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再会した幼馴染との共同生活  作者: ぽいふる
三章
9/19

8話

 その翌日。俺は集合場所の駅前へときていた。

 まだ朝早く、通る人達はサラリーマンばかりで、学生はほとんど通っていない。

 昨日の夜、冬香ちゃんから連絡はきたものの、行く場所などは教えてもらえなかった。どうやら秘密にしたいらしい。

 ここで待ってるのはいいのだが、まだ冬香ちゃんと琴美が来ていない。冬香ちゃんは多分車で来るのだろうが、集合時間からもう20分は経っている。事故とかに巻き込まれてなくちゃいいが…。琴美はどうせあれだろう。寝坊とかだろう。

「冬香ちゃん遅いね…」

「ああ、そうだな」

 白のタンクトップに白のジャケットを着て、白のショートパンツを履くという、なぜか全てを白で統一してきた美花が、遅刻している冬香ちゃんのことを心配していた。ちょっと露出が多くないか?

「お前、寒くないのか?」

「ん?今日は暑くなる予定だし、別に今もそこまで寒く無いわよ。」

「そ、そうか。」

 よく見ると、首から十字架のペンダントをかけている。なんか似合わないな。

 そんなことを話していると後ろから声がしてきた。

「おーい!」

 黒のTシャツに短パンという、とてつもなく夏に着るような格好で、青のスーツケースを転がしながら、琴美がこっちのほうに向かって走ってきた。

「あれ、琴美ちゃん遅かったね?」

「あー、いや。ちょっと色々あったんすよ…。はぁ…はぁ…。」

 琴美は走ってこっちに向かってきたため、息切れを起こしている。

「どうせ寝坊したんだろ?」

「うっ。ち、ちげーし。はぁ…。」

 まだ息が整ってない琴美だが、明らかに動揺している。やはり、こいつ寝坊してやがったか。

 息が整った琴美が顔を上げて、こっちを見てきた。

「な、なんだよ。」

「あれだよ。ふ、布団が気持ちよかったんだよ!」

「やっぱり寝坊したんじゃねーか!」

 っと言って、琴美の頭を軽くだけど叩いた。

「いたっ。なにすんだよっ」

「いてっ」

 琴美は右足で俺の左足のすねの辺りを蹴ってきた。

 けど、俺も弱く叩いたからなのか、琴美の蹴りもそこまで痛くなかった。

 っとここで、美花が割って入ってきた。

「はーい。二人ともそこまで。朝からみっともない」

「だって玲がよー」

「琴美ちゃんが遅れてきたのが悪いってところもあるでしょ?まあ、ぶった玲も悪いけど。」

「うぅ…。」

 琴美はそう美花に言われて、俯いて黙り込んでしまった。

 ここは素直に謝っとこう。

「ごめん。俺が手を出したのが悪かった。本当にごめん。」

 そう俺が言うと、琴美は顔を上げて驚いたような顔をしてこっちを見てきた。

「い、いや。別に…。こっちこそごめん。」

 琴美はそう言って謝ってきた。とりあえず一件落着だな。

 チラッと横目で香奈枝の方を見ると、こっちなんか気にするそぶりもなく、時計塔のところによりかかってずっと読書をしていた。


 しばらくすると、ワゴン車が二台俺たちの目の前で止まった。

 そして、その車の中の片方から、冬香ちゃんが降りてきた。

「ごめーん。遅れちゃった~。」

 そういって冬香ちゃんは、こっちの方に両手を合わせながら歩いてきて謝ってきた。

「おはよう冬香ちゃん!大丈夫だけど、なんで遅れてきたの?」

「いやーそれがですね~…。」

 冬香ちゃん曰く、家をでて車に乗ったところ、メイドさんがガソリンが少なくなってきていることに気がつき、ここにくる途中にガソリンスタンドによっていってたのだとか。

「けど私、美花ちゃんに通知送ったはずなんだけど…。」

「え!?」

 驚いた声をあげて、携帯を確認する美花。

「あ、ほんとだ…。ごめん!通知オフにしてて気がつかなかった!」

 両手を合わせて謝る美花に冬香ちゃんは微笑んで

「まあ、仕方ないよ~」

 っと、優しく言葉をかけていた。

 おいおい、なんで通知なんかオフにしてるんだよ…。今はどうにかなったけど、本当に困ったときどうするんだよ…。

「ありがと!それじゃ、みんな揃ってることだし、行こっか!」

 みんなうなずいて、美花の言葉に答えた。

 いつの間にか香奈枝もこっちの方にきていた。全然気がつかなかった…。

「それじゃーあ。みんな荷物はこっちにおいといて~」

「え、この車も冬香ちゃんの家の車なの?」

「そうだよ~」

 俺は少し驚きながらも、さっき冬香ちゃんが出てきた車とは別の車の前に荷物をおいた。

 ふ、冬香ちゃん一家って一体どんだけすごいのだろうか…。娘のためだけにワゴン車二台もだせるとか…。

「じゃあ、荷物おいたらこっちにきてね~。」

 そういって、冬香ちゃんはさっき降りてきたほうの車のドアを開けた。

「ふ、冬香…ちゃん。」

 美花が少し体を震わせながら冬香ちゃんを呼んだ。

「なんでしょう~?」

「こ、この車は…荷物をのせるためだけの車なのかな?」

「そう…だけど?」

 冬香ちゃんはなんら不思議に思っておらず、当たり前みたいな顔をして首をかしげていた。

 それを聞いた美花や、俺を含めた他三人も声が出なくなっていた。

 こ、この子俺達庶民とは暮らしてる世界が違うんじゃないのだろうか…。

「あれ?みんなこっちきなよ~。先にいっちゃうよ~?」

「あ、う、うん。」

 そういう美花に続いて、俺たちは冬香ちゃんのいるワゴン車に向かって歩いていった。

 こ、これから俺達は一体どれくらい彼女の驚かされるのだろうか…。

 

 

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