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君のためなら

君のためなら

作者: りんごぁめ

ただ、そうであってほしいだけの夢なんだろうけど。


(じー。)


みつめるだけで癒される。


「なんて、かわいいのっ」

ほらほら、わたしだけを見て。



『ねえ、あの……』


うん、動くって素敵!

あわあわしててかわいい



「しーなはかわいいねぇ」

『あの、ほんとに、話を……』


「なぁにー?もう、かわいいねぇ」



このもふもふ具合がまたかわいい。

ああ、どうして動くようになったかはわからないけど

ただただ、ひたすらに愛を注ぐだけ。

「わたし、しーなしかいないからどこにもいかないし大丈夫だよ?」



ああ、そういえば、どうして動くようになったんだっけ?




……親友が亡くなって、ただひたすら泣いて、死のうとしたけども失敗したようだ。

起きたら動いてたんだよね。不思議〜!


『ちょっと、回想なんてしてないで、話をきいて』



うん、聞くからそんなに怒らないでちょっと抱きしめさせて

『あの、ボクは親友ちゃんから泣いてるだろうから最後の言葉を君に』




ああ、聞きたくない。辛い思いは嫌なの。

それでも、このくまのぬいぐるみは話し続ける。


『君が生きてて良かった。だいすき。君はヒトゴロシでもなんでもないんだよ。わたしが全てさらってあげる。って言ってたよ、泣かないで…』



ああ、しーなは確かに言葉を運んできたんだ。


わたしが言われたい言葉を。




本当に、あの親友は……

「『君のためならば何でもしてみせるよ』か」


ああ、これはしばらく死ねなさそうだね。

『ボクは君が死ねないために遣わされたからね、何度だってひきとめる。』




そしてある日、わたしは出会った。

結婚してもいいと思える人に。

そうして、しーなは動かなくなった。


この愛らしい、くまのぬいぐるみが

わたしを生きさせてくれて、出会わせてくれた。


何度死のうとしたってなぜがいつも失敗する。

それでも、やめられなかったのは、死のうとすることをやめたら、親友との繋がりが消えてしまいそうだから。



ああ、しーなは動かなくなった今もわたしを守ってくれる。

こころが壊れそうになる度に、つぶらな瞳がひかるから。

夢で親友と伝えてくれるんだ。

『君のためなら何でもしてみせるよ』って

ぬいぐるみって、そこにあるだけで癒されるよねぇ…

ほんと、すてき。


後にも先にも、ただひとりの親友へ。

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