最も胡散くさい話
私は類いまれな正直者である。それと同時に騙されやすい人間でもある。他人から薦められた商品は必ず購入する必要があると考えてしまうたちである。そのために借金はついに450万円を超えた。平凡な会社員にはかなり厳しい重荷である。しかし、私は自分を騙した人間たちをそれほど恨んではいない。私から大金をふんだくっていった彼らの人生にも、それなりの苦しい事情があるからだ。しかし、そうは言っても、社会生活を営んでいくにあたって、この愚鈍な性格はかなりの足かせになっていた。
そんなある日、アブダビ国の王の側近を名乗る男から、不可思議な電話がかかってきた。その男によれば、私の両親がアブダビ国の王族と血縁関係に有り、私に王の遺産数兆円を譲りたいということであった。その男の懸命な説得に心を動かされた私は、その話をありがたく鵜呑みにすることにした。男は王の後継者となるための準備金として600万円用意して欲しいと言ってきた。輝かしい未来を得る対価としては悪い金額ではない。もはや、ちっぽけな労働や給料など必要はない。私は善悪をいとわず、様々な金策に励むことになった。
2020年7月7日 修正加筆を行いました。
そんなある日、アブダビ国の王の側近を名乗る男から、不可思議な電話がかかってきた。その男によれば、私の両親がアブダビ国の王族と血縁関係に有り、私に王の遺産数兆円を譲りたいということであった。その男の懸命な説得に心を動かされた私は、その話をありがたく鵜呑みにすることにした。男は王の後継者となるための準備金として600万円用意して欲しいと言ってきた。輝かしい未来を得る対価としては悪い金額ではない。もはや、ちっぽけな労働や給料など必要はない。私は善悪をいとわず、様々な金策に励むことになった。
2020年7月7日 修正加筆を行いました。