【天文学】月の〝クレーター〟
数十億年前も昔、
まだ、太陽が誕生したばかりの頃、
月には隕石や彗星、小惑星が衝突し、
その衝撃の大きさの差によって
大小様々(さまざま)な穴ができていきました。
これを「クレーター」といいます。
中には、一回の衝撃では終わらず、
クレーターの上に、
更に天体が衝突することで
重なり合ったものも存在します。
「中央火口列」「東側火口列」と名付けられた辺りなどは、
一体どれほどの数の天体がぶつかってきたのだろうと驚かされるほど、
多くのクレータが見られます。
衝突が凄まじい時には、
えぐれられた部分から溶岩が染み出し、〝窪み〟となり、
湖のような状態になって固まってしまう事もあったようです。
こうした地形は〝海〟と呼ばれ、
その代表的なものが、「静かの海」「晴れの海」の2つです。
なお、海の中には、円形が連なっているものもあるのですが、
これらは、ぶつかった天体があと少し大きければ、
月が砕けていたかもしれなかったほどの
大変大きな衝撃だったことを物語っています。
また、月には、海があれば、〝山脈〟もあります。
こちらは、衝突でえぐられた部分の淵が隆起して生まれた物です。
一部のクレーター ―― 例えば「ティコ」と呼ばれるものなどでは、
窪みの周りに放射線状の白い筋が広がっていますが、
これは「レイ」と言い、
天体がぶつかった時に飛び散った物質が、
月の引力によって引き寄せられ、
このような形になったとされています。
ただし、「レイ」は、時間と共に風化して消えてしまうため、
古いクレーターには、その痕跡は残っていません。
つまり、クレーターにレイが見られるということは、
それが、比較的新しいクレーターであることを証明しているのです。