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侵略者  作者: 京衛武百十
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合意

「イレーナが戻ってきたことを、レイスにも教えてやらなきゃな」


村の代表が集まって村長であるベリザルトン夫妻の家で会合を行っていた時、代表の一人がそう口にした。レイスは、イレーナがブロブに襲われるきっかけを作ったことを苦に精神を病んで、現在は専門の施設で療養中であった。普段の振る舞いには、子供らしい考えなしの幼稚さが見えてはいたが、根は気持ちの優しい少年だったのだ。


いずれはレイスのことも対処する必要があるが、そちらは本人の状態とも相談の上で慎重に対処しないといけないので、今はブロブと人間との関係をどうしていくかを先に考える必要があるだろう。


「我々はイレーナのおかげでブロブのことを理解できたとして、他の多くの人達が同じように理解できるだろうか…?」


その懸念ももっともである。


しかしマリアンは言った。


「確かにそれは懸念材料としてあるのは事実でしょう。しかし、私は皆さんとこうして話をさせていただいて、『自分が思っているほど人間は愚かではない』ということを実感させていただきました。恐らく皆さん以外にも理解してくださる方はいらっしゃると思います。だから私は、敢えて積極的に打って出たいと思うのです」


「と言うと?」


「第一次開拓団のセルガ・ウォレド氏を呼び出していただいて、協力を要請します」


「そんなことが可能なのか?」


「現にここにイレーナが存在する以上は、理論上は可能な筈です。問題は、ウォレド氏自身が私達に協力してくださるかどうかですが」


「取り敢えずはウォレド氏本人と話してみるのが先決ということか」


「まあ、妥当な話だな」


と、その場にいる者達の間では大まかな合意を得られたところで、マリアンがイレーナに向かって話しかける。


「マリーベル、聞こえてた? そういう訳で、セルガ・ウォレド氏を呼び出してほしいの」


実は、イレーナを通じてマリーベルにも会合に参加していてもらったのである。マリーベル自身はあまり乗り気ではなかった為にずっと黙って話を聞いていただけだったのだが、


「やれやれ、ホントにどうなっても知らないぞ」


と、イレーナと繋がったブロブの表面に目と口を浮かび上がらせてそう吐き棄てるように言った。それから、


「私もまだ何人も同時に呼び出すのには慣れてないから、取り敢えずイレーナには引っ込んでもらってからになるけど、いいな?」


と確認を取る。ベリザルトン夫妻が頷いたことで、自分の洞窟に居ながらブロブを通してその様子を見ていたマリーベルは肩をすくめながらも、ブロブの中にいる筈のセルガ・ウォレドに呼びかけたのだった。



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