ。次に雷牙の結果となった。
「解放ね」
「解放?」
「貴方をずっと縛り続けていたモノ、枷となっていたモノから解放されるわ」
「……解放、ね」
そしていよいよ俺の番となり水晶で占い始めた道野だったが、様子が突然変化する。
「何? これは?」
「おい?」
「何てこと……こんなものが、世界が! 悪魔、神? ま、じ、ん、が……」
「どうした!?」
「まじん、が、ががががががガガgaがガ」
「大丈夫か! おい!? 道野!」
「ちょっ! これヤバいんじゃないの!?」
様子がおかしいなんてレベルじゃない! どうしたんだ!? 何があった!? 呼びかけ続けること一分、ようやく道野が落ち着き先程のは一体何だと聞くことが出来たが答えは異常だった。
「え? ああ解放というのはさっき説明した通りよ、それ以上の説明は出来ないわ。次は貴方だったわね進藤君」
「え……」
「ちょっと何言ってるのよ? さっき進藤を占ってたじゃない」
「そうだぜ、急におかしなことを言いだしてよ」
「? 私は今貴方の占いを終えたばかりじゃない」
何も覚えていなかった。記憶がその時のものだけすっぽり抜け落ちているかのように。何事もなかったかのようにまた俺の事を占い始める、待てよ? これまたさっきみたいになるんじゃ!?
「……おかしいわね。何故か真っ暗、見通せないわ」
「何?」
「私の占いじゃ見通せない程の何かってことね、言えることは近いうち何かが起きるということだけよ」
「マジンってのは?」
「マジン? 何かしらそれは?」
「いや、やっぱりいい」
いったい何だったのだろうか、それを知ることはもう出来ない。占いに関しては能力らしいがそれで何かに干渉したのか、何か予想外のことが起きてしまったのだろう。今考えても何も出てこないが明らかにアレは異常だった。情報通な楠木にマジンや占いの異常について話してみたが結局何も知らないし分からないと言われてしまった。
近いうちに何かが起きるというのは当たり前なんだがどうにも嫌な感じがしてその日はよく眠れなかった。
* * * * * * * * *
進藤達が山登りをしている時、生徒会室では志賀竜牙とある二人の俯いた男子生徒が話をしていた。
「それでお前たちは自分が何をしたのか分かっているのか?」
「……そ、それは」
「つい、出来心で」
「出来心でそんなことをやられてはたまらないな」
右にいる眼鏡をかけ、パーカーを着ている男は西川明次。彼は先日女子バスケットボール部が使用していた女子更衣室に侵入、下着を漁っていたところを部員に目撃された。だがその目撃した女子に自身の能力である催眠術をかけてわいせつな行為をした。
左にいるのは真面目そうな男の玉川駆。彼は近所のゲームセンターで能力を使い人を殺そうとしたらしい。どちらも生徒会副会長である二階堂が見回り時に発見され、生徒会室で現在説教をされている。
「本来なら即退学だが、お前たちにチャンスがないわけじゃない」
その言葉に二人は顔を上げて竜牙の顔を見た。
「解決部という部活がある、そこにいる進藤歩、他数名を消せ。そうすればお前達も警察に逮捕されるのは免れるかもしれない」
「えっ?」
「消す?」
「何も殺せというわけじゃない、やり方はお前たちに任せるが二度と外に出れないようにでもしておけ」
「つまりは精神的にでも物理的にでも、どちらでもいいから殺せ、と?」
「そういうことだ」
西川と玉川の二人は犯罪者のような笑みを浮かべそれを了承した。
ここから少しシリアス続きます。




