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侵略者  作者: 京衛武百十
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マッドサイエンティスト

『違法な人体実験で自分の妻を怪物に変えた上に死なせた』


マリアンが語ったことは、事実である。当時は世間を震撼させたニュースとしてすべての植民惑星にネットワークを通じて配信された。


不老不死の研究に心を奪われた科学者ガリオン・クレイセットは、自分の妻と娘を実験台にして、自分の理論を完成させようとしたのだ。


その結果、娘の成長は止まり、逆に妻は細胞が異常な分裂と増殖を際限なく行うようになり、八つの目と六本の腕、七対の乳房を持つ、身長三メートル・体重八百キロの<怪物>と化した果てに、自らの体重に押し潰される形で死んだ。その時点では既に人間としての意識も自我もなく、近寄れば人間さえ捕らえて食おうとする化け物だった。それはほんの一ヶ月ほどの期間に起こったことであった。


父親が逮捕された後、施設に保護されたマリアンはあまりのことに失語症を患い、三年間、誰が問い掛けても語り掛けても人形のように何の反応も示さず、ただ息をしているだけの存在になった。


それでも、彼女が当時保護された施設で手厚い看護を受け、三年が過ぎた頃からようやく少しずつ反応を示すようになり、二年をかけて<普通>に見えるほどにまで回復した。言葉も取り戻し、さらには親が凶悪な犯罪を犯した場合などに認められる<絶縁>の手続きを取って過去と絶縁し、彼女はマリアン・クレイセットからマリアン・ルーザリアとなった。完全に氏名を変えてしまうこともできたが、母親のことは忘れたくなくて、敢えて、母につけてもらった名と母の姓を名乗った。


「……」


マリアンの告白に、ベルカは言葉もなかった。まさかそれほどまでに凄絶な過去を背負っているとは思わなかった。正直、子供みたいな姿の変な学者程度の認識でしかなかった。


ただ同時に、彼女がブロブに対して異様な熱意を見せる理由の一端も分かってしまった気がした。


ベルカがそんなことを考えているのを察したようにマリアンが言う。


「私は父親のことを恨んでるし嫌ってもいるけど、でも、私の中にもあの人の血が流れてるんだっていうのは感じるわ。学者としての素養という面でね。


私も、研究の為ならどんな手段でもっていう気持ちになることはあるから……」


その言葉に、ベルカの背筋をゾクリと冷たいものが走り抜けた。だがその一方で、湧き上がってくるものもあったのだった。


『彼女が道を踏み外さないようにする為には、誰かが傍にいて抑えてあげなきゃいけない気がする……』



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