露見
マリーベルがベルカを睨み付けてたその時、ヌラッカが突然、触手を伸ばした。それは洞窟の入り口からも出て、空中にいる何かを捕らえた。
「!? 潰せ! ヌラッカ!!」
ヌラッカがそれを捕らえた瞬間、彼女の感覚を通じて何であるのかを悟ったマリーベルが声を上げる。しかし、声を上げた時には既にヌラッカは捕らえたものを握り潰していた。声を出す前にマリーベルの意図は彼女に伝わったのである。
「何…!?」
マリーベルのいきなりの振舞いにベルカが戸惑う。その一方でマリアンは何かを察したような顔をしていた。
引き戻されたヌラッカの触手が掴んでいたもの。それは、少し大きめの虫ほどのサイズの小さな機械の破片だった。
「ドローンね。もしかしてここがバレた?」
「ああ、たぶん……」
マリアンが問い掛けると、マリーベルは渋い顔をして応えた。
マリアンが察したのは、自分も生き物の調査でよくこのタイプのドローンを使うからだ。ヌラッカが触手を伸ばした瞬間、そちらに意識が向いた際にドローンのローターの音に気付いたのである。
「ごめん、私達がつけられたのかな?」
しかしそれにはマリーベルは頭を横に振った。
「いや、それなら帰ってきた時に私かヌラッカが気付いてる。たぶん、私がつけられたんだ。空を飛んでるところを見られたのかもしれない……」
いずれこういうこともあるだろうと思っていたからそれは別に問題ではなかった。ただ、このタイミングというのはやはりいただけない。
不安そうに、少し離れたところで、三人が話し合っている様子を見守っていたイリオに、マリーベルは何かを決心したように視線を向けて言葉を発した。
「イリオ、お前はマリアン達と一緒にここを離れろ」
「…え?」
突然の話にイリオは困惑していた。無理もない。今さっきまでそんな話などまったく出ていなかったのだから。
だが、マリーベルの方は以前から考えていたことだった。マリアン達と知り合ったことで、考える余地ができてしまったと言うべきか。
自分と違ってイリオは本当にただの人間だ。ブロブと交信できるようになったシルフィとも違う。そんな彼をいつまでも自分の傍に置いておくのは無理だと感じ始めていたのだった。
以前はそれこそ、ロクでもない人間を見捨てて自由気ままに生きればいいと思っていた。けれど、今回、人間がブロブを一斉に駆除するとなれば、自分の傍にいることでイリオにも危険が及ぶかもしれない。
それに、自分はいざとなればブロブの盾になるつもりだ。が、純粋な人間であるイリオにまでそれをさせようとは思っていなかったのだった。




