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再会した幼馴染との共同生活  作者: ぽいふる
二章
6/19

5話

 おはようございます。斉藤…いや、鯨井玲です。なんで苗字が変わったのかというと先日、母さんが鯨井家と結婚したことにより、必然的に苗字が変わってしまってわけで…。しかも驚いたことに、鯨井家は俺の幼馴染の美花の家であったのだ!って今更驚くこともないか。まぁ、それから色々あり今は一緒に幼馴染の美花やその妹とも住んでいて、自分で言うのもあれだけど、俺今かなりうはうはなんだよね。

 コンコンっとドアを叩く音がしたかと思うと美花の声が聞こえた。

「玲ー?起きてる?」

「あぁ、起きてるよ。」

「じゃあ、朝食できたから降りてきてね。」

「うん。わかったー。」

 はぁ、パジャマのままだけどまぁいっか。どうせ美花とかに昨日見られちゃったし。今頃気にする必要ないか!

「おはよー。」

「おはよー玲。」

 リビングに行くと美奈の姿がなかった。

「あれ?美奈は?」

「あ、美奈は昨日の通り朝練があるから先に行っちゃったわ。」

「そっか。んじゃ食べようか。」

「そうね。早く食べないと遅れちゃうしね。」

 そういえば、なぜもう美花は制服なんだ?準備早いな。

「玲はまだパジャマみたいだけど、学校間に合うの?」

「あぁ、俺は全然いつも通りに起きたつもりだけど?」

「え?あと十分以内にここでないと間に合わないと思うよ?まだこっから行ったことないけど。」

 え?そんなことあるわけ…って本当だ!あと数分しかねぇ!

 あれおっかしいなー。時計はいつもどおりに設定したはずなのに。

「ごちそうさま!すぐ着替えてくる!」

「急ぎなさいよー!」

 俺はすぐに部屋に戻って制服を手に取り、すぐに制服に着替えて歯磨きなどを済ませ、なんとか準備が終わった。

「じゃあ行こうぜ。」

「うん。だけど走らないと間に合わないかも…」

「まじでか!?んじゃ走るぞ!」

「う、うん。」

 その後俺達はなんとか間に合い学校に遅れずにすんだ。あぁ、よかったよかった。

 ただ教室に入ったときには、亮介がなぜか驚いていた。まぁそりゃあ友達がいきなり息切らせて登校してきたんだから、驚くのも無理ないか。

 それにしても、なんで目覚まし時計はいつも通りに鳴らなかったんだ?設定間違えたんかな?家帰ったら確認してみるかな。


 さて今日の部活動はたしかこの間の続きだったよな。確か…夢についてだったよな。美花が忘れていてくれるとありがたいんだけどなー。

「こんにちはー。」

「あ、玲!やっほー。」

 っと、琴美が右手を挙げて返事をした。

「こんにちは~」

 冬香ちゃんは軽くお辞儀をしながら答えてくれた。ちなみに香奈枝は本を読むことに集中してるのかもしれないが安定のスルーだった。

「おぉ、琴美早いな。冬香ちゃんこんにちは。」

 部室を見渡すと美花がいなかった。

「あれ?美花は?」

「まだ来てないみたい。」

「そうか。んじゃ待ってるとするか。」

 そういいながら、俺は冬香ちゃんの隣に座る。

 もうそこが俺の定位置になっていた。

「そういえば玲。」

 唐突に琴美が俺のほうを向いて呼びかけてきた。

「なんだ?」

「金曜日休んでたみたいだけど大丈夫?」

 やばっ、仮病してた日じゃん!ここは定番のあれでかわすか。

「うん。ちょっと風邪気味でさ。だけど土日で直ったから大丈夫だよ。」

「そっか、よかった。」

 なんとかしのぎきれたな。あとは美花のことは何も知らなかったってことにすれば完璧だな。…よし

「そういえば俺以外に休んでた人っていた?」

「あぁ、部長さんが休みだったよ。」

「え?そうだったの?なんで?」

 うまく演技をしながらかわそうと試みる。まあ、ばれてないか心配なんだけどな。

「風邪だったみたいだよ?」

「あ、そうなんだ。」

 なんでよりにもよって俺と同じ休み方したんだよ!なんか違う休み方なかったんかよ!

 まぁ、俺が変えればよかったんかも知れないけど。

「そういえば、金曜日なにしてたの?」

「あ、あの日は部長さんがいなかったから、解散になったよ。」

「そうなんか。」

 と、その時だった…。丁度話が終わった頃合いを見計らったかのように、美花がドアを開けて入ってきた。

「こんにちはー!」

「おぉ、美花遅かったな。」

「ごめんね!ちょっと作業があってさ!」

「そっか。んで今日は何をするんだ?」

 忘れてますように、忘れてますように。と、祈るように唱える。

「何もしないわ。」

 よっしゃー!忘れてた!…って

「何もしないの!?」

「うん。今日はみんなで駄弁り会をするわ。」

「美花。前やってた夢の話はどうするの?」

 おい香奈枝!いらないことを話すんじゃないよ!!

「あぁ、あれね…やめるわ。」

「なんで?」

「よくよく考えたら別にいいかなって。」

「そう。美花がそういうならいいわ。」

 あ、あぶねー。もしそうなったら何も考えてなかったから、かなりやばいことになってたな。

 そして、美花が急に気が変わったとか言う前に話の話題を変えることにする。

「そういえば、俺達まだ部活らしい部活動してなくないか?」

「確かにそうね。」

「一応文芸部ってことにはしてあるけどさ。結局はお遊びサークルみたいになってるじゃん。」

「まぁ、それが目的でつくったからね。」

「だから遊びに行かないか?」

「うーんそうねー…。みんなどう思う?」

 美花は少し悩んでいるような顔をして唸りこんだ後、顔を上げてみんなに問いかけた。

「私は別にいいぜ?」

「私もいいと思いますぅ~。」

「ありだと思う。」

「みんな賛成ってことね。んじゃまず門限ある人いる?」

「私はないぞ。」

「私は前日までに言えば大丈夫です~。」

「大丈夫。」

「俺もないぞ。」

 って俺は一緒に住んでるから言う必要ないんかもしれないがな。

「じゃあみんな大丈夫ってことだから、明後日の日曜日でどう?」

「明後日ね…。帰って聞いてみる!」

「今日帰ったら許可もらえるように説得してみます~。」

「私は大丈夫。」

「じゃあ、香奈枝ちゃんは大丈夫ってことで。んじゃ二人は明日の部活の時に聞く

 わ。」

「わかった。」

「わかりました~。」

「んじゃ今日は早めの解散ってことで。」

 俺は早めの解散に疑問を感じたので、美花に確認することにする。

「もう解散なの?」

「うん、今日はみんな早く帰って確認とってもらいたいからさ。」

「わかった。」

 美花が立ち上がって、解散の宣言をする。

「んじゃ、今日は解散!」

「「「お疲れ様でしたー。」」」

 俺達は立ち上がって、帰りの準備を始める。

「の前に…。」

「ここで止める!?」

 俺は驚いて準備の手を止め、美花のほうに振り返った。

「いや、ちょっとね。明日の部活もみんなの結果次第で早めに終わらせるわ。」

「なんで?」

「色々あるからよ。」

「わかったよ…」

「んじゃ今度こそ解散!」


 というわけでみんな、お疲れ~っといいながらすぐさま帰っていってしまった。みんな本当に帰るの早いな…。あ、そういえば

「場所どうすんの?」

「場所は…というか早く部室から出ましょう。それは帰り道で話すわ。」

「わかった。んじゃいつものところにいるよ。」

「オーケー。」

 いつもの、全く変わらない…いや変わったか。全てってほどでもないがな。

 変わらないものはといえば、やっぱりこの部活動だよな。

 あとはまぁ美花との関係がばれるまでだろうけども、俺と関わっている全ての人との関係だな。ばれなければいいんだけどね。

 変わったといえば、この帰ったあとの生活や、美花との関係だな。なんせ義兄妹になっちゃったんだからな。

「お待たせー。いこっか。」

「そうだな。」

 いつもの下駄箱で集合して、いつものように二人並んで帰る。

 あ、学校からあの家に帰るのはこれが初めてだな。結局は何も変わらずに下校できるんだろうけども。変わるのは景色ぐらいか…。

「それで、場所だっけ?」

「あぁ、どうすんだよ。」

「明日のみんな次第になるわね。」

「まぁ、そうだが。どこに行く気なんだ?」

「うーん…明日みんなで決めればよくない?」

「そうだな。今俺達で決めなくてもいいか。」

 結局、場所は明日みんなで決めることになった。すると、美花が話を変えてきた。

「うん。そういえば夕飯何がいい?」

「うーん…得意料理でいいよ。」

「そっか。それじゃあ買い物行くからついてきてね。」

「え!?これから!?」

 俺は驚いて、一歩下がってしまった。

「いや、一旦家帰ってからね。」

「だよね。今お金もってないからでしょ?」

「お、よくわかったわね。」

 そりゃ大体わかるわ!っと心の中でつっこんでおいた。

「まぁ、超能力ってやつだな!」

「…玲、どうしたの?」

 俺の厨二的な発言に美花が完全に引いていた。

「ちょ、ガチでひくのだけはやめてくれる!?」

「いや、だって…ねぇ?」

「はい、すいませんでした。自分が悪いです。」

 俺は頭を深々と下げて謝った。

「わかったのならよろしい。」

 美花は腕を組んで、うんうんっと言ってうなずきながら許してくれた。

 はぁ、美花の前で調子こくのはもうやめよう。どうなるかこれでわかってしまったからな。

 あ、家についたや。

「んじゃ着替え終わったら、リビング集合で。」

「わかったー。」

 ん?着替える必要あるのか?っと疑問を抱いたが気にしないでおくことにした。

 俺はこのままでもいいからなー。荷物だけおいてリビングで待ってるか。


 さて、リビングで待ってから20分たったのだが…、こねぇ。そこまで女子って準備が多いのか!?

 っと思っていると、美花がドアを開けて入ってきた。

「あれ?玲、早いね…って制服のまま!?」

 美花は俺の姿を見ると、かなり驚いた表情をした。

 うわ、私服だよ…。ただ買い物するだけで私服に着替える意味があるのだろうか。

「悪いか?だって買い物いくだけなんだろ?」

「まぁ、そうだけど…。」

「逆になんで私服なんだ?」

「…。ほら、早く買い物行こうよ!」

 顔を真っ赤にしながら、ドアを閉めて先に玄関の方へと行ってしまった。

 うわっ、話そらしやがった。まぁ、ここは見逃してやるとするか…。


 さて、案外こんなに近くにスーパーがあったことに初めて気付いた俺なの

だが、俺もまだ知らない場所があったとはな。結構この町に住んでるから、ほとんどの店の場所は覚えてたつもりだったんだけどな…。

「そういえば、何作るんだ?」

「んーとね…。って私の一番得意な料理でいいんだよね?」

 美花が買い物かごを持ちながら振り向いて再度夕飯の料理について確認してきた。

「あー、そうだったな。それで?」

「それで…って?」

「だから、何作るんだ?」

「あぁー、教えないっ!」

「え!?なぜ!?」

「なんとなく!」

「だったら教えてよ!」

「やだっ!」

 と、俺達が言い争ってると近くにいたおばさんたちが

「あらあら、若い子は元気があっていいわねぇ~。」

「そうねぇ~いいわねぇ~。」

 うふふ。などと笑いながら去っていくおばさんたち…。俺達は途端に恥ずかしくなって、言い争いを即座にやめて、店内を歩き始めた。

「思ったんだが。どっちにせよ作る料理わかるよ。」

「なんで?」

「だって、買ってくもの見ていったらわかるっしょ。」

「あ、確かに…。」

 美花は本当たまに抜けてるところがあるんだよなー。まぁ、それはそれでいいん

だけどね。

「じゃあ、俺はそこら辺ぶらぶらしてるわ。夕飯楽しみにしてるよ。」

「あ、う、うん…。わかった。」

「そうだ。買い物終わったら電話してな。」

「了解ー。」

 そういって美花は野菜コーナーの方に、俺はお菓子のコーナーの方へと歩き出した。

 さて、ぶらぶらするといってもなー…。スーパーだから暇を潰すほどのことがないからなー。どうにかして暇つぶすか。


 さてどれくらい経っただろうか。まあ、そこまで経ってないと思うんだけどな。

 そんなことを思っていた矢先、後ろから聞き覚えある声が聞こえた。

「あれ?玲じゃん!」

 振り返ると琴美が買い物かごをひっさげながら手を振ってこっちに向かってきた。

「おぉ、琴美じゃないか。どうしてここに?」

「それはこっちが聞きたいよ!」

「あぁ、俺は…」

 やべっ、美花と一緒に来たっていえないしな…。仕方ない、こんな年になっておかしいって思われるかもしれないけど、気にしないぜ!

「ちょっとおつかい頼まれてね。」

「ちょっ、この年で?」

「むっ、う、うるさいなぁ~。そっちは何しに来たんだよ。」

「あぁ、私は夕飯の買い物だよ。玲とは違って、買い物!だから。」

 やけに買い物の部分を強調されたような…。

「そういえば、部員で出かける件どうだった?」

「あぁ、私は大丈夫だったよ。」

「そうか、よかったな。」

「うん。玲は?」

「あぁ、俺も全然大丈夫だよ。」

「じゃあ、あと冬香のみか。」

「まぁ、そうなるわな。」

「冬香の雰囲気だと、なんか門限とか、厳しそうなイメージがあるんだよなー。」

「あ、それは俺もそう思った。」

「大丈夫だと思う?」

「俺はそう思ってるよ。」

「そっか。んじゃ私は買い物の続きがあるから。」

「わかった。じゃあまた明日!」

「うん。また明日ー!」

 琴美は大丈夫ってことがわかったから、あとは冬香ちゃんだけってことだよな。

 このことは美花には伏せておこうかな。じゃないと美花が、琴美のことを知って

いたら、絶対にその後がややこしくなるからな。


 そろそろ電話がきてもおかしくないはずなんだけどな…。っと予想してたら丁度電話がかかって来た。

「もしもし?」

「あ、玲。買い物終わって外の駐輪場近くで待ってるからね。」

「りょうかーい。」

 結構買い物長かったな。別れてから大体…50分ぐらいかな。そんなに悩んだのかな…。ちょっとだけ期待。


 さてどの辺に…。お、いたいた。

「美花-お待たせー。」

「あ、玲。やっときたかー。」

「ごめんて。てゆうか普通逆じゃね?」

「あ、そういわれればそうかも。」

 俺達は笑いあって

「んじゃ帰ろっか。」

「うん!」

 俺達は家へと向かって帰り始めた。

 はぁー、やっと家についた。あのスーパーからこの家までの道、結構長かったんだな。まぁ、荷物持ってたせいなのかもしれないが。思ってたよりも重かったから、結構疲れたぜ。こんちくしょー。

「「ただいまー。」」

「あ、二人ともお帰りー。」

 美奈が階段を下りてきながらやってきた。多分部活から丁度帰ってきたのだろう、学校のジャージを着ている。

「あれ、美奈帰ってたんだ。」

「うん。丁度今、部活から帰ってきたところー。」

 お、予想通りだ。だからなんだよって話なんだけどな。

「そっか。んじゃ夕飯の支度手伝ってよ。」

「えー、今、風呂入ってこようと思ったのに。」

「うーん。わかった、こっちで用意しとくわ。」

「りょうかーい。」

 とは言ってるものの、俺も風呂入りたかったんだよなー。仕方ない、美奈が入り終わったら入るとするか。

「それじゃあ、美奈の代わりに玲、手伝ってよ。」

「うーん。まぁいいけど。」

「んじゃ、手洗ってきてね。」

「美花?」

「何?」

「せっかく、つくろうとしたものばらさないように買ってきたのに、一緒に料理

 しちゃっていいのか?」

「…!もう諦めたわ。」

 一瞬だけ驚いたような表情をしたが、すぐに落ち着いた表情をした。

「なんで?」

「だって、荷物持ってたから、大体何つくるか、気付いたでしょ?」

 まぁ、確かに荷物を運んだ時にうすうす気が付いてはいたけど。ここはごまかすべきかな。美花が一人でつくった料理も食べてみたいしな。

「いや、全てを把握してるわけじゃないし、俺、あんまり材料見ても料理できる

わけじゃないから、そこまでわからないし。だから、美花一人でつくった料理が食べたいな。」

「うぅ…。わ、わかったわよっ。」

 あらー、顔真っ赤にさせちゃってー。別にそういうわけじゃ、なかったんだけどなー。

「んじゃ、俺は部屋いって宿題とか終わらせてくるわ。用意できたら呼んでな。」

「う、うん!」

 大丈夫かな。なんかはりきっちゃう予感がしなくもない。


 ふぅー。やっと終わったー。というか思ったほか時間がかからなかった気がするな。

 コンコンっとドアを叩く音が聞こえた。料理ができたのだろう。

「はーい。」

「玲、用意できたよ。」

「りょうかーい。今行くよー。」

 さて、超楽しみだなぁー。美花の一番得意な料理かぁー。はやくいこっと。


 わぁーお。さっきの予想通りなのか、めっちゃ料理がテーブルの上においてあった。

「お姉ちゃん、どうしたの?これ。」

「いや、今日買い物行ってきたんだけど、案外冷蔵庫みたら、色々残っててさ。

 んで色々つくったらこうなっちゃった。」

 テヘッ☆っとなんか可愛らしく、見せているが…可愛いなおい。

「お姉ちゃん…。」

「ん?どうしたの?」

「い、いや、なんでもないよー。」

 今絶対に美奈、美花に萌えてたな。顔が紅潮してたもん。…こんなことってあるのか?お姉ちゃんに萌える妹って。

「そっか、んじゃ食べましょうか。」

「そうだね。食べよう、食べよう!」

 美花にはばれなかったみたいだけど、俺にはおもいっきりばれてたぞーっといってやりたい…。

 まあ、とりあえず今は食べることとするかな。


 ちなみに、わかってはいたのだが、美花の得意料理はカレーであった。

 あんな料理うまくて(まだ一日しか食ったことないけど)レパートリーも多そうなのに、定番のカレーとはな。ちょっとだけがっかりかな。

 だけど、あの時カレーに使わなそうなやつがはいってたけど、あれは他のためだよね?

「お姉ちゃん、このカレーおいしいね!」

「まぁねー。自信作だもん!」

「昔からよくカレー作ってたもんね。そういえばなんか今日のはちょっと味が違う

 ような。」

「美花、もしかして…。」

 あの…あれをいれたのか?

「うん。チョコレートを入れてみたの。」

 やっぱりか!あれは、普通に明日のおやつ用かと思ってたよ。

「そっかー!どうりで味が違ったのかー!」

「そうよ。よくわかったわね美奈。」

「まぁねー。昔からよくお姉ちゃんのカレーは食べてたからさ!」

 へぇー、昔から美花は料理してたのか。どうりで料理がうまいわけだ。

 さて、うまかったな~。隠し味のチョコレート入りのカレーもうまかったし、他の料理も品数は多かったけど、なんとかみんなで食いきったし、よかったよかった。ただ、ちょっと太ったかも。

「さて、飯も食ったことだし寝ますか。」

「えぇ!?早すぎません!?」

「冗談、冗談!そういえば、美奈は何部なの?」

 前に美花が卓球部といってはいたが、再確認をしておきたかった。

「卓球部だよー。」

「そっか。」

 どうやら美花の言ってたことは正しかったらしい。

「それじゃ、私は風呂はいってくるねー。」

「うん。お姉ちゃんいってらっしゃい。」

 と、なぜかここで何かを見計らったかのように、美花が風呂に入りに行ってしまった。


 数分間の沈黙の後。なんか気まづくなってきたし、せっかく二人きりになったわけだから、昨日の夜に聞きたかったあれを聞くことにすることにした。

「美奈?」

「なんですか?」

 さっきから冷蔵庫から取り出したアイスをテレビを見ながら食べている美奈が、スプーンを咥えながらこちらを振り向く。

「なぜ俺のことをお兄ちゃんと呼ぶんだ?」

「え…だめですか?」

 や、やめろ…涙目で俺を見るな!萌えるやろが!

「べ、別に悪くないが?」

「あれあれ?顔が赤いような」

「き、気のせいじゃないか?」

 なんだこいつ!とても中二とは思えない!

 美奈はアイスをテーブルに置いてからテーブルに手を置き、前のめりになってこっちに手を伸ばしてきて、俺の頬に手をあててきた。

「気のせいじゃないですよ?…ほら、顔熱いじゃないですか」

 もうやばすぎです。この子絶対に中二なわけがありません。…たまらん。

「全く…、かわいいなお前は」

 やべえーーーーーーー!!!!本音が漏れちまった!!!!小声で言ったから、多分聞こえてないはずだが…。

「ん?なんですか?」

「なんでもねぇよ。まぁ、呼ぶのは自由に呼んでくれればいいや」

 よ、よかった聞こえてなかったみたいだ…。

「わかったー」

 そういいながら席に座りなおす美奈。そして…

「んじゃ、お兄ちゃん!」

 っと満面の笑みを浮かべながらそういってくる。もうだめだ…天使だよ天使。この世に舞い降りた天使だよこの子。

「お、おう。後、たまに勉強わかんなくなったら聞きにきなよ。教えてあげるから」

 思ってたことが表に出ないように、なんとなくお兄ちゃん気取りしてみた。…恥ずかしい。

「いや、お姉ちゃんに教えてもらうから、大丈夫だよ」

 俺、情けねえ…。しかも断られた分もっと恥ずかしくなってしまった。

「なーんてね。冗談だよ!また今度夜に頼みに行くねお兄ちゃん!」

「お、おう」

 俺は意表を突かれて変な反応になってしまった。

 美奈はというと、アイスの最後の一口を食べ、台所に行き後片付けをしてドアへと向かって歩いていく。

「んじゃ、おやすみ!」

「う、うん。おやすみ」

 …かわぇぇ!お母さん再婚してありがとう!ありがたすぎるわ!しかも一年も自由に一緒に暮らしていいんすか!?親なしでとか最高やわ!

 そんなことを思っていると、ドアの方から冷たい視線を感じ振り向くと、ジト目でこっちを見ている美花がいた。

「何一人でじたばたしてんの?」

「…!美花いつの間に!」

「さっきからいたわよ。…美奈と入れ替わりでね」

「そっか。んじゃ俺も風呂に入ってくるかな」

「うん。いってらっしゃい」

 俺は風呂場へと向かうことにした。

 なんやかんや大変だとは思ってたけど、これはこれで楽しい日常になっていく気がしてきた。

 親からの仕送りもあるし、まだお金的には余裕がある。節約もしながら頑張らないとだけど、どうにかしてこの三人で今を楽しく過ごそう。

 そう、なんとなーくだけど思ってしまった。


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