「ボクラハ・トモニ」
「ボクラハ・トモニ」
「ボクラハ・トモニ」は妖精です。
妖精というととても漠然としていますね。
そもそも妖精……、「フェアリー」とは神話や伝説に登場する、超自然的な存在、人間と神の中間的な存在の総称です。
「フェアリー」は気まぐれな生き物として語られるが多いです。
「ボクラハ・トモニ」も彼等に近しい性質を持っています。
「ボクラハ・トモニ」は丸く黒っぽい体に、ハエのような丸く薄い羽を持っています。
小さな二本の手と小さな尻尾を持ち、常に尻尾を小さな口でしゃぶっています
大きさはとても小さく、……しかし彼等を目視する人物によって誤差がうまれます。
人によっては微生物のようにそこに彼等がいたとしても気付かず、又は飛び回る小蝿のように鬱陶しく感じるでしょう。
「ボクラハ・トモニ」は、捕獲出来ていないため推測の域をでませんが、……彼等は重さを持ちません。
質量を持たない生物など最早生物ではない、幽霊だ、っという人もいるでしょう。
ですが我々は彼等を生物として認定します。
「ボクラハ・トモニ」は数多く存在し常に生物の傍に出現しまス。
彼等はそこにいるダケでなにもしてきません。
ただただ側で尻尾をしゃぶリ、啜っていマす。
ボクラのことを語ル時、だんだんあなタにかわってボクラがオハナシしはじめマス。
それはボクラのメッセーじをみなさマに伝えるタメです。
ボクラには意思がありマス。
ボクラ二は仕事がアリマス。
ボクラハ命をハこぶのです。
ボクラハ皆サンとトモにいます。
ダカらワスレナイデ、オボエテイテ。
いつかボクラハオシゴトヲします。
だから。
ソのトきまでニ。
準備をオネガいします。
ワスレナイデね。
……この様に彼等について語る際、次第に「ボクラハ・トモニ」の意思を代弁してしまいます。
これは無意識的に行われてしまうものであり、どのタイミングで彼等が代弁を始めるか、法則性はありません。
これこそが彼等が意思をもつ生物であり、気まぐれな妖精である証拠です。
「ボクラハ・トモニ」についてそれ以外にわかっていることは少ないです。
一つ確かなことは傍にいた生物の生命活動が停止した時点でそこにいた「ボクラハ・トモニ」は姿を消します。
これら出来事の因果関係は不明です。
一説には「フェアリー」の語源はラテン語で運命を意味する「Fata」という言葉であるとされています。
命を運ぶと書いて「運命」。
彼等の姿は正にそれです。
あなたもきっと彼らと、トモニ、あるのです。