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風の使徒は、女騎士がお好き  作者: Hatsuenya


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4/23

風の使徒は、砦の筋肉髭ダルマ達に囲まれる

 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 今回から、ミオウ視点に戻ります。



 女騎士スターシオ様の治療、そして私の神力回復の為に、温泉に向かった。私のなけなしの力を騎士様の白馬ホワイトアローに与えて連れて行って貰うことに。

 ホワイトアロー、可愛い。風の加護を使って走るのが楽しいらしく、スターファルコン先輩を追い抜く勢いで、山を走り抜けた。

 『誉めて~誉めて~』って、ひたすらはしゃぐホワイトアローのお陰で、早々に風神様と雷神様、私とお姉ちゃんで作った露天風呂に到着した。


 風神雷神温泉~一度は、おいで~よっこいしょ。ちょっと岩場で足を滑らせた私が、裸のスターシオ様にダイブして抱き締めてしまったのも、ご愛嬌。ンフフフフ。女騎士の珠の肌~。筋肉が少し付いているのか少しガッシリしているけど、滑らか~スベスベ~。女同士って、良いよね~。気兼ねなくって。

 もっとも、スターシオ様は、露天風呂は初めてとかで、真っ赤になってすぐに後ろを向いてしまったけど。

 何だったら、身体の洗いっこしても良かったんだけど、ここは洗い場がないからね~。今度、お姉ちゃんと一緒に作るか。


 その前にお姉ちゃんを探さねば。雷鳥のサンダーボルト先輩が付いてる筈なんだけど、未だにどちらからも連絡がないのは、ちょっと心配。


「私は砦に戻らねばならないが、ミオウも一緒に来ないか?姉君の情報も、集まるかもしれない」


 さて、たっぷり神力も回復した。驚異の早着替えで私が後ろを向いている間に着替えてしまったスターシオ様は、私を砦に誘った。


 ちぇっ、着替えのお手伝いしたかったのに。

 でも、まあ、お姉ちゃんを探しに行かねばならないので、砦に行くのも有りかも。闇雲に探しても、ちっちゃくなったお姉ちゃんは、中々見つからないだろうし。スターシオ様が言う通り、砦には色んな情報が集まるだろう。


 普段から色んな所を遊びまわっ、いや、パトロールしているスターファルコン先輩は、砦の場所も知っていた。

 だが、そこまで行く必要もなく、イノシシと遭遇した辺りまで行くと、筋肉ダルマ軍団が、いや、砦の騎士達がスターシオ様を探しに来てくれていた。


「スターシオ殿下、よくぞご無事で。倒れていた騎士達に、殿下お一人で魔獣を引き付けて走り出されたと聞いた時には、生きた心地もしませんでしたよ」


 中でも取り分け大きく髭だらけの騎士が、我先にとスターシオ様に自分の馬を寄せた。


 筋肉ダルマ達は、スターシオ様とホワイトアローを取り囲み、私を睨み付けながら、口々に

『良かった』だの『心配しました』だのと声をかけてきた。


「こちらは、ミオウ。イノシシから助けて貰った上に、手当てまでして貰った。姉君を探しているそうだ。一緒に、砦まで連れて帰る」


 騎士達が、胡散臭い者を見るように私を見た。まあ、荒野で姉を探す女。胡散臭いよね。うんうん。


「まあ、こんな小さなガキ、隣国の間者と言うわけでも無さそうですし、姉とやらが見つかるまで、しばらくは砦で預かりましょう。おい、ガキ、こっちに来い」


 ガキ?ガキ?ガ~キ~?


「16歳です」


「はあ?何がだ」


「16歳ですから。ガキじゃないです」


「何処が?12歳位だろ?」


 でっかい髭ダルマと私の間に火花が散った。

 16歳だってば。ここは、譲れないからね。


「ミオウ、16歳……なのか?」


「はい、スターシオ様。私は、正真正銘、16歳です」


「私よりも2歳も年上」


 私の頭の上で、スターシオ様がショックを受けていた。

 皆、失礼だな。どう見たって、16歳の乙女だろう。いや、まあ、元の世界でも、誰も、16歳の乙女に見てくれなかったけどさ。


「こんなちっこいガキが16歳かよ。まあ、いいか。スターシオ殿下、では、私が世話して鍛えてやりますんで、お任せください」


「いや、団長。申し訳ないが、ミオウは私の従者として、常に私の側に置いておこうと思う。姉君が見つかるまで、寂しがると行けないからな」


 頭の上が少し重くなった。私は、スターシオ様に頭の上に顎を乗っけられ、後ろから抱き締められた。


「はあ、まあ、そう仰るんでしたら。その様に取り計らいましょう。まあ、その容姿ですからね、確かに1人にしておくと、他の奴らに何をされるやら。但し、従者としての仕事は、きっちりやらせて下さいよ。示しがつきませんから」


 髭ダルマの団長さんは、顎をかきかき、私とスターシオ様をちょっと照れ臭そうに見た。

 女同士だもーん、結託して生活しないと、こんな髭ダルマだらけの職場じゃあ、やってらんないよ。

 私は、スターシオ様にすり寄り、髭ダルマ達に、ニッコリ微笑んだ。

 髭ダルマ達の顔が、赤い。ああ、もう夕陽が出てるんだね。ごほんと髭ダルマ団長が空咳をし、馬の頭を反対方向に向けると、他の騎士達も、ツイッと顔を反らして、馬の頭を反対方向に向けた。

 そちらに砦があるらしい。私達は、馬を進め、荒野を一団で走って行った。



 砦では、美味しいご飯にありつけるといいな。ああ、お姉ちゃんもお腹空かしてるんじゃないかな。

 お姉ちゃん、無事でいてね。私は、美人で素敵な女騎士さんと幸せにしてるからね~。ンフフフフ。




「スターシオ殿下、偉く別嬪さんの男の子を連れてきたな」


「何処で拾ってきたのか知らんが、ご執心だな」


「あそこまで綺麗だったら、男の子でも、なあ。有りだよな」


「殿下もまだまだ子供だと思ってたが、男なんだよな。いや、相手も男の子だが」





 誰も知らない、気付いちゃくれない。ミオウ、女の子なんですけどね~。



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