「ぎ・りぎりす」
「ぎ・りぎりす」は齧歯目リス科に当たる動物でどの個体も自身の体重と同等の重さの時計を抱えています。体長平均7-10センチメートル、体重は平均10グラムでアフリカコビトリスと同程度の大きさを誇っています。
彼らの持つ時計については個体差があり、アンティークなものから砂時計、最新モデルのデジタル時計まで様々ですがどこかから盗んでいるわけではなく誕生と共に持ち歩いているようです。
彼らの成長に合わせて時計が肥大化する様子が観測されているため市販のそれでないことは容易に想像できます。
加えて彼らの持つ時計は必ずその場の時刻よりも66.6秒早く時を刻みます。
最新モデルだから時間の経過が早いとかそんなことではないようです。
「ぎ・りぎりす」はUFAの中でも「特定危険生物」に指定される恐ろしい生物です。
彼らの繁殖能力は極めて高く都市の増加と共に常に増え続けています。
彼らの危険性はその繁殖能力にあらず、彼らに接触した人物にひきおこされる異常性です。
「ぎ・りぎりす」に触れてしまった人間は「ぎ・りぎりす」の存在を認知出来なくなり、異様な圧迫感を感じるようになります。
何かに迫られるような、言いようのない圧迫感です。
この圧迫感を感じ続けると人によっては体調を崩し私生活に影響を及ぼす場合もあり、最悪死に至ります。
例年「ぎ・りぎりす」との接触を原因に死亡する人が後を絶ちません。
この傾向は特に日本でよく見られます。
「ぎ・りぎりす」は以下の条件をみたす特定の人物に対して好んで接触を図る傾向があります。
条件1:責任感が強く真面目である
条件2:コミュニケーション能力が低く人と話をするのがおっくうである
条件3:趣味がない、若しくは趣味にさく時間がない
条件4:時間の概念を認識している
これらの条件を満たす人物は恐らく既に「ぎ・りぎりす」の接触を受けています。
心当たりがある方もない方も触れられた時点ですでに彼らの存在は認知出来ないので後の祭りです。
彼らとの接触による圧迫感を感じながらでも健康的に過ごすことは出来ます。
いつだって誰だって、人は何かに追われているものです。
それは決して止まることのない時間。
どんなに急いだって、ゆっくり歩いたって必ず私達の側にそれはあるのです。
「ぎ・りぎりす」は接触によって人々にその事実を伝える働きを持っています。
それがなんの為なのか、何故彼らがそれを行うのかは不明です。
あなたの側にも彼らはいるのです。接触されてもされなくても彼らは側にいるのです。