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侵略者  作者: 京衛武百十
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母と娘

ハッとシルフィが意識を取り戻すと、目の前には透明な母の姿があった。プリンの体の一部が変形し、母の姿を形作っていた。成功したのだ。


実は、<情報の海>から母親が立ち上がって姿を現した時にはもう今の形になれていたのだが、シルフィ自身の意識がブロブ側に引っ張られてしまって危うく戻れなくなりかけたのだった。やはりまだ、一部といえどブロブと融合することについてはそのリスクも含めて分からないことが多いと思わされた。


「お母さん、お母さん…!」


それでもシルフィは透明な母の胸に縋りつき、涙を流していた。割り切っているつもりでも、こうして母の姿が目の前にあってはやはりまだ幼い子供としての正直な気持ちが前に出てしまう。母の方も、マリーベルの助けを借りて人間の姿を取った時以来の久々の娘との抱擁に、涙を浮かべながら浸っていた。


ベルカもそんな母と娘の姿を見て、鼻をすすりあげながら涙を拭った。


その一方で、マリアンはやはりワクワクと興奮していた。この辺りの感覚の違いは仕方ないのだろう。研究対象にいちいち共感していては客観的な視点で考察できないというのも事実であろうし。ただ、


『ああ~、やっぱり私も融合してみたい…!』


と考えるのが果たして客観的と言えるのかどうかというのもあるだろうが。


こうして、ブロブ一斉駆除開始前日の夜は更けていったのだった。




朝。シルフィのいる林にも、駆除業者が入っていた。ただし、この周辺はブロブの目撃例が少なかったので、規模は決して大きくない。空振りに終わる可能性があった為に、駆除作戦に参加したという実績作りを目的にしていた業者が殆どだった。新人の研修目的と思われる業者もあった。装備品を身に着けるにももたもたと時間がかかっていて実に頼りない。恐らく、本気で捜索する気もないだろう。なので、大人しく隠れていればやり過ごせる可能性もある。


反面、手強いブロブの目撃例が報告されている地域には、それを倒して名を売ろうという山師的な業者も多かった。こちらはさすがに手練れを投入し、装備品も充実している。中には宇宙用パワードスーツを改造した対ブロブ専用のパワードスーツまで持ち込む業者さえいた。ここまでコストを掛けると普通は利益が減ってしまうので、実は金持ちの道楽的な一面もある。要するに<キツネ狩り>の感覚だということだ。ブロブを狩猟の的に見立てているのだろう。


マリーベルとヌラッカのいる森に来たのが、まさにそのタイプの駆除業者だった。大層な専用トレーラーを仕立て、三機のパワードスーツが準備されていたのである。



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