6話
ふぅぃー。ちょっと長く入りすぎたかな。
「ただいまーっと。…あれ?」
俺がドアを開けてリビングに入ると、テレビをつけたまま美花がソファで横になって寝ていた。
おっと、俺が風呂からあがってくるのを待ってて、寝てしまったみたいだな。ここはおこさないで、起きるまで待つかな。くっそ…寝顔もかわいいじゃねぇか。
よし、俺はテレビ見ながら美花が起きるのを待つか…。
ちくしょう、可愛すぎてじろじろ見ちまうじゃねえかっ!…胸見えそうだし。
~30分後~
あ、あれ…なんかだんだん眠くなってきた…。
~さらに15分後~
…はっ!い、今一瞬だけど寝てしまった。お、俺も寝ようかな…。
やべっ、本当に寝ちまったよ…って!
「あ、起きた?」
美花が座り込んで俺の顔を覗き込んでいた。
なぜ目の前に美花が!?ん?ここはソファーの上か…。ちゃんと毛布もかけてくれてるや。…全く面倒見がいいことやら。
「全く…私が起きるのを待ってる間に、寝ちゃったみたいね。」
「あ、あぁ。そのようだな。」
俺はゆっくりと起き上がって伸びをする。テレビはもう消されていた。
「もう十二時よ。早く寝なきゃ。」
「っていっても今まで寝てたけどな。」
「確かにねっ!」
まぁ、俺はまだ部屋にいっても宿題やってから寝るから、さっきの仮眠は丁度よかったかもな。
「んじゃ、上に行こうか。」
「そうね。」
さて、明日はみんなに聞いていけるかどうかだよな。明後日の放課後か。文芸部らしいことってなんなんだろう?逆に楽しみになってきた!
「おーきーなーさーい!!」
う、うーん……。
「もうっ!寝相悪すぎ!起きなさーい!!」
「い、いってぇぇぇ!!!!ビンタすることないだろ!……って」
なんで俺の腹の上にのってんねん!!ってか顔近っ!
「え……。きゃ、きゃぁぁぁぁ!!!!」
なんで乗っかっているお前が驚いてんだよ!おかしいだろが!
「いやいやいや!大声出すなって!美奈がきちま…」
「どうしたのお姉ちゃん?お兄ちゃんの部屋入ってぇー。朝っぱらから、いやらしいなぁー!」
やばい!もうドアが開いちまう!
「ちょっ美奈入ってくん……」
「………。おっじゃましました~。」
「「勘違いしないでぇぇぇ!!!!」」
もう朝っぱらから、死にたくなりました。
あの後なんで俺の上に乗ってるか聞いてみたら。
「いやっ、そのほうが手に力が入りそうだったから…。」
らしい。後は立ちながらぶつのは体制的に辛かった、というのもあったらしい。別にたってでも起こせるだろ…。
そんなんことを考えていると、亮介が話しかけてきた。
「どうしたんだ玲?」
「あ、いやちょっち色々あってね。疲れてんだよ…。」
「そうかー…。ストレスはあまりためない方がいいぞー。じゃあなー!」
なんだったんだよぉー…今日は休みたいのに。アドバイスをくれるのはありがたいんだが……。
授業のチャイムがなった時、俺は睡魔に襲われた。
はぁ、今日の部活は荒れる気がするなぁ…。だって今日の登校中なんか無視され続けてたし…。ってかあれは美花が悪いような……。
まぁ、とにかく今日は明日のことについて決めるしな!元気だしてくか!
さてっと、こんなことがあっていいのでしょうか…?
えっと簡単に説明させていただきますとですねぇ。
俺は部室のドアを開けた。そこまではよかったんだ。「ちーっす。」って入っていったあとだ。
なんと中では、中では……。
女子陣全員がお着替えタイムでいらっしゃった…!しかも下着姿でな…。
ただ琴美だけはスカートをはいていた。
美花、琴美、冬香ちゃん、香奈枝、四人とも顔をものすごいスピードで赤らめ……、そして全員はもってこう言った。
「「「「帰れぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」」」」
そして、ドアをおもいっきり閉められてしまった。下着姿の美花にな…。
そういや、冬香ちゃんとかの口調が全然違ったような…。やっぱ驚くとああいう言い方になってしまうのだろうか。
それにしても、あれから15分はたっただろうか…それなのにいっこうに鍵を開けてくれない…。本当に帰れって意味なのかな。っと思ったその時。
カチャっと鍵を開ける音が聞こえた。
やったぁー!これで入れ…。
いっっっってぇぇぇぇ!!!誰だよ、思いっきりドア開けたやつはぁぁぁ!!!
「あら玲ぃーこんなところで何してるの?」
制服に着替え終わった美花が目の前に現れた。
美花かよ!またてめぇかぁぁ!!
ってか美花、なんか少し怒っております?
「い、いや、お前らが着替え……美…花?」
え、ちょっ怖…!?な、殴るおつもりですか!?
「見たわね…?」
「へ?」
「見たわよね?」
「何を…!?」
「仕方ない、わかってないなら教えてあげるわ。」
「だから何を!?」
「わ・た・し・た・ち・の・し・た・ぎぃぃぃ!!!!!」
っと同時に俺に殴りかかってきた。
それを俺はかわした。
「っとと、危ないなぁ。っとやばっ!」
「死っねぇぇぇぇ!!!!!!」
美花は反転して俺に飛び掛ってきた!ちょっやばっ、体勢が立て直せない!
っと、美花も床にすべったらしく体勢を崩したまま俺に向かってきた…!?
「きゃっ!」
「え、ちょっ…!!」
俺たちはその場で倒れてしまった。
いってててぇ…何をしてくれんだよ全く。
目を開けると目の前には…俺の上に美花がのっていた。しかもうつ伏の状態で。
「ちょっ美花、大丈夫か?」
「う、うーん…。」
「ちょっと、美花何してるの?」
ビクッッ!!!!と俺たちは驚いた。
声の主は琴美だった。
「いやちょっと色々あってな。」
「あー、玲ーこんなところで何をしているのかな?」
あらあら、これはこれは琴美もお怒りのご様子ですな…拳を握っておらっしゃる。
あと、これを口に出したらもっと怒りそうだけど、琴美はドアの前に仁王立ちしており、しかも制服姿。そして俺たちはドアの目の前で倒れこんでおるため、なんともう少しであれが見えそうなんだがギリギリ見えない…。もうちょいこっちきてくんないかな。
「だからこれには訳があって…ね?だから拳をしまおうか。」
「いやだね。あ、ちなみにみなさんお怒りのご様子だから気をつけてね♪」
「ちょっ可愛く言っても怖いから!」
「問答無用!この罪はでかい!」
ぐはっっっっっ!!!!!顔面を思いっきり殴られた。
あぁ、さっきの衝撃と今の衝撃で気が遠くなっていく…。
そうだ最後にこれだけ言っておくかな。
「琴美。」
「何?誤解でも解きたいの?」
「お前のパンツ黒色…だっ、ぐはっっっ!!!!」
もう俺、即気絶でした。
目を開けると、白い天井が見えた。っと思ったと同時に琴美が心配そうな顔をして覗き込んできた。
ここは…どこだ?
「あ、起きた?」
「こと…み?」
「そうだよ。ごめんね。」
「え、いきなりどうした?」
「い、いや、あんなに思いっきり殴るべきじゃなかったからさ。本当にごめんね。」
「え、あ、いや!こっちこそごめんね!悪気はなかったんだけど…。」
「そっか…だよね。まぁ、みんなが怒ってたのは事実だから気をつけた方がいいよ。」
「まじで!?」
「うんまじで。」
こりゃ大変だな…。どう弁解するかな。
俺はベッドの上で寝ていて、琴美はイスに座っていた。看病してくれていたみたいだな。
ってか保健室の先生どこいった!何してんだよ!
「っというのはあの時まで。それ以降はみんな怒ってなかったよ!」
「なんだよー!驚いたじゃん!」
「ごめんねっ!」
そんときの琴美の笑顔はくそ可愛かった。
「いいよ。逆にほっとしたから。」
「そっか。もう体は大丈夫そう?」
「え、あ、うん。普通に動かせるから大丈夫だよ!」
「よかったー…。それじゃ一緒に帰ろっか。」
「あ、うん。そうだね。そういえばみんなは帰ったの?」
外を見る限りまだ夕方だ。まだ完全下校時刻にはなってないはずだからな。
「うん。今日は緊急解散になったんだ。」
「そっか。なんか俺のせいで…。」
「まぁ、細かい事は帰り道で話そうよ!」
「あぁ、そだな。行くか。」
俺たちは玄関へと向かっていった。
帰り道…。一緒に帰るのはあの日以来になるのか…。なんか、最近のことだったのに懐かしく感じる。
「玲ー。ぼーっとしてるけどどうしたのー?」
「あ、いや。なんでもないよ!気にしないで。」
「う、うん…。」
久しぶりに琴美と二人きりで帰るため、胸の鼓動が少しだけいつもより早くなっていた。
「そうだ。今日は琴美の家に送ってくよ。」
「え、いいの?」
琴美の目が少しだけ輝いて見えた。
「まあ、久しぶりだしな。丁度良いだろ?」
「うん!やったっ!」
琴美は両手をあげて喜んだ。
そこまで嬉しかったのか…。どんだけ帰り道一人だと寂しいんだか。
「そういや、今日部活で明日のこと決めるとか美花が言ってたけど、解散して大丈夫だったのか?」
「うーん。どうなんだろ…。玲を保健室に連れて行った後、部室に帰ってきて解散になって…。そしたら美花は美花ですぐに帰っちゃうし、それについていくかのようにあの二人も帰っちゃったから、私が戸締まりしたし…。」
彼女は顔をしかめながら、俺が気絶した後の話を簡単に話してくれた。
「つまり、そんな話一切でてこなかったと?」
「そういうことになるかな…。」
美花が急いで帰るなんていうのも珍しいな…。先に帰って夕飯の用意でもしてくれてるのかな?
「とりあえず、夜に連絡とりあって決めるしかないな…。明日出かけるとしたら今日しか決めることはできないんだし…。」
「そーだよね…。一応美花には私から聞いてみるけど…。」
俺も家に帰れば彼女と話せるから俺が聞くべきなのだろうが、ここで俺が聞くよなんていうと怪しまれる気もするから、琴美にこのことは頼むことにした。
ただ、どっちにしろ美花と話し合うつもりではいるんだけどな。
「まぁもしあれだったら、グループ会話のアプリ使えばいい話だから、そんなに気にすることはないと思うよー。」
「あ、その手があったか!けど、冬香ちゃんと香奈枝もそのアプリやってんのか?」
「うん。玲って二人の連絡先知らなかったの?」
琴美はニヤニヤしながら、俺に聞いてきた。
だ、だってあの二人とそんなにしゃべってないし…。とは言えない。言い訳になってしまうからな。なるべく言い訳は言いたくない。
「知らなくて何が悪いんだよ…。」
「何、いじけちゃってんのー?かっわいいー!」
くっ…完全にからかわれてる。しかもめっちゃニヤニヤしてやがるし…。ここは話題を逸らすしかない。
「とりあえず、グループ会話で明日のことは話し合うってことでOK?」
「りょーかい。あー。もうちょっと玲をからかって遊びたかったなぁ…。」
もう琴美の家の前についてしまった。話が盛り上がると、なんか別れる時に名残惜しくなってしまう。
「おい、本音でてるぞ…。」
「ごめん!ごめん!あまりにもかわいかったからつい…。」
そ、そうなんだ…。俺にはその感覚がまったくもってわからん…。
「んじゃ、また後でなー!」
「うん。また後でねー。」
俺は琴美と別れた後、家が変わったことに気がついてなく、少し迷子になった後に無事家についた。
久しぶりに投稿しましたー!
忙しくてこの夏休みを使って少しだけ書きました。
読んでいただけると幸いです。
あと、書き換えていたってのもあるのですが・・・
まぁ、変わったのは主人公の名前だけですが・・・。
これからもよろしくお願いいたします!