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「ぐろてすくー」

挿絵(By みてみん)


 「ぐろてすくー」はピンク色のコウモリのような外見の哺乳類(ほにゅうるい)です。

 体長は成体で平均15cm、体重は同じ大きさのコッペパンのそれと同等です。

 通常のコウモリと異なり四本の小さな翼を持ち、高速で羽ばたかせることで空を飛びます。

 また発達した二本の前足とか細い二本の後ろ足を持ち、地上ではもそもそと四足歩行で移動します。

 しかし基本的に飛行時のほうが機動力(きどうりょく)は高いようです。

 彼等の発生地は古代ローマと言われ、大正デモクラシーを機に日本での活動範囲を広げたとする説が有力です。

 最も気になる外見的特徴としてお腹周りが、まるで単眼のような特殊な模様の毛並をしてます。

 この外見的特徴から一時期から創作物で伝えきかれる一つ目玉の怪異、「ゲイザー」の正体である可能性も示唆(しさ)されています。

 この説の根拠には彼らのもつ習性も深く関わってきます。


 「ぐろてすくー」は光を避け、闇夜に活動します。

 そのため基本的に人目につく場所に現れることはありません。

 暗闇から見える彼らのお腹の模様が目立つため、より一層一つ目が暗闇から覗いているように見えます。

 加えて物質を透過する能力を持っているようで壁などの障害物を透過しして彼らの好むものの近くに好き勝手に現れるようです。


 彼らが好むものの条件は以下の通りです。


その一:破損した肉体等を連想させ、一般的に不快感を呼び起こす物体、もしくは画像及び映像。

その二:猟奇的(りょうきてき)揶揄(やゆ)される行動を行う人物、もしくはそれらの人物に(まつ)わる伝記、小説等の物語。

その三:読者に生理的嫌悪感(せいりてきけんおかん)を抱かせる悪辣な行為、物体が登場する文章。


 「ぐろてすくー」は上記の条件のいづれかを満たす記録媒体(きろくばいたい)の側に現れ、楽しそうにそれを鑑賞(かんしょう)します。

 彼らは肉食で自身より小さな生物を捕食し、その上で捕食対象をいたぶる傾向がみられます。

 これは獲物に苦しみを与えることで、アドレナリンの発生を促し味の向上を行う、人間でいうところの「調理」に該当する行為だと推察されています。

 彼等は上記の条件を満たす記録媒体(きろくばいたい)に触れることで、より効率的な「調理」の手法を学んでいるようです。


 彼らは記録媒体(きろくばいたい)鑑賞(かんしょう)するとともに、その記録媒体(きろくばいたい)をみている人間も好んで鑑賞(かんしょう)します。

 暗闇の中からどこか視線を感じたら、「ぐろてすくー」が側にいるのかもしれません。


 ですが安心してください、「ぐろてすくー」は人間に対して全くの無害です。

 じゃれて引っ掻いてくることもありますが猫のそれよりも虚弱で感染症の心配もありません。

 物体を透過する能力を彼らが持たなければ飼育も可能かもしれません。

 餌も一日バッタ三匹程度ですむため経済的です。


 ですが多くの人間は彼らが近くにいることを喜ばしく思わないようです。


 彼等はいつだって、上記の記録媒体(きろくばいたい)をみているあなたを「見ている」のですから。


 「ゲイザー」の語源は英語で「見つめる人」「監視」を意味する「Gazer」、つまり「観察者(かんさつしゃ)」です。

 彼らがゲイザーの正体であるとする説は本質的には間違いではないのかもしれません。


 彼らがあなたの前に現れたとき、あなたはその視線に耐えられますか?

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