「花摘みマーニー」
「花摘みマーニー」は小学校低学年程度の女子児童に似た外見を持つ人型生物です。
身長120㎝程で茶色のおかっぱ頭、生気を感じない白色の肌、青い瞳、赤いワンピース、花を模した髪飾りをしており左目から常に涙を流しています。そのためよく目を手でこすり涙を隠すような仕草をしています。
彼女は小学校の女子トイレに出現します。
日本各地の小学校で「花子」という仮名でその存在を示唆する噂が流れていた記録が残っています。
更に地方によって長髪、制服を着ているなど異なる姿での報告が上がっているので彼女が複数名いる可能性が高いと考えられていました。
ですが今回「花摘みマーニー」と接触したある小学四年生の女子児童が持っていたスマートフォンで会話を録音することに成功し各地に現れる彼女が同一人物であることが判明しました。
以下、録音記録です。
「えへへ、それならマーニー!これから録音するね。」
「…どうして録音するの?」
「私新聞部だから!今学校で話題のあなたに会えたからインタビューだよ!」
「…あなた楽しそうね。」
「マーニーはずっとこの学校にいるの?」
「…うーん、わからない。」
「…わからない?」
「トイレから出ると別のトイレにいるの。」
「え、それならご飯はどうしてるの?」
「私は食べなくても平気なの。」
「ふーん、マーニーって凄いんだね。私は沢山おやつを食べないとお腹空いちゃうのに。」
「私はみんなと違うの。」
「…違うって?」
「お掃除しなきゃいけないの。」
「トイレのお掃除?」
「違うよ、お花のお掃除。」
「お花?」
「ここに咲くからお掃除しているの。」
「…え、トイレにお花なんて咲かないよ?」
「…今もあなたの隣に咲いているでしょ?」
「…へ?」
「ならお掃除するね。」
「え、ちょっとマーニー!?き、急に近づかないでよ!!」
「ほら、終わったよ。」
「…へ、どこから花が?」
「これで綺麗になったよ。」
「…なに、この花は?」
「お掃除したんだよ。」
「…黄色いバラ、…なのかな?綺麗ね!!」
「あなた達が来ると咲くの。」
「へー!とりあえず写真撮っていい?」
「駄目だよ、もう消えるから。」
「…え?」
「…ほら。」
「…あ、消えちゃった。」
「この花は危ないの。」
「危ない?」
「この花は痛いの。」
「…?」
「この花が咲くと痛いの。」
「…。」
「私の側には咲かないから、私が掃除するの。」
「…マーニーはずっと一人なの?」
「そうだよ。」
「なら私が友達になるよ!」
「…なんで?」
「だってマーニー寂しそうだもん。」
「…そうかな?」
「だってさっきから泣いてるじゃん。」
「…うん。」
「私あなたの気持ちなんとなくわかるの!」
「…ありがとう。でも大丈夫。」
「…へ?」
「それなら私行くね。あなたと話せて楽しかったよ。」
「ちょっと、待ってよマーニー!!」
「もっと話をしようよ!ねぇってば!」
「!?」
「…え、…消えた。」
以上、女子トイレからでたマーニーが突然姿を消し録音終了。
この女子児童によって彼女に関する校内新聞が掲載されたため今回の発見にいたりました。
追加の調査で判明した「花摘みマーニー」に遭遇する条件は以下の通りです。
条件1:放課後の小学校内にある女子トイレにいること。
条件2:過去一週間以内に10人以上の児童の出入りがあること。
条件3:50分以上その場に滞在すること。
彼女の目的、存在理由は未だ不明です。
あなたの前に現れた時は沢山お話してあげましょう。
補遺:黄色いバラの花言葉は「友情」、そして「嫉妬」。
彼女が摘んでいた花がなんであったかは追って調査の必要があるようです。