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再会した幼馴染との共同生活  作者: ぽいふる
三章
12/19

11話

 解散後、俺は美花と一緒に部屋に戻って出かける準備を始めていた。

 美花も美花で持ってきたキャリーバックを開けてなにかしら準備をしていた。

 そんな美花の背中を見ながら問う。

「とりあえず財布とかあれば十分だよな?」

「うーん。とりあえずはそれで十分だと思うよ?」

 そう美花はこっちに背中を向けたまま答える。なんかあっちはあっちで大変そうだ…。それにさっきから「ない…ない…」とか呟きながらなにかを探しているようだった。

 とりあえず自分の準備を済ませちまうか…まあ財布とハンカチ辺りだけ持っていっとけば、他は誰かしら持ってきてくれるだろう…うん。

 そんな感じに準備が終わったところで美花に声をかけようと美花のほうを見ると、なんか色々と周りがごちゃごちゃし始めていた。

 その中には男の俺が見てはいけないようなやつも…。とりあえず何を探しているのか聞いてみるか。

「おーい美花?」

「なに?今忙しいんだけど?」

「あの…なんか探してるのか?」

 そう俺が問いかけると、探す手を止めてこっちを振り返る。

「そうなの!確かもってきたはずなんだけど見つからなくてね…」

 美花は探す手を止めない。このままじゃ美花のキャリーバックの中身が全部出てきてしまうんじゃないんだろうか…。

 まあ、同居してるわけだし?そ、そこまで気にする必要もないよな…。で、でも洗濯別々にされてるし、美花のこんなのみるの初めてかもしれないな…。

 って何を考えてるんだ俺ええええ!そんなの意識するからだめなんだろがああああ!……もう全てが出てくる前に指摘しよう。まだ下の方がでてきてない今のうちに…

「なあ美花?」

「だから今忙しいって…」

「いや、その…一回自分の周りを見てくれないか?」

「え?周り?」

 俺に言われて、美花は自分の周りに散らかっている所有物達を確認する。もちろん自分のあれが出ている…っというのも確認したようだ。

「見た?」

 顔を真っ赤にさせながら俺に聞いてくる。

「ま、まあ……」

 俺も俺で見てないといえるわけもなく…肯定もしなかったが、否定もしなかった。

「…………」

「…………」

 数秒間の沈黙。美花は固まったままこっちをみてくるので、途中で恥ずかしくなり目線を逸らした。

「……玲の…」

 美花がなにか呟いたと思って視線を美花に戻すと、うずくまっていた。

 それを確認した次の瞬間、美花は近くにあったメガネケースを手に取った。……まさか。

「玲のばかぁぁぁぁぁぁ!!!」

 案の定それを俺に向かって投げてきやがった!

 俺は投げるぎりぎりのところでそれに気がついたためなんとか回避できたが、美花は近くにあったものを拾ってまた投げつけてくる。

 俺はそれらをかわしながら美花に反論する。

「待ってくれ!これは美花が悪いだろ!?俺は悪気があってみたわけじゃないぞ!」

「うるさい!見た玲が悪いんだ!」

 そういうと美花はちょっと分厚い本を持った。

「ちょ…それはしゃれになんねえって!」

「知らない!」

 ただその一言だけ言って俺に投げつけようとした瞬間、ドアがノックされる。

「あの~…みなさんもう外に集まっているのですが…。夫婦喧嘩はその辺にして、そろそろ降りてきてくださいね~」

 声の主は冬香ちゃんだった。そして、彼女はそれだけ言い残して下に降りていった。

 俺と美花は言われている間その場に固まっていた。その後は何も会話をすることなく無言で部屋をでて、下へと降りていった。

 そして、玄関で靴を履き替え外に出る。すると、琴美が俺たちが外に出てきたことに気がつき手を振ってくる。

「二人とも遅いよー!ほら、早く早くー!」

 その掛け声のするほうに俺達は走っていく。

「ごめん。美花のやつが探し物してたみたいでさー」

「何よ!玲が私の……んん!」

 俺はとっさに美花の口を押さえる。これ以上言うと誤解されかねないと思ったからだ。

 そんな俺たちのやり取りを見て冬香ちゃんが溜息をつく。

「はぁ…またですか…。もういいですよ…。それでは車に乗って白糸の滝に向かいましょう~」

 そう呆れた感じに俺たちに言い残して、先に車に乗り込んでしまった。その後ろを『また?またって何!?』っと興味津々に琴美がついていく。そして琴美の後ろを、香奈枝が無言のままついていく。

 俺はやっちまった…っという感じに立ち尽くしていたが、逆に美花は平然としたまま車の中に乗り込む。…でもちょっと顔が赤かったような?まあ、とりあえず乗るか…。

 車に乗ろうと中を見ると、今度は行きとは逆で三人が後ろ、俺達が前で二人という感じになっていた。そして後ろでは、冬香ちゃんがさっきの出来事を琴美に教えていた。…頼むから俺たちの前でその話をしないでくれ…かなり恥ずかしい…。っとはいえないので心の中だけにしまっておいた。



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