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再会した幼馴染との共同生活  作者: ぽいふる
三章
11/19

10話

 予想してたほどすごい豪邸ってわけでもないけど、それほど小さいってわけでもなく、まあいかにも別荘だなって思わせるほどの大きさがあった。

「それじゃ部屋割教えるからついてきてね~」

 そういう冬香ちゃんの後を俺達四人はついていく。どうやら階段を登っていくから部屋は二階にあるらしい。にしても荷物が重い…。

 っと思っていると冬香ちゃんがこっちを振り返って言ってくる。

「みんな荷物あるから一人ずつ階段登ったほうがいいかも~…」

 その言葉にいち早く美花が反応する。

「あ、確かにその方がいいかも。」

 そう言った後こっちを振り返って一段階段を降りながら言ってくる。

「みんなー!一旦バーーーックーーーー!!!!」

「え?え?バック?」

 そういって自分の鞄を差し出す琴美。…こいつ天然の馬鹿か?ほれみろ、美花が困った顔してやがるじゃねえか。

 俺は意味を間違えている琴美に指摘することにした。

「戻れって意味だろ?琴美…少しは分かれよ…」

「はっ…。そういうことだったのか…」

 琴美は差し出した鞄を引っ込めた。俺は琴美の後ろにいるから表情はわからないが多分恥ずかしがっているのだろう。耳が赤くなってやがる。

「そういえば思ったんだが、別に降りなくてもここで登り終わるの待ってればよくないか?」

「あ、そっか。ナイスアイディア玲!」

「どーも」

 さっき美花がバーックって言った時にそう感じてはいたのだが、琴美の天然に突っ込まざるを得なかったので、言うのが後になってしまった。

 っというわけで、俺達は一人が登り終わるまで階段で待つことにした。


 順番としては冬香ちゃん、美花、琴美、香奈枝、俺という感じに階段を登った。

 さっきの時には俺と香奈枝が逆に待っていたのだが、香奈枝はまだ登っておらず、俺はまだ一段登ったぐらいだったから、なにかあったら大変なので俺が一番後ろで行くことにしたのだ。まあ、何事もなくてよかったけど。

 みんなが登り終わった後、冬香ちゃんがてきぱきと部屋の場所と部屋割を教えてくれて、それぞれ部屋に入っていったのだが…。

「おい、どういうことだ冬香ちゃん」

「そうよ冬香ちゃん!この部屋割はおかしいと思うんだけど!?」

「いやあ…メイドさんも泊めるとなるとこういう部屋割になってしまうのですよ~」

 俺と美花は部屋に荷物を置いてきた後、冬香ちゃんの部屋に抗議をしにいっていた。ちなみに冬香ちゃんが言ってきた部屋割はこうだった。


 冬香ちゃん&メイドさん。香奈枝&琴美。俺&美花。


 こうなってしまった理由は、どうやら部屋数が三つしかなく、誰か一人は俺と部屋が同じになってしまうらしい。けど、美花と一緒とはな…。ちなみにもう一人のメイドさんは人数オーバーのために帰っていった。

「それじゃあ、お二人のどちらかがうちのメイドと部屋が同じになりますが…?」

「「うっ…」」

 俺達二人とも言葉が詰まってしまった。メ、メイドさんと部屋が一緒ってのもなぁ…。っと思いながら美花の方を見ると、そっちもそっちで渋った顔をしていた。多分だが、俺と同じ意見なのだろう。

 すると美花がこっちをチラッと見てきたため、目が合ってしまった。ちょっと恥ずかしくなり目を逸らしてしまう。

 けど、このままじゃ話が進まない。まあ俺としては美花と部屋が一緒っていうのも悪くはないから、全然いいし。それに家ではほぼずっと一緒に過ごしてるわけだから、そこまで違和感ないし…。

「「俺(私)このままでいいや」」

「「っ!?」」

 お互いはもってしまったために顔を見合う。そこでまた目が合ってしまい恥ずかしくなり、目を逸らす。

 すると冬香ちゃんはふふっと微笑んで、笑顔で言ってくる。

「お二人とも仲が本当にいいですね~。まあ、そういうことですからよろしくお願いしますね~」

 俺達二人とも恥ずかしくなり無言のまま頷いて部屋へと戻った。


 部屋の中はベッドが部屋のドアから見て右奥に一つ。そして部屋の真ん中には四角くて茶色いテーブルが置いてあり、広さ的にはホテルの部屋をひと回りぐらい狭くしたぐらいだ。それに窓からは森が見えるのだが、虫が入ってきそうなため、窓は閉めてある。

 その部屋で俺たちは今、荷物の整理をしているのだが…。

「玲、とりあえずここを私の荷物が置いていいエリア。それでそれよりあっちが玲のエリアね」

「…おいおい。俺のほうが狭いじゃねえか」

 美花が提案してきたのは部屋を三分割し、三分の二を美花、その残りを俺が…と言う感じだった。

「しょうがないじゃない。こっちはベッドで狭くなるんだし。それに荷物ってだけで、こっちに入っちゃだめとはいってないんだしさ…。我慢してよ」

「うーん。まあそれならいいかな。このエリアのみじゃないっていうなら」

「そのかわり…」

 そういいながら両腕で自分を抱きかかえてジト目で言ってくる。

「変なことしないでよね」

「するかっっっ!!」

 俺は反射的にそう答えてしまった。…まあそんなことしたらみんなにばらされ、これからの高校生活を変態っという肩書きを背負ったまま過ごしていくことになるだろう…。それだけは避けたいところだ。

 その後俺達は無言で荷物を片付け始め、整理がつき始めた頃、ドアをノックする音が聞こえた。それに美花が答える。

「はーい」

「二人ともお昼ごはんにするので、下に降りてきてくださいね~」

「わかったー」

 冬香ちゃんの呼びかけに美花が答え、その後すぐに冬香ちゃんが階段を降りていく音が聞こえた。

「だってさ」

「おう。荷物の整理は終わったか?」

「うん。大丈夫だよ」

「よし、それじゃあ行くか」

 俺達は立ち上がってドアを開け階段を降りる。下の方では俺達以外の三人が待っていた。

 俺は不思議に思い、みんなに聞く。

「どうしたんだ?ここで立ち止まって」

 その問いかけに冬香ちゃんが答える。

「いや~、みなさんに食事をする場所の説明してなかったなあ…っと」

 てへっと頭に左手を置き舌を出して言う。

 普通に可愛いと思ってしまいぼーっとしていると、冬香ちゃんと目が合いそうになったので、あわてて視線を逸らす。

「それじゃあみなさんこちらへ~」

 そういう冬香ちゃんに俺たちはついていった。


 案内された場所につくとすでに料理が出来上がり、取り皿なども用意してあった。

 こ、これ全部あのメイドさんが全部一人でやったのか…?そうしたらかなりの重労働だったろうに…。

 すると冬香ちゃんが今度は席の案内を始めた。

「えーっと、美花ちゃんはあそこで、琴美ちゃんはあそこ。でー、香奈枝ちゃんは琴美ちゃんの奥で、玲君は美花ちゃんの奥ね」

「りょうかーい」

「…うん」

「わかったわ」

 そう三人が言って言われた席に着く。

 それにしても準備がいいというかなんと言うか、冬香ちゃんも案外ちゃんとしてるなーっと改めて関心していると冬香ちゃんから声がかかった。

「ほら、玲君も」

「あ、ごめん」

 さっき言われた席へと向かい、座ると美花から声がかかった。

「どうしたの?」

「いや、なんでもないさ」

 そんなことを言ってるうちに冬香ちゃんが残っていた席に座り、これで全員が…あれ?そういえば

「メイドさんは一緒に食べないのですか?」

「ええ、私は後でみなさまのお食事が終わり次第、食べるので大丈夫ですよ」

「そうですか」

 メイドさんはお気づかいありがとうございますっと言ってお辞儀をして、暖簾をくぐり、どこかにいってしまった。

 そこでうまく間合いを取った後、冬香ちゃんが美花に声をかける。

「それじゃあ美花ちゃん。号令かけて?」

「え、私が?」

 美花は驚いた顔をして、右手の人差し指で自分を指した。

 それに琴美がつっかかる。

「そうっすよ!美花は部長なんだからさ!」

「そういうことですね~」

 冬香ちゃんもそれに乗る。

 すると、美花はなにかを納得したような顔になってため息をつきながら号令をかける。

「はぁ…。それじゃあ、いただきまーっす」

 その言葉に、琴美は元気に箸を持ちながら、冬香ちゃんは礼儀良く手を合わせてお辞儀をしながら静かな感じに、香奈枝は両手を合わせて小さめに、そして俺も両手を合わせ小さな声で各々がいただきますっと言った。


 料理は非常においしく、さすが専属のメイドさんが作っただけあった。

「ごちそうさまでした」

 まだみんなが食べているが、俺は先に食器の片付けを始める。

 そんな俺を見て、琴美が声をかけた。

「あれ?玲、もう食べないのか?こんなにおいしいのに!」

「まあな。俺はこれぐらいで満足だ」

「じゃあ、玲の分食っていいか!?」

「おう。食いすぎには気をつけろよー」

「わーかってるって!」

 そういいながら、琴美は俺の分のおかずを自分の取り皿に移す。まったく元気なやつだぜ…。

 そんな琴美を見守ってから、暖簾をくぐると、メイドさんは黄緑色をベースとしたテーブルの上で、かなり集中してデザートを作っていた。俺の気配さえも気づいていないように見える。

 ちょっと、どんなデザートを作っているのか気になって声をかけてみる。

「何を作ってるんですか?」

「……!!び、びっくりしましたぁ…」

 メイドさんは本当に俺の気配に気づいていなかったみたいで、声をかけると体をびくっと反応させて、ゆっくりとこっちを見た。

 そんなメイドさんに謝りながら、もう一度たずねる。

「すいません、ちょっと気になっちゃったもんで。それで何をつくってるんですか?」

「えーっとこれはですね、プリンアラモードっといいましてですね…あ、食器はそこにおいといてください。洗っておきますので」

 そういってシンクのほうを指差す。

 本当に気が効くメイドさんだな…。周りが見えているというか…。

 とりあえず俺はメイドさんが指差していたところに食器を置き、またデザートを作っているメイドさんのところへと戻り、声をかける。

「それで、そのプリンアラモードってなんですか?」

「うーんと、こういう風にプリンの上にフルーツとか、生クリームとかをのせて食べるデザートなんですけど…ほら」

 そういってカップの中を指差す。

 それにつられて、俺はカップの中へと目線を変える。すると、カップの中にカップの半分ほどプリンがびっしり入っていて、その上にキウイやイチゴやら生クリームなどが綺麗に添えられていた。

 なるほど、さっきはこれの飾りつけに集中していたのか…。

 俺はメイドさんに素直な感想を伝える。

「おいしそうですね!これ、全部さっきから作ってたんですか?」

「ええ、まあ。みなさんが食べ終わる頃に丁度出せるように、頑張って急いで作りました」

「そうなんですか!いやあ、ありがたいですよ!丁度甘いものが食べたかったので…」

「それなら作ったかいがありました…。それじゃあ、席について待っていてください。出来上がったら持っていくので…」

「わかりましたー」

 そういって暖簾をくぐり、みんながいるテーブルへと戻ると、琴美はまだ飯を食っていた。ちなみに、他の三人は今食べ終わったみたいで、手を合わせて

「「「ごちそうさま(でした~)」」」

 っと、はもって言って、食器を片付け始めた。

 にしても、琴美はすごい食欲だな…。限界というものがないのだろうか。

 そんな琴美の様子を見ながら席に座る。それとすれ違いに三人は食器を片付けに暖簾をくぐって、向こう側に行ってしまった。

 俺が席に戻ったのに気がついたのか、琴美が声をかけてきた。

「玲!このやきそば食ったか?めちゃくちゃおいしいぞ!」

「ああそれか。確かにおいしかったが…もしかして…」

「おう、ほとんど食っちまったぜ!」

「嘘だろ!?」

 大きい皿いっぱいに盛ってあったのに、こいつ半分ぐらい食っちまいやがった…。多分二人前ぐらい食ったんじゃ…。

「いやあ、もうちょっと食べようかなー…」

「…そろそろやめとかないと吐くぞ」

「だーいじょうぶだってー」

 そういいながら、野菜炒めに手を伸ばす琴美。

 そんな琴美を見守っていると、暖簾の向こうから「すごーい!」っという美花の声が聞こえた。きっとあのプリンアラモードを見たのだろう。確かにあれはすごかった。

 その後、沈黙した時間だけが流れ、ちょっとしてから琴美が手を合わせ

「ごちそうさま」

 っといい、食器を暖簾の向こうへ運んでいった。

 さて、俺は俺で、料理がのっていた皿を運ぶとするか…。

 そう思い、皿を二回に分けてシンクへと運ぶ。一回目の時に美花に呼び止められたが、一回見てしまったため、断って、皿を運ぶことを優先させた。

 その後、全部の片付けやら準備やらが終わり、デザートの時間へとなった。

 みんなが一口食べて口を揃えて「おいしい~」って言った後、美花が興奮した様子で感想を言う。

「こんなおいしいの食べたことないよ!冬香ちゃんのメイドさんってすごいんだね!」

 その言葉に冬香ちゃんが答える。

「まあ、彼女はお菓子専門の大学を卒業してますからね~。デザート関連については彼女におまかせですよ~」

「へぇ~…」

 美花は関心したようで、そのことについて話を続ける。

「じゃあ、なんで冬香ちゃんの家のメイドさんになったの?専門学校に行ってたってことはパティシエになりたかったんじゃないの?」

 その問いかけに、暖簾をくぐってこっちにきたメイドさんが答える。

「それはですね、冬香のお父様に認められたのです」

「認められた?」

「ええ、ちょっと話が長くなるので、聞きながらでいいので、デザートをお食べになってください」

「あ、はい」

 確かにこのプリンアラモードは、市販のものとは比べ物にならないぐらいおいしかった。なんでだろうと思っていたらそういうことだったのか…。

 まあ、丁度食べ終わったところだったし、メイドさんの話を聞くことにでもしよう。ちょっと気になるしな。


 メイドさんの話を要約するとこうだ。

 大学を卒業をした後、パティシエの夢が叶いケーキ屋に就職。その後は経験を積みながら頑張っていたある日、冬香ちゃんのお父さんが、メイドさんが作ったケーキを食べて感動したらしく、『うちにきてメイドになってくれないか!』っと言ってきたのだとか。冬香ちゃんのお父さんも中々やるな…。ケーキに感動したからっていきなりメイドになってくれとか…。まあ、それでメイドになり今に至るっとのこと。

 俺はこれを聞いて、疑問に思ったことをメイドさんに聞く。

「なんで夢だったパティシエをやめて、メイドになったんですか?そんなに簡単に諦めてよかったんですか?」

「まあそうですね…。メイドカフェのアルバイトもその時やっていたので、特に違和感というか、拒否する理由はありませんでしたし、その時ある条件を言われたので、了承しました」

「条件とは?」

「内緒ですっ」

 そういって俺にウインクしてくるメイドさん。…普通に可愛いんだが。

 それをみてか、美花がこう切り出す。

「それじゃ、みんな食べ終わったし、部屋に戻りましょっか」

「ちょっとまってくださ~い」

「何?冬香ちゃん」

 解散を告げた美花に冬香ちゃんが待ったをかける。

「えっと~せっかく軽井沢に遊びにきたのですから~遊びにいきませんか?」

 その言葉に琴美が反応する。

「おぉー!いいねいいね!どこ行く?どこ行く?」

 俺は、乗り気になって勝手に話しを進めようとする琴美を落ち着かせ、他の二人に同意を求めることにする。

「琴美落ち着け。美花は?」

「まあ、いいと思うけど?」

「香奈枝は?」

「…まあ、せっかくだからいいんじゃない」

 香奈枝の同意を得たのを聞き、部長である美花が話を進める。

「って言ってもどこにいくの?」

「有名な白糸の滝とかどうですか~?」

「おっ、いいんじゃないかしら?軽井沢にきたらまずはそこって感じするし!」

「いいと思うぜー!」

「いいと思う」

「それじゃあ、そこに行きましょ~!」

 冬香ちゃんが両手を合わせ、笑顔でそういってみんなに同意を促す。

 みんなそれに同意して、その場は解散となった。

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