護国組合シセイジャー
ビルの屋上に怪人出現!
平和が脅かされようとしている!
「待て、シロネコ怪人!」
青龍が飛び跳ねる。
風を切る感覚、胸に響く鼓動、今日も街を護るという実感が全身に満ちていた。
続けて朱雀が登場する。
「シセイジャーがいる限り、悪は許さない!」
少し遅れて白虎、玄武が現場に揃う。
揃いのユニフォーム、胸に光るエンブレム、四聖獣のモチーフ。
今日も4人のチームワークは完璧に整っている。
悪の組織バイコックが起こす怪事件の知らせはすぐに入る。
街角で暴走する怪ロボット、銀行を狙う武装ゴリラ。
朱雀が白虎に指示を送る。
「市民の安全が第一、白虎任せたぞ!」
「OK!今日もバッチリ決めるわよ」
玄武は無言で頷き、青龍は小さく拳を握る。
怪人たちは青龍のスピード、朱雀の剣技、白虎の正確な射撃、玄武の重厚な防御に翻弄される。
街の人々は遠巻きに見守り、歓声を上げる。
「ありがとう、シセイジャー!」
「今日も助かったわ!」
ヒーローたちはいつも通り、笑顔を返す。
朱雀が家に帰ると息子が出迎えてくる。
「おかえりパパ!」
「ただいま、降太!」
ヒーローの彼等にも護りたいものがある。
朱雀は一人息子。
白虎は恋人との時間。
玄武は故郷の過疎化を憂いながら、仕送りで母の生活を。
青龍は学校のかけがえのない同級生たちを。
街の片隅では、密かに政治家たちが集まっていた。
「今日もメディアはシセイジャー活躍で持ちきり!」
「ヤツらは良い目眩ましだ」
「しかし最近は動きがにぶいな」
「替え時、ということなのだろう」
シセイジャーとバイコックの抗争は激しさを増していく。
息子がベランダから落ちた、側にいれば護れたのに。
恋人から別れ話を告げられた、時間があれば護れたのに。
同級生をえらい目に遭わせてしまった、力が無ければ護れたのに。
過疎地に進出した商業施設に向かう車によって母が跳ねられた、地元に戻っていれば護れたのに。
街は相変わらず、平和そうに見える。
市民は変わらぬ声援を送り、ニュースはヒーローたちの活躍を美化する。
しかし、ヒーローたち自身は、既に守るべきものをすべて失っていた。
遂に怪人の巨大化現象が始まった。
スーツ開発者の遺言を頼りに4人は巨大ロボットを発見し、巨大怪人を撃破する。
喜んだのもつかの間、4人は長期間に渡り謎の体調不良に悩まされていた。
チチチチ…
朱雀の手に持ったガイガーカウンターが針をけたたましく振り切る。
「……壊れてない?」
誰かが声を漏らす。
針の音が木霊している、ロボットの動力部で。
「このロボット、まさか放射性物質で……」
ガイガーカウンターは止まらない。
まるで死闘の始まりを告げるかのように。
巨大縫合怪人との戦闘。
心身を蝕まれたシセイジャーは、怪人を抱えたまま空へ飛び上がり、ロボットの自爆による決着を図る。
「生きてるか…?」
返事はない。
朱雀は独り天を仰ぐ。
「俺たちは、何を護っていたんだ…!」
光が街を照らし轟音が響く。
再び平和は訪れた。
(1週間後)
ビルの屋上に怪人出現!
平和が脅かされようとしている!
「待て、クロネコ怪人!」
青龍が飛び跳ねる。
風を切る感覚、胸に響く鼓動、今日も街を護るという実感が全身に満ちていた。
続けて朱雀が登場する。
「新シセイジャーがいる限り、悪は許さない!」
少し遅れて白虎、玄武が現場に揃う。
揃いのユニフォーム、胸に光るエンブレム、四聖獣のモチーフ。
今日も4人のチームワークは完璧に整っている。
姿形は旧シセイジャーと同じだが、声も明るく、動きも機敏。
市民は変わらぬ声援を送る。
声援に混じって主婦たちの会話が聞こえる。
「今日のヒーローは動きが違うわね!」
「中の人でも変わったんでしょ」
シセイジャーがいる限り、A級に平和は護られ続ける!
完
完
完
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