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再会した幼馴染との共同生活  作者: ぽいふる
三章
13/19

12話

 移動の中の車は地獄だった。

 さっきの出来事の、最後の言い合いの辺りのことを知ってしまった琴美は、『なんでそうなったの?なんで?』っとしつこく聞いてきた。そのたびに俺は『後でな』っというのだが、琴美は中々引き下がらない。そして、教えてくれないことに苛立ったのか、頭を叩いてきたところで駐車場についたため、うまく逃れることができたのだった。

 車を降りると冬香ちゃんを先頭に、白糸の滝へと向かう。

 その道中も琴美が横で執拗に聞いてくるのだが、そのたびにうまくはぐらかそうとするだけで精一杯だった。ってか、なんで俺ばっかりで美花には聞かねえんだよ…おい。

 そんなやりとりをしているうちに白糸の滝への入り口についた。

「それじゃあ、ここからこの道を歩いて、白糸の滝へと向かいま~す」

 その冬香ちゃんの掛け声に続いて、みんなが後ろをついていく。

 この道は山道なのだろうか、周りに木々が生い茂っていて、どこからか涼しい風が吹き抜けていく。それに駐車場のところよりも涼しいような…。

 そして、脇を流れる川?みたいなのもすごく綺麗で自然を感じる。

「玲、すごいね…」

 物思いにふけっていると、不意に隣から美花の声が聞こえる。

「ああ、こんなに自然を感じられるだなんてな…」

 いつの間にか隣が琴美から美花に変わっていた。そして前では琴美と香奈枝が楽しそうに話していて、さらにその前ではメイドさんと冬香ちゃんが並んで歩いていた。

「そういえばさ、ありがとね」

「え、何が?」

 俺はなんで美花が俺に対して感謝しているのかわからなかった。

「いや…その…。さっきの件私がいけなかったのに、琴美がそっちにずっと聞いててさ…。なんかその…玲に対して申し訳なくなっちゃって…」

 美花は頬を人差し指で掻きながら、あはは…っと苦笑いをしてくる。

 ああ、一応さっきの自分が悪かったっていう自覚はあるんだな。でもこんな顔されたら攻めることなんかできねえな…おい。

「別に気にすんなって。琴美にはばれてなさそうだし、それに今ここで話せたことがよかったかもしれないな」

「え、なんで?」

「辻褄さえあわせればうまく騙せるだろ?」

「あー!そうだね!……っ!わ、わかってたし…!」

 そんなに意地はらなくてもわかってなかったのばればれだっての…。っという言葉を心の中で突っ込んでおき、本題へと移る。

「それでだな…こうしよう」

 俺はさっき考えたことを美花に伝える。

「なるほどねえ…。まあ、一番は聞かれないことがいいんだけどね…」

「そうだな。おっと、なんか見えてきたぞ?」

 視界の奥のほうに滝っぽいのが見えてきた。

「わあ、すごい!ねえねえすごいよ!ねえ!」

 美花が隣で少し鬱陶しいぐらいにはしゃぎ始めた。

「あ、ああそうだな…」

「なーにそれー!まあ、いいや。いこ!」

 美花は少しむくれた後、俺に一声かけてみんながいる方へと走っていった。

「おう」

 俺も返事をしてその後を追いかけていった。

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