エピローグ「祝福の森で、永遠の愛を」
全ての呪いが解けてから、数年の歳月が流れた。
魔の森は、もはや人々が恐れる瘴気の森ではなかった。主であるレイルの心が癒されたことで、森もまた本来の穏やかで美しい姿を取り戻し、生命力に満ちた「祝福の森」へと生まれ変わっていた。
そして、その森の主の伴侶となったカイルは、魔族たちからも「我らの慈悲深き王妃様」と心から慕われ、穏やかで幸せな日々を送っていた。
かつて、自分のスキルを呪い、自己評価が低かった青年の面影はどこにもない。レイルから注がれる惜しみない愛情を一身に受け、カイルは自信に満ちた美しい青年へと成長していた。
ある晴れた日の午後、二人は初めて出会った、あの玉座の間で昔を懐かしんでいた。
「ここに捨てられた時は、もう死ぬしかないって思ってたな」
カイルが苦笑しながら言うと、玉座に座るレイルの膝の上に腰かけていた彼を、レイルが後ろから優しく抱きしめた。
「もしお前がここにたどり着かなければ、我は今も、あの呪いの中で朽ち果てるのを待つだけだっただろう」
レイルはカイルの髪に顔を埋め、その温もりを確かめるように深く息を吸う。
「君と出会うまでの永い時間は、君という光を見つけるための、長い長い夜だったのかもしれないな」
その甘い言葉に、カイルは顔を赤らめながらも、幸せを噛み締めるようにレイルの腕に自分の手を重ねた。
「俺も、あなたと出会うために、追放されたのかもしれない。そう思えば、過去の全部も悪くなかったって思えます」
「カイル……」
レイルがカイルの体を自分の方へと向き直らせ、深い愛情を込めて見つめ合う。
もう、言葉は必要なかった。
二人はどちらからともなく唇を寄せ、穏やかな光が差し込む玉座の間で、優しいキスを交わした。
追放から始まった物語は、最高のハッピーエンドを迎えた。
祝福の森で、二人の幸せな日々は、これからも永遠に続いていく。




