【生物学】〝偽遺伝子〟の可能性
人のDNAには、〝眠れる遺伝子〟とも称される
「偽遺伝子」というものが存在します。
この偽遺伝子は、
普段は使われていませんが、
必ず、かなりの数が、あらゆる生物のDNAに組み込まれています。
けれど、多くの場合、
使用されることはなく、
生物はその生涯を終えていきます。
では、必要ない物なのかというと、
必ずしも、そうとは言い切れません。
環境が突如として激変した折、
それに適応するための力になるのではないかと考えられているからです。
その良い例が、
アフリカの赤道付近の地域に住んでいる黒人に見られた
〝赤血球の変化〟です。
通常、赤血球はアンドーナツのような形をしていますが、
この地域出身の人々の赤血球は、鎌状になっていることが分かりました。
これは、この地で過去に大流行したマラリアに対抗するために
大変有効な性質を秘めていることが判明しています。
このような現象を含めて、
時に、周りの同種の生物とかけ離れた特徴を持って生まれてくる個体の変化を、
〝突然変異〟と呼びます。
これは、ある種の進化の可能性とも取れるのです。
これまでの長い歴史の中で、
大抵の生物が、この偽遺伝子による変化の下、
最適な可能性を探り、増殖し、現在の形に至っています。
よく、遺伝子を完全に開花させれば、
最強の生物が生まれるのではないかと言われ、
実際、あらゆる実験も行われていますが、
そうして造られた生物は、
あくまで今の環境下における〝最強〟であり、
ちょっとした気温の変化や新種のウイルスの蔓延などによって、
適応能力に欠けるため、
真っ先に滅びの道を辿る運命あると言わざるを得ないのではないでしょうか。