表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/23

第21話「君と生きる未来」

 リリアンナの暴走が鎮圧された後、王城は大きな混乱に包まれた。しかし、カイルの友人であった騎士が中心となり、事態の収拾にあたった。偽りの聖女と宰相の悪行は白日の下に晒され、彼らは法によって裁かれることとなった。


 全ての呪いから解放され、本来の力を完全に取り戻したレイルは、もはや苦痛に顔を歪めることはない。その穏やかで威厳に満ちた姿は、まさに王そのものだった。


 カイルの名誉は完全に回復された。王や、かつて彼を断罪した貴族たち、そして父親である公爵までもが、カイルの前にひざまずき、涙ながらに謝罪した。


「すまなかった、カイル。どうか、この国に戻り、我々を導いてはくれまいか」


 王はカイルに、公爵家への復帰と、宰相の地位への就任を懇願した。それは、誰もが羨む栄光への道だった。


 しかし、カイルは静かに首を横に振った。


「お許しください。俺の居場所は、もうここにはありません」


 彼は集まった人々から離れ、傍らで静かに成り行きを見守っていたレイルの元へと歩み寄る。そして、迷うことなくその手を取った。


「俺の居場所は、あなたの隣だけです、レイル」


 その言葉に、レイルは驚いたように目を見開いたが、すぐに全てを理解したように、深く、優しく微笑んだ。そして、カイルの手を強く握り返す。


「……ああ。帰ろう、カイル。我々の城へ」


 王たちの引き留める声も、友人たちの寂しそうな声も、もはや二人の耳には届いていなかった。


 カイルは、失った全てを取り戻した。だが、彼が本当に欲しかったものは、名誉でも地位でもない。ただ、愛する人の隣で、穏やかに過ごす日々。それだけだった。


 ***


 二人は、誰にも告げることなく王都を去り、魔の森へと帰っていった。


 城に着くと、カイルを追放したあの日と同じように、静かな雨が降っていた。だが、あの日の絶望の雨とは違う。全てを洗い流し、新たな始まりを祝福するような、優しい雨だった。


「レイル」


「なんだ、カイル」


 玉座の間で、二人は向き合った。


「大好きです」


 カイルがそう言うと、レイルは愛おしそうに彼を抱きしめた。


「我もだ。愛している、カイル。お前は、我の永い夜を終わらせてくれた、たった一つの光だ」


 二人はどちらからともなく唇を重ね、そこで永遠の愛を誓う。


 追放された公爵令息と、呪われた魔王。絶望の淵で出会った二人は、幾多の困難を乗り越え、唯一無二の絆で結ばれた。


 彼らの幸せな物語は、まだ始まったばかりだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ