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侵略者  作者: 京衛武百十
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ブロブを使った動物実験が行われている訳なのだが、そもそも動物実験自体、シミュレーションによって安全性が確認されたものを最終的に本当に安全なのかを確かめる為に行うというものだったので、命に係わるようなことはまずなかった。しかもブロブ自体が生物として強靭で、少々のことでは堪えない。


麻酔などでも、麻痺の反応は出るものの、それが致死量ということになると、ブロブハンターが使うような麻酔弾だと三十発は撃たないといけなかったりもする。


毒でさえ、一部の神経毒が有効だというのが分かっているだけで、それですら相当な量を注入しないと死ななかった。毒を使った処分が一般的でない理由はそこにもある。とにかく必要な量が半端ではない為に、ブロブが死んだ後で漏れ出す毒の濃度も尋常ではないものになってしまうのだ。これでは周囲の汚染も大変なレベルになってしまい、除染にかかる手間も途方もないものになってしまうので割が合わないという訳である。


まあその辺りは余談なのでさて置くとして、とにかく生徒達は興味はあるもののやはり多くの場合は嫌悪感の方が強く、ブロブに同情的なのはキリア一人という状態だった。もっとも、当のブロブがこの境遇には苦痛は感じていなかったが。


ただこの時、キリアは同情だけではない何かをブロブに対して感じていた。表情のないヘビやトカゲの機嫌といったものを察するようにしてきていたからか、何となくブロブが話し掛けてきているような気がしたというか。


しかしキリアが感じたそれは錯覚ではなかったかもしれない。ここにいるブロブは実は、幼い少女の意識を持ったブロブであり、それが故に本当に話しかけていたのだから。


『こんにちは。あなた達はどこから来たの……?』


そんなことを問い掛けていたのだ。もちろんそんなものは子供達には届かないし、ブロブの方も応えてもらえることを期待していた訳でもない。ただ何となく、そう、何となく話し掛けてしまっただけだ。微かに残った人間の感覚がそうさせるのだろう。


そしてこの時の感覚が、キリアのブロブに対する関心をさらに呼び覚ましてしまったらしい。


社会見学を終えた後の彼女は、ヘビやトカゲだけでなく、ブロブを飼育してみたいという欲求に駆られるようになったのである。


いつもの廃プレハブでヘビやトカゲの様子を見ながら、キリアはブロブを飼うとすればどうするのかということを夢想していた。


だがそれをするとどうしても思い出してしまうことがあった。しかもそれを思い出してしまうと、胸が苦しくなる気がしてしまう。


ブロブに対して恐ろしいほどの敵意を見せる、フィと名乗った女性の姿が、キリアの脳裏に浮かんでいたのだった。



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