第8話 「」
昨日の晩、寮へ戻る許可が下りた。さっさと寮に戻るとしよう、授業の遅れを取り戻さないとな。朝日の射す廊下を走り寮の自室へ戻った。午前の授業の準備をしているとカルボが一枚のメモを差し出してきた。
「これは?」
「お前が休んでた間の魔法学基礎で課題として出された魔法とその詠唱をまとめたものだ。空き時間にでも練習しておくといいだろう」
「――愛してる!」
「気持ち悪い事を言うな、メモ燃やすぞ」
「わーわー!悪かったって!ありがとう、助かるよ」
カルボの手から奪い取るようにサッとメモを受け取る。中には三つの魔法が書かれていた。一つ目は風の刃、薄く圧縮した空気飛ばす魔法。二つ目は大地の癒し、大地の力を借りて自然治癒力を高める回復魔法。三つ目は灯火、空中に発光する球体を設置する魔法。どんな魔法か説明書きまで添えられている。気配りの出来るやつだ。さぁ、教室へ向かおう。
「そういえば寮を出る前にレート確認しておかないか、そこの魔導具で確認できるぞ。」
一階の廊下に数台備え付けられた金色のそれは、腰ほどまである円柱に透明な板が取り付けられており、上部にピンバッジを入れられる窪みがある。ケープにつけていたピンバッジを窪みに嵌めると、透明な板が輝き、名前と下級学生という表示。その下には2230という数字。
「ほう、やるなお前。この短期間で2230か。」
「あれ、上級学生の昇格条件って2500超えだったような。早すぎないか?」
「どれどれ、次のページ見てみろ。なるほどな、フォレストベヘモス討伐で610点入ってる。あと魔法学基礎で120点もついてるぞ、何をやらかしたら最初の講義で120点も付くんだまったく……」
「火の矢を変質させろって言われて、頑張ったら紅蓮の弾丸になった」
「――ほう、それは120点付いてもおかしくないな、むしろ少ないぐらいだ。お前なら上級に上がっても大丈夫かもな」
「なんだ、偉そうだな。カルボはレートどれくらいなんだ?」
「どうだったか。どれ――3020、か。結構上がったな」
「げ!?もう上級学生のランクアップ条件超えてるのか!?」
「これには少し事情があるんだ。言ってなかったが昔この学院に通っていた時期がある。親に特級学生になるまで帰ってくるなと言われて家から放り出されてな。休学扱いにしていたからその時よりはレートを下げられているが、今回入学した時は最初から上級の基準は超えていた。入学し直して上げたのは400程度だ。この短期間でお前が上げた730はすごいぞ、若干反則気味だがな」
「獅子の子落とし、ってやつか。カルボって実はすごかったのな」
カルボと別れ、いつもの西棟4階第5教室、久しぶりの教室のような気がする。いや実際そうか。しばらく待っているとグラシェダが入ってきた。
「みなさんおはようございます。今日で魔法学基礎Ⅰとしてのお題は一通り紹介し終えます。これから2ヶ月半、次の昇格審査までに少なくとも3つ以上のお題を習得出来るよう頑張って下さい。今日のお題は影縛り、闇属性初級魔法の一つです。数秒の間対象の動きを制限できる魔法で、魔物と遭遇した際に詠唱や逃走するための隙を作るのによく用いられますね。ただ、そのまま利用する場合は複数を対象に取れない、大き過ぎる対象に効果がない場合があるなど注意する点があります。詠唱は『影よ 見えざる其の手で 捕縛せよ』です。」
1014です。




