【心理学】〝危機感〟の鈍感化
あなたは、なぜ平気で外を歩いていられるか、考えた事がありますか?
もしかしたら、突然、車が突っ込んでくるかもしれません。
もしかしたら、突然、電柱や看板が落ちてくるかもしれません。
このように人間の周囲には、
常に「死の危険性」が溢れているのです。
しかし、通常、人々は、
この身近な死の危険性を知覚することなく、行動しています。
何故そのようなことが可能なのでしょう?
これは、脳が「危機感」を抑えつけ、
わざと鈍感化させているからに他なりません。
それというのも、逐一予測できる死に対し、過敏に対応していては、
僅かな動作を起こすだけに、過剰な心的ストレスを要してしまうからです。
そのため、脳は、日常化した現象は、恒久的に続くものだと錯覚させることで、
日々の暮らしを可能にしているのです。
このような心的メカニズムを「正常性バイアス」と言います。
ですが、このメカニズムは、両刃の剣でもあります。
なぜなら、
本当に異常事態が発生した場合、
その足枷にもなりかねないからです。
例えば、警報機や緊急地震速報が流れても、
誤報や悪戯が相次いでいれば、
「起こるわけがない」と無視し、
平時と変わらぬ行動を続けてはいないでしょうか?
これは、「正常性バイアス」がきちんと働いている証拠ですが、
同時に、本当に災害が発生した場合、
対応を鈍らせる原因にもなり得るのです。