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侵略者  作者: 京衛武百十
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謀略

「ちっ! あの時のガキか……生きてやがったんだな。こりゃ下手に手を出すと面倒なことになりそうだ……」


ドローンからの信号が途絶えたモニターを見ながら、ゲイツはそんなことを呟いていた。普段の彼ならここで諦めていただろう。いくらレアものといえど、人間の子供が傍にいるブロブに下手に手を出して子供に何かあったら厄介なことになる。


ゲイツは人間的にはロクな男ではなかったが、自分の身を守るということに関しては非常に合理的な人間でもあった。法律ギリギリなこともするが、多少は周囲の人間から顰蹙を買うようなこともするが、明らかに社会そのものを敵に回すようなことはしない。


だが、今回は少し状況が違った。ブロブハンターギルドと駆除業者が共同でブロブの一斉駆除に乗り出すというのだ。そのどさくさに紛れてあのブロブを捕獲できればと目論んだのである。


ブロブの傍にいる子供に対しても、自分は決して手を下さない。他の連中が万一、子供を怪我させたり死なせたりしても口出しはしないが、それをとやかく言うこともしない。その隙にブロブを捕獲すればいい。


それに、以前、自分が他のハンターを囮にして狙った時、乱入してきたエクスキューショナーとブロブが戦闘になり、そこにあの子供が現れた際の状況を見る限り、どうやらあの子供がブロブに指示を出していたようにも察せられた。ほんの一瞬のことだったが、この男はとにかくそういうことについては敏かった。


となれば、他の連中があの子供を排除してくれればそれこそ御の字というものである。もちろんその前にあのレアもののブロブが殺されてしまう可能性もあるが、その時はその時だ。さっさと諦めればいい。その辺りの切り替えの早さもこの男の特徴だった。可能性があるならしつこくもするが、それがないとなればすぐに頭を切り替える。それがこの男を腕利きのブロブハンターに仕立て上げたのだろう。


「さて、と、そうなりゃいろいろ準備もしなくちゃな」


などと呟きながら、ゲイツはキャンプの用意を始めた。複数のドローンを放ち周囲の状況を把握する。以前、囮のハンターを使った時の経験を活かし、決して近付きすぎない。こちらの接近を悟られない位置から間接的に様子を窺うことにする。


しかも、この辺りを縄張りにしているらしいあのブロブは、ハンター以外の人間には襲い掛からないことも分かっている。万が一、存在を悟られてもハンターのように振る舞わなければやり過ごせるだろう。だからゲイツは敢えて、ただのモノ好きなキャンパーのようにキャンプ生活を始めたのであった。



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