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SS論文  作者: 文月
7/11

【文学】『羅生門』の結末

諸国物語(しょこくものがたり)』の中の一編(いっぺん)である

「橋の下」という作品をご存じでしょうか?

その内容は、有名な芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)の作品、『羅生門(らしょうもん)』と非常に酷似(こくじ)しています。


「橋の下」は、『羅生門』以前に発表された作品であり、

その主な類似点(るいじてん)は以下の3つです。

1つ目は、小説の舞台(ぶたい)終始(しじゅう)一定していて動かないこと。

2つ目は、時間的には数分の間の出来事(できごと)であること。

3つ目は、登場人物が二人で、両者(りょうしゃ)ともに無名(むめい)であること。


しかし、(もっと)興味(きょうみ)深いのは、どちらの作品においても、

唯一の登場人物である二人が同じ立ち位置や役目を()っている、という点でしょう。

つまり、主人公は善悪の間を彷徨(さまよ)っている、危機的状況(ききてきじょうきょう)の人間で、

もう一人は、主人公に二つの道を突き付ける要因(よういん)となる盗人(ぬすびと)なのです。


そんな二つの作品で、

たった一つ、決定的に違う所があります。

それは、物語の結末(けつまつ)です。

「橋の下」では、結局(けっきょく)、犯罪に手を()めることができずに終わる主人公を、

『羅生門』では、逆に、悪人へと仕立て上げているのです。


「橋の下」に出てくる「黒洞々(こくどうどう)たる夜」とう表現を

芥川龍之介が『羅生門』でそのまま用いていることからも、

『羅生門』が「橋の下」をベースに書かれたことは間違いないように思われます。


では何故(なぜ)()えて結末を真逆(まぎゃく)のものに作り変えたのか。

その意図(いと)は様々な憶測(おくそく)が飛び()う中、今もって判然(はんぜん)としていません。

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