3 「大変だ!魔族が攻めてきたぞ!」 「えええええ!」 「だから言わんこっちゃない…」
姫騎士「うっ…ここは」
俺「気が付いたか。城の近くまで戻ってきたぞ」
姫騎士「ハッ、私は魔王にやられてッ…!勇者殿は無事だったのか?」
俺「え?あ、ああ、うん、なんとか逃げてきた」
姫騎士「さすが魔王…勇者殿でも簡単には倒せぬか」
俺「というか、魔王は人間の国に侵攻を計画しているみたいだ」
姫騎士「それはまことか!勇者殿!何とかしてくれ」
俺「いや、俺じゃなくて、人間がまとまって対抗するしかないんだよ。俺だけじゃ勝てない」
姫騎士「そうなのか…では父と話してくれ。…それにしても」
俺「?」
姫騎士「魔王…この私より強い男がいるとは…」
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俺「ということで、魔族の侵攻が近いので、兵士を集めて防御を固めてください」
王「魔族の侵攻!ならばそれこそ勇者殿の出番であろう」
俺「いやいや、というか俺には大した力はないですし、人間が団結して戦う姿勢を見せないと」
王「そういわれても…皆の意見はどうじゃ」
大臣「金がないので兵を集めるとか無理です」
教皇「前例がないです」
王「ということで無理じゃ」
俺「いや、ちょっとまって!なんでそんなに金がないの?」
王「ではまたな」
俺「話を聞けよ!」
姫騎士「不甲斐ない父ですまない。この国は皆ことなかれ主義なのだ」
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俺「何とかしてくれよ本当に、時間がないんだ。何日経ったと思ってるんだよ」
王「そうはいってもだな…」
近衛兵「大変だ!魔族が攻めてきたぞ!」
王「えええええ!」
俺「だから言わんこっちゃない…」
妖精「どうするんですか?」
俺「どうしよう、何とか戦争を回避して『依頼』を達成しないと俺帰れないし、というか戦争になったら俺死んじゃうかも」
妖精「魔王からもらった『魔法玉』で、打ち合わせ通りハッタリをかければいいのでは?」
俺「魔王も言ってたが、俺だけでそんなことしても多分ダメだろう」
妖精「でも、貴方は望まれてこの世界に来たのだからきっと、なんとかできるはずですよ」
俺「そんなこと言ったって、この世界の連中は誰も全く話を聞こうとしないじゃないか!」
妖精「確かに、王といい魔王といい、全く人の話を聞かないのは困ったものですね。…どうしました?」
俺「!!そうか…もしかしたら、方法があるかもしれない」
妖精「え?」
俺「というわけで頼みたいことがある」
姫騎士「なんだ」
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魔将軍「魔王様、人間の城が見えてきました!」
魔王「ああ」(勇者の姿が見えない…このままだと戦争だ)
王「な、何とか守りを固めろ!」
近衛兵「やってますが、敵が多すぎて戦闘になったら持ちません」
王「うう…勇者殿が何とかしてくれぬのか」
近衛兵「その、勇者殿の姿が見えません」
王「えええええ!」
魔将軍「ん?人間の城の手前に人がいます」
魔王「あれは…勇者!」




