表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
侵略者  作者: 京衛武百十
64/104

再会

ベルカの運転するワゴンで、一時間ほどでベリザルトン夫妻の家に戻ったマリアンは、「何度もすいません」と深々と頭を下げながらも、改めて夫妻の目を真っ直ぐに見詰めながら言った。


「実は、お二人に、ブロブに会っていただきたいのです」


単刀直入なその言葉に、さすがに夫妻の顔にもギョッとした驚きがよぎった。灯りを背にしているからはっきりとは分からないが、顔色は青褪めているだろうと簡単に推測できる表情だった。


その時、マリアンの言葉を耳にしたキリアが、夫妻の後ろから歩み出てきた。


「ブロブ…!?」


と声を上げた彼女の表情は、夫妻とは正反対に明らかに気持ちが昂っているそれだった。以前からブロブに興味を持っていたキリアは、『ブロブに会える』と思うと興奮が抑えられなかったのである。


逆にイリオは、ずっとブロブと一緒に暮らしてきたから、平然と家の中で待っていた。


時間にすれば二十秒と経っていなかっただろうが、唇を固く結んだカール・ベリザルトンは、自分を何とも言えない表情で見詰める妻に向かって、黙って頷いていた。静かではあったが、二人の中で様々な感情や思考が渦巻いていたのが伺える姿だった。


そして、何かを決心したように強い意志を感じさせる表情を見せたカール・ベリザルトンが、ゆっくりと口を開いた。


「分かりました。会いましょう……」


そう決断するまでにどれほどの葛藤があったのかは、二人にしか分からないだろう。しかし夫妻が出した結論は、『ブロブに会う』だった。その決断に、ベルカも心の中で驚嘆していた。


『この二人は、本当に強い人だ……二人に比べれば、私なんてまだまだ赤ん坊みたいなものって気がする……』


それは、マリアンにとっても同じだった。


『この二人に引き合わせてくれたベルカには、感謝するしかないわね』


そんなことを考えながらも、マリアンはワゴンのリアハッチを開き、「おいで」と中に声を掛けた。それに従って荷台から降りてきたそれを見た時の夫妻の驚きを、どう表現すればいいのか。


二人の視線の先に現れたのは、少し大きすぎる服を纏って、帽子を被ってはいるが、まぎれもなく最愛の娘、イレーナだった。何故か透明だった筈の顔には肌の色が付き、ちゃんと人間に見える姿だった。


「イレーナ……イレーナなのか……?」


うわごとのようにカールの口から漏れるそれに、イレーナははっきりと頷いた。


「ただいま、お父さん、お母さん……」


その声も言葉のイントネーションも話し方も、間違いなくイレーナだった。それを耳にした瞬間、夫妻の目からは涙が溢れ、あまりのことに震える足で娘に近付き、そして二人で抱き締めたのであった。


「ああ……イレーナ、イレーナぁ……!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ